陽の光の下を、貴方と二人で

珂里

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再会

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本日、快晴。

朝の情報番組の星座占いは3位とまずまずの順位。
ほぼ毎朝食べている目玉焼きだって、俺好みのいい感じな黄身の硬さに焼くことだって出来た。

今日は大学を卒業後、就職した会社に初出勤する大事な日。
俺にしては好調に朝のスタートを切れた筈だった。






「やあ。こんな偶然もあるんだね。ほんと、ビックリだよ」


ビックリと言いつつ、驚いているなんて微塵も感じられないくらい昔と変わらぬ人当たりの良さそうな微笑みを浮かべて、大学の先輩……今日からは会社の先輩になる岡田真巳が俺の目の前に立っている。


ーー嘘だろ。まさか同じ会社だなんて。


こんな偶然があっていいのか。二度と関わりたくないと思っていた人に再会してしまうなんて、ドラマや漫画の中でだけ起こるもんだと思っていたのに。
同じ会社ということは、これから毎日嫌でも顔を合わせるってことだよな。

確かこの人、幾つも大きな会社を経営している金持ちんところの息子だったんじゃなかったか?
ここはお世辞にも大きいとは言い難い、良く言ってもせいぜい中堅どころって感じの会社だぞ。
親の会社継がなくていいのかよ。そっちに行けよ。


「フフッ。立花、すっごく嫌そうな顔してる。驚いたけど立花にまた会えて、僕は嬉しいのに。どうやら君との再会を喜んでいるのは僕だけみたいだね?」

「…………そうみたいですね」


俺は思っていたことがそのまま表情に出ていたようだ。気をつけねば。
岡田先輩はそんな俺を見て楽しそうに笑っている。


「大学の頃と変わらず塩対応だね。立花が今も立花のままで嬉しいよ」

「……はぁ、そうですか」


なんだそれ。意味がわからない。

眉間に皺を寄せると、それを見た岡田先輩が更にクスクスと笑う。


「そういうところだよ。立花はやっぱり面白いね」


どういうところだよ。知らねえよ。
大学の頃から岡田先輩は何かと俺に絡んできては、いつも楽しそうにしていたのを思い出す。

岡田先輩は俺の1つ上の先輩で、俺がニ年、先輩が三年の時に出会った。
出会ったというか、嫌な場面を見られたというか。

当時付き合っていた人に別れ話をされていたところへ偶然居合わせてしまったのが、この岡田先輩だった。

あの時の気まずさは、今でもはっきりと覚えている。

岡田先輩はイケメンで超金持ちだと大学ではちょっとした有名人だったから俺は一方的に顔を知ってはいたけれど、俺なんて平凡な顔の奴は先輩にしてみたら初対面なワケだし。
その上いきなりあんなショッキングな場面に遭遇してしまったのだから、気まずい、というか不快な思いをしたのはむしろ先輩の方かもしれない。


何が気まずいのかって?


それはあの時、俺に別れ話を切り出してきたのが俺のだったからにほかならない。
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