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第74話
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腕を広げ体躯を十字にさせて、虎千代は鬼斬り丸を手放した。
鬼斬り丸は独りでに鞘に収まり、煩く纏わりつく口を閉ざした。
「僕は、人を憎まない。無益な殺生はしない。義、有する時にのみ刃を振おう。民の安寧の為。家臣の幸福の為。国の繁栄と存亡の為」
虎千代が滔々と語る。
「戯言を抜かすな、戦は戦だ。人を殺め、略奪を繰り返す戦に何の理が有ろうものか」
押し黙っていた鬼斬り丸が吐き捨てるように言った。
「黙れ!鬼斬り丸!義無き殺生はただの殺戮に他ならない。義を持って義に従えば戦も聖戦となろう。小ことに拘り大義を見失っては民の笑顔は得られぬ。貴様は私の家臣となり大義の礎を担うのだ」
虎千代が鬼斬り丸を一括した。
「笑止!森羅万象、何をどう理屈付けても、刀は人を殺める為の道具。その最たる俺に人を殺める以外に何をせよと言うのだ」
鬼斬り丸は薄く笑って虎千代の恫喝に返答した。
「血の契約を結ぼう。貴様に私の神通力の全てを託す。貴様が義と理を結びつけよ。貴様が認めた時にのみ、その鞘から顔をだし、民の安寧の為、義の為に刃を振え。血と憎悪はその刃に収め貴様は力を得るがいい。私に理が無く義もない場合は固く口を閉ざし、静観しておればよい」
虎千代がそこまで話したところで、白光が強まり虎千代の額に臨の文字が浮かんでいた。
「まさか……。毘沙門天の……」
鬼斬り丸は恐怖したかのように声を上ずらせた。
鬼斬り丸は独りでに鞘に収まり、煩く纏わりつく口を閉ざした。
「僕は、人を憎まない。無益な殺生はしない。義、有する時にのみ刃を振おう。民の安寧の為。家臣の幸福の為。国の繁栄と存亡の為」
虎千代が滔々と語る。
「戯言を抜かすな、戦は戦だ。人を殺め、略奪を繰り返す戦に何の理が有ろうものか」
押し黙っていた鬼斬り丸が吐き捨てるように言った。
「黙れ!鬼斬り丸!義無き殺生はただの殺戮に他ならない。義を持って義に従えば戦も聖戦となろう。小ことに拘り大義を見失っては民の笑顔は得られぬ。貴様は私の家臣となり大義の礎を担うのだ」
虎千代が鬼斬り丸を一括した。
「笑止!森羅万象、何をどう理屈付けても、刀は人を殺める為の道具。その最たる俺に人を殺める以外に何をせよと言うのだ」
鬼斬り丸は薄く笑って虎千代の恫喝に返答した。
「血の契約を結ぼう。貴様に私の神通力の全てを託す。貴様が義と理を結びつけよ。貴様が認めた時にのみ、その鞘から顔をだし、民の安寧の為、義の為に刃を振え。血と憎悪はその刃に収め貴様は力を得るがいい。私に理が無く義もない場合は固く口を閉ざし、静観しておればよい」
虎千代がそこまで話したところで、白光が強まり虎千代の額に臨の文字が浮かんでいた。
「まさか……。毘沙門天の……」
鬼斬り丸は恐怖したかのように声を上ずらせた。
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