戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第82話

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「死ぬのかい?景虎。あんたの業は、死んでも償えやしないよ」

景虎が血に染まった顔を穣姫に向けた。

「為景を殺したのはあんただよ」

景虎は目を見張った。姿なき声と同じことを穣姫が喋ったからだ。

「僕じゃない。僕は何もしていない」

景虎は静かに拳を握って、穣姫を睨んだ。

「そう。お前は何もしていない。だが、お前の存在が、為景を追い詰めたんだ」

「お前だったのか。僕の耳に話しかけていたのは」

「何を言ってるの?」

穣姫は目を細めて、蔑みの視線を向ける。

「お前の所為で、僕は、僕は」

景虎は携えていた鬼斬り丸に手をかけた。が、鬼斬り丸は鞘から抜けなかった。

「くそ!」

景虎は鬼斬り丸を鞘ごと構えて、穣姫に斬りかかった。

ヒラリと穣姫は景虎の攻撃をかわし、足元の覚束ない景虎の背中に手刀を喰らわせた。

景虎は力無く、その場に倒れ込んだ。
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