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番外編
おまけ 兄の寵愛弟の思惑62 (デルロイ視点)
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「それでは毎日食されておいでなのですね」
トニエは誰がとは言わず私に確認するのを頷き肯定する。
ここはマーニ先生の教官室で、今は事情を知るトニエと私とボナクララとマーニ先生しかこの部屋にはいない。
レモは護衛と共に廊下にいるし、ボナクララの侍女もレモと共にいる。それでも誰が何を食べているのかは念のため伏せているトニエは私より余程慎重だと言える。
「マーニ先生には毎朝手数を掛けていますが、お陰で新鮮なものが届き助かります」
「私は何も、ご挨拶に伺っているだけですから」
にこりとマーニ先生が微笑むけれど、毎朝兄上の宮に足を運ばせているのだから忙しい先生には本当に手数を掛けさせていると申し訳なくなる。
「それに目に見えて効果が出ているのですから、こちらも遣り甲斐があるというものです」
「目に見えて……そうですね。そう見えます」
最近の父上は日薬草を朝生のまま食し、スープに加工したものも午前中に一度口にしている。
日薬草は、王家の森の土をマーニ先生が密かに屋敷に運びその土で育てる様になってから葉艶が良く味も濃くなったらしい。
トニエは王家の森の土、母上の薔薇園の土、一般的な庭の土等それぞれを使い日薬草を育て効果の違いを研究している。
日薬草は生で食べるのが一番栄養を摂取できると言われているそうだけれど、スープに加工し汁と火を通した日薬草を食べてもそれなりに栄養が取れるらしい。
生のままだど果物の様で、火を通すと芋の様な食感になるのが面白いと父上は厭きることなく毎日日薬草を腹に納めている。
「あれは数枚採取して、残りはどうしているのかな」
「殆どは薬に加工しますが、剥いた皮などは細かく刻んで土に混ぜています。そうすることで魔素が少ない土でもある程度効果があるものが育つようです」
「成程。薬はどんなものになる?」
「他の薬草と混ぜ、塗り薬にしています。飲み薬の素材にもなるのですが、今は魔素の多くない土で育てたものの薬効を試すため塗り薬を試しに作っていましたが、効き目は穏やかですから、傷薬というよりは手荒れの予防等とて使われるといいかもしれません」
蓋つきの器に入ったものを懐から取り出して、トニエがテーブルの上に載せ蓋を開ける。
塗り薬は白色で、器を手に取り匂いを嗅ぐと甘い花の様な匂いがした。
「匂いをつけているのか?」
「いえ、これは混ぜている薬草の花の匂いです。薬草の花の香りは気持ちを落ち着ける効果がありますし、薬草そのものに小さな切り傷や虫刺されに効果があります。元々の方には傷の回復を促す効果がありますので、それに効果を足している事になりますね」
「成程。ボナクララも匂いを嗅いでみるといい、とても落ち着く香りがするよ」
さり気なさを装い、ボナクララに塗り薬の器を手渡す。
最近のボナクララは、とても疲れている様に見える。エマニュエラからの嫌がらせがあり、不眠気味なのが疲れの理由のようで、何か出来ないかと考えトニエに薬を依頼したのだ。
日薬草は上級の傷薬を作る素材の一つらしいが、傷薬の素材の組み合わせは多くあり、それにより薬の効果が大きく変わるのだという。
この塗り薬の場合は、傷を癒すより日薬草と一緒にまぜた薬草の精神的な癒しの効果を目的としたものになる。
「まあ、心が温かくなるような香りですね」
「こちらは肌に塗るだけでなく、桶の湯に適量を溶かしたものに手を浸すと薬の成分が肌に浸透し、肌を美しく保つ効果があります。もしよろしければ、薬効がどの程度かお使いになり感想をお聞かせ頂けないでしょうか」
どうやってボナクララに勧めようかと考えていると、トニエがアッサリと勧めてしまった。
「まあ、私が使った感想でいいのかしら」
「ええ、出来れば夜寝支度をされた後こちらをお使い頂き、そのままお休み頂くといいですね。その方が効果が分かりやすい」
「分かりました」
「侍女殿には後で使用方法を書いた物をお渡ししましょう」
「そうして頂けると助かりますわ。デルロイ様良いでしょうか」
肌を美しく保つ、その言葉に惹かれているのかボナクララは嬉しそうに尋ねる。
「薬の効果を試すために協力してくれるなら、とても助かるよ」
