戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第12話

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為景の側室に入り三月ほど経った頃、虎御前の体に異変が起きた。その日も為景は戦で城を空けていた。丑三つ時、突然虎御前の腹部が唸りを上げて、波打った。腹は膨張、縮小を繰り返し、ごうごうと嘶く。

不思議と痛みは皆無だった。別段驚きもせず虎御前は、変化激しい己が腹を茫然と眺めていた。

激動する腹が落ち着き始め、何ことも無かったように元の形を留めた。虎御前の黒く大きな瞳が真紅に光り輝いている。

「愛しい我が子」

虎御前は慈しむように腹を擦った。


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