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社会人編
別荘
しおりを挟む別荘の部屋へ荷物を運んでキングサイズのベッドに腰を下ろす。俺は否応無しに岡田と一緒の部屋だった。
ベッドは大人3人が寝てもまだ余裕があるくらいにデカい。俺はいつも岡田にくっ付いて寝ているから、こんにデカくなくてもいいんだけどなぁ、なんて思いながら肌触りの良いベッドを撫でていると隣に並んで座っていた岡田に頬をスリと撫でられた。
「ちょっと寝る?あまり寝てないから疲れてるでしょ」
「俺は大丈夫です。真巳さんの方こそ疲れてませんか?少し寝てください」
ずっと運転してくれてたんだから疲れたに決まってる。
俺がポンポンとベッドを叩くと岡田はゴロンとベッドへ横になった。頭は俺の膝の上にのせて。
「ちょっとの間こうしてて。隼人を充電したらすぐ元気になるから」
「さっきもそれ言ってましたよ」
グリグリと頭を俺の膝に擦り付ける岡田が可愛くて、クスクスと笑いながら綺麗なサラサラの髪を手で梳くように撫でていると、扉が勢いよく開いて裕翔君と葵が部屋へ乱入して来た。
「あー!!こんなところで、ふたりだけでなかよくしてるー!!ぼくたち、ずっとまってたんだよ!ねえ?あおくん!!」
「う、うん、あのね!うみ、うみにはやくいきたくてね、まってたの!」
「ぐぅっ!!」
駆け寄ってきた裕翔君が寝ていた岡田の上にダイブし、岡田が苦しそうに悶えている。ああ、裕翔君……岡田の上でそんなに飛び跳ねないであげて。顔面蒼白になっちゃってるから。
「まだ海に行くには時間が早いんじゃない?朝ご飯を食べてないなら今から俺が何か作るけど?」
時計を見るとまだ8時前。まだ時間的に早いかな。岡田ももう少し休ませてあげたいし。
「「たべるー!!」」
目を輝かせた葵と裕翔君が声を揃えて返事をする。そんな2人の可愛い反応に笑みながら立ち上がろうとするとギュムッと岡田が腰に抱き付いてきた。
「おぁっ!」
バランスを崩してまたボスッとベッドに尻を付くと岡田が俺の腰に纏わりついたまま眉尻を下げて見上げてくる。……っく!可愛い!!
「隼人~。僕をおいて行くの?」
「何か作ったら起こしにきますよ。それまで寝ててください」
「……やだ。一緒に行く」
ゆっくりベッドから体を起こす岡田がなんだか凄く愛おしくて、つい子供達がいるのも忘れてチュッと岡田にキスをしてしまった。
「「ああーーー?!」」
子供達の声でハッと我に返った俺は羞恥で顔が熱くなり、そんな俺を岡田が嬉しそうにニマニマと笑って見つめている。
「まーくんとはやとくんがチューしてる!」
「あ、ご、ごめん!つい……」
お、お、俺は子供の前で、何ということを!!
アタフタしている俺の横で葵と裕翔君がキャッキャッと騒ぎ、岡田は幸せそうに笑みを浮かべ俺をウットリと見つめたまま動かなくなっていて収まりがつかなくなっていた。
「おーい、どうしたの?かなり騒がしいけど……」
と、ドアをノックして顔を覗かせた義兄が俺にはこの時、救いの神に見えたのだった。
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