この薬で少しでもボナクララがよく眠れるようになるといいのだけれど、そもそもエマニュエラをどうにかしなければ、塗り薬の香りが気に入ったらしいボナクララを微笑ましく見つめながら、その方法を考えていた。
トニエは誰がとは言わず私に確認するのを頷き肯定する。
ここはマーニ先生の教官室で、今は事情を知るトニエと私とボナクララとマーニ先生しかこの部屋にはいない。
レモは護衛と共に廊下にいるし、ボナクララの侍女もレモと共にいる。それでも誰が何を食べているのかは念のため伏せているトニエは私より余程慎重だと言える。
「マーニ先生には毎朝手数を掛けていますが、お陰で新鮮なものが届き助かります」
「私は何も、ご挨拶に伺っているだけですから」
にこりとマーニ先生が微笑むけれど、毎朝兄上の宮に足を運ばせているのだから忙しい先生には本当に手数を掛けさせていると申し訳なくなる。
「それに目に見えて効果が出ているのですから、こちらも遣り甲斐があるというものです」
「目に見えて……そうですね。そう見えます」
最近の父上は日薬草を朝生のまま食し、スープに加工したものも午前中に一度口にしている。
日薬草は、王家の森の土をマーニ先生が密かに屋敷に運びその土で育てる様になってから葉艶が良く味も濃くなったらしい。
トニエは王家の森の土、母上の薔薇園の土、一般的な庭の土等それぞれを使い日薬草を育て効果の違いを研究している。
日薬草は生で食べるのが一番栄養を摂取できると言われているそうだけれど、スープに加工し汁と火を通した日薬草を食べてもそれなりに栄養が取れるらしい。
生のままだど果物の様で、火を通すと芋の様な食感になるのが面白いと父上は厭きることなく毎日日薬草を腹に納めている。
「あれは数枚採取して、残りはどうしているのかな」
「殆どは薬に加工しますが、剥いた皮などは細かく刻んで土に混ぜています。そうすることで魔素が少ない土でもある程度効果があるものが育つようです」
「成程。薬はどんなものになる?」
「他の薬草と混ぜ、塗り薬にしています。飲み薬の素材にもなるのですが、今は魔素の多くない土で育てたものの薬効を試すため塗り薬を試しに作っていましたが、効き目は穏やかですから、傷薬というよりは手荒れの予防等とて使われるといいかもしれません」
蓋つきの器に入ったものを懐から取り出して、トニエがテーブルの上に載せ蓋を開ける。
塗り薬は白色で、器を手に取り匂いを嗅ぐと甘い花の様な匂いがした。
「匂いをつけているのか?」
「いえ、これは混ぜている薬草の花の匂いです。薬草の花の香りは気持ちを落ち着ける効果がありますし、薬草そのものに小さな切り傷や虫刺されに効果があります。元々の方には傷の回復を促す効果がありますので、それに効果を足している事になりますね」
「成程。ボナクララも匂いを嗅いでみるといい、とても落ち着く香りがするよ」
さり気なさを装い、ボナクララに塗り薬の器を手渡す。
最近のボナクララは、とても疲れている様に見える。エマニュエラからの嫌がらせがあり、不眠気味なのが疲れの理由のようで、何か出来ないかと考えトニエに薬を依頼したのだ。
日薬草は上級の傷薬を作る素材の一つらしいが、傷薬の素材の組み合わせは多くあり、それにより薬の効果が大きく変わるのだという。
この塗り薬の場合は、傷を癒すより日薬草と一緒にまぜた薬草の精神的な癒しの効果を目的としたものになる。
「まあ、心が温かくなるような香りですね」
「こちらは肌に塗るだけでなく、桶の湯に適量を溶かしたものに手を浸すと薬の成分が肌に浸透し、肌を美しく保つ効果があります。もしよろしければ、薬効がどの程度かお使いになり感想をお聞かせ頂けないでしょうか」
どうやってボナクララに勧めようかと考えていると、トニエがアッサリと勧めてしまった。
「まあ、私が使った感想でいいのかしら」
「ええ、出来れば夜寝支度をされた後こちらをお使い頂き、そのままお休み頂くといいですね。その方が効果が分かりやすい」
「分かりました」
「侍女殿には後で使用方法を書いた物をお渡ししましょう」
「そうして頂けると助かりますわ。デルロイ様良いでしょうか」
肌を美しく保つ、その言葉に惹かれているのかボナクララは嬉しそうに尋ねる。
「薬の効果を試すために協力してくれるなら、とても助かるよ」
この薬で少しでもボナクララがよく眠れるようになるといいのだけれど、そもそもエマニュエラをどうにかしなければ、塗り薬の香りが気に入ったらしいボナクララを微笑ましく見つめながら、その方法を考えていた。
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