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第42話
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段蔵は腰につるした竹筒の栓を抜き、虎千代に手渡してすぐに背を向けた。
「段蔵さんも座りなよ」
立ち尽くしたままの段蔵に虎千代が声をかけたが、段蔵は一向に座ろうとしない。
「段蔵さん無口だね。今日出会ってから僕しか喋ってないもの」
虎千代は竹筒を傾けて水を喉に通すと、竹筒を持った腕を段蔵に伸ばした。
段蔵は竹筒を受け取ると
「おぬしが喋り過ぎなのだ」
憮然と応えた段蔵の声は、薄汚れた旅装束からは想像できない、透き通るような声だった。
「段蔵さん、綺麗な声してるんだね」
虎千代が白い歯を零して言うと、段蔵は深く被った菅笠をさらに下げ、踵を返して走るように歩き始めた。
「ちょっ、ちょっと待ってよ~」
虎千代は段蔵について行こうと素早く立ち上がったが、段蔵の背中は遥か彼方を歩いている。一瞬で視界から消えてしまうほどの歩速で歩く段蔵を必死で追いかける虎千代。
「ゴメン。照れたの?照れちゃったの?ゴメン。ゴメンナサイ!だからちょっと待って!!!!」
「段蔵さんも座りなよ」
立ち尽くしたままの段蔵に虎千代が声をかけたが、段蔵は一向に座ろうとしない。
「段蔵さん無口だね。今日出会ってから僕しか喋ってないもの」
虎千代は竹筒を傾けて水を喉に通すと、竹筒を持った腕を段蔵に伸ばした。
段蔵は竹筒を受け取ると
「おぬしが喋り過ぎなのだ」
憮然と応えた段蔵の声は、薄汚れた旅装束からは想像できない、透き通るような声だった。
「段蔵さん、綺麗な声してるんだね」
虎千代が白い歯を零して言うと、段蔵は深く被った菅笠をさらに下げ、踵を返して走るように歩き始めた。
「ちょっ、ちょっと待ってよ~」
虎千代は段蔵について行こうと素早く立ち上がったが、段蔵の背中は遥か彼方を歩いている。一瞬で視界から消えてしまうほどの歩速で歩く段蔵を必死で追いかける虎千代。
「ゴメン。照れたの?照れちゃったの?ゴメン。ゴメンナサイ!だからちょっと待って!!!!」
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