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番外編
おまけ 兄の寵愛弟の思惑14(デルロイ視点)
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「殿下、サデウス様おはようございます。ああ、殿下今日も麗しいご尊顔を拝する幸せを感じておりますっ」
「おはようございます。殿下、サデウス様」
教室に入ると、エベラルド・ブレガとテレンス・トルトゥがすぐさま近付いてきた。
二人は、というより大部分の生徒は私を殿下と呼びボナクララの事を仮名のサデウスと呼ぶ。
「二人共おはよう」
「おはようございます。お二人はいつも早いのですね」
エベラルドはブレガ侯爵家の嫡男、テレンスはトルトゥ伯爵家の嫡男で二人共茶色の髪と瞳をしているが外見は全く違う。エベラルドはがっしりとした長身、テレンスはひょろりとした印象だ。
二人共父上が私の友と決め幼いころから王子宮に遊びに来ていたから、ボナクララとも顔見知りだ。
「皆様もおはようございます」
「おはよう。皆、早いな」
教室の中にいた者たちへ声を掛けると、あちこちから声が上がる。
入学してから数日経つが、これはこの組では当たり前になりつつある朝の光景だ。
「今日は初めての剣術の授業があるから楽しみだな」
私とボナクララの席は隣同士だから、彼女の椅子を引き座らせてから自分も座る。
そうして落ち着いてから、私の傍から離れようとしない二人に声を掛ける。
「は、はい。殿下。私も今か今かと楽しみで仕方ありませんっ」
「私は少し緊張しております。殿下の前で無様な真似を晒したくはありませんが、最近少し稽古が出来ていなかったのもで」
エベラルドの声はいつも大きい。テレンスは少し神経質なところがあるから、剣術の授業が不安なのだと思う。
私は自分の実力が良く分かっていないから、少し不安だ。
「テレンスはそう言いながらも自信があるだろう。エベラルドとの勝敗は今はどちらが勝ち越している?」
「今年に入ってからは五勝三敗で私が勝っております」
「だがそれ以前からなら三百二十勝三百十五敗で私が勝っています!」
二人は私の宮に通う様になって、剣の勝負を始めた。
三百二十勝三百十五敗とは、その頃からの勝負結果を言っているのだろう。良く覚えているものだ。
「ぐぅっ。幼い頃に負けが続いたのが悔やまれます」
幼い頃はエベラルドの方が体が小さかったし力も弱かった。発育の早かったテレンスはいつもエベラルドを負かしていたからその頃の勝敗が響いているのだろう。
「あの頃は体格差もありましたが、なにより私は未熟でした」
エベラルドの良いところは、自分の弱いところを素直に認めるところだ。
「今はすっかり君に背を抜かれたし、体つきも良くなっているじゃないか。私はいくら食べても痩せていて力が弱すぎる」
「だがその分動きが速い」
この二人が揃うと何て言うか暑苦しい感じを受けるが、でも気心は知れているから会話は楽しい。
ボナクララもそうなのか、微笑みながら二人を見ている。
「ボナクララはその間は礼儀作法の授業だったかな?」
「ええ、今日は初めての礼儀作法の授業になりますから、一年生全員での授業らしいです」
「一年生全員、そうか」
一年生と言えば、入学初日にハンカチを私の目の前に落として来た女生徒もいるのだろうか。
ちらりと視線をボナクララに向けると「まだ面識のない方も大勢いらっしゃるのでお話するのが楽しみです」とおっとりと笑っている。
こう見えてボナクララはこの年代の貴族令嬢をすでにまとめているから、心配はいらないだろうが、例の女生徒の様に予想もつかない行動を取る者もいるから油断はできない。
もっとも彼女もあれ以降接触してこないから、私に近付くのは諦めたのかもしれない。
あれがあったから、他の人間も同じ様に何か理由をつけ接触してこようとするのかと身構えていたが、今のところ他の者達は遠巻きにしているだけで何もしてこない。
教室では常にレモと護衛、それにボナクララとこの二人が側にいるから近付きたくても出来ないのかもしれないが今のところ学校の居心地は悪くなかった。
※※※※※※
暑苦しい男代表のブレガ君登場です。
「おはようございます。殿下、サデウス様」
教室に入ると、エベラルド・ブレガとテレンス・トルトゥがすぐさま近付いてきた。
二人は、というより大部分の生徒は私を殿下と呼びボナクララの事を仮名のサデウスと呼ぶ。
「二人共おはよう」
「おはようございます。お二人はいつも早いのですね」
エベラルドはブレガ侯爵家の嫡男、テレンスはトルトゥ伯爵家の嫡男で二人共茶色の髪と瞳をしているが外見は全く違う。エベラルドはがっしりとした長身、テレンスはひょろりとした印象だ。
二人共父上が私の友と決め幼いころから王子宮に遊びに来ていたから、ボナクララとも顔見知りだ。
「皆様もおはようございます」
「おはよう。皆、早いな」
教室の中にいた者たちへ声を掛けると、あちこちから声が上がる。
入学してから数日経つが、これはこの組では当たり前になりつつある朝の光景だ。
「今日は初めての剣術の授業があるから楽しみだな」
私とボナクララの席は隣同士だから、彼女の椅子を引き座らせてから自分も座る。
そうして落ち着いてから、私の傍から離れようとしない二人に声を掛ける。
「は、はい。殿下。私も今か今かと楽しみで仕方ありませんっ」
「私は少し緊張しております。殿下の前で無様な真似を晒したくはありませんが、最近少し稽古が出来ていなかったのもで」
エベラルドの声はいつも大きい。テレンスは少し神経質なところがあるから、剣術の授業が不安なのだと思う。
私は自分の実力が良く分かっていないから、少し不安だ。
「テレンスはそう言いながらも自信があるだろう。エベラルドとの勝敗は今はどちらが勝ち越している?」
「今年に入ってからは五勝三敗で私が勝っております」
「だがそれ以前からなら三百二十勝三百十五敗で私が勝っています!」
二人は私の宮に通う様になって、剣の勝負を始めた。
三百二十勝三百十五敗とは、その頃からの勝負結果を言っているのだろう。良く覚えているものだ。
「ぐぅっ。幼い頃に負けが続いたのが悔やまれます」
幼い頃はエベラルドの方が体が小さかったし力も弱かった。発育の早かったテレンスはいつもエベラルドを負かしていたからその頃の勝敗が響いているのだろう。
「あの頃は体格差もありましたが、なにより私は未熟でした」
エベラルドの良いところは、自分の弱いところを素直に認めるところだ。
「今はすっかり君に背を抜かれたし、体つきも良くなっているじゃないか。私はいくら食べても痩せていて力が弱すぎる」
「だがその分動きが速い」
この二人が揃うと何て言うか暑苦しい感じを受けるが、でも気心は知れているから会話は楽しい。
ボナクララもそうなのか、微笑みながら二人を見ている。
「ボナクララはその間は礼儀作法の授業だったかな?」
「ええ、今日は初めての礼儀作法の授業になりますから、一年生全員での授業らしいです」
「一年生全員、そうか」
一年生と言えば、入学初日にハンカチを私の目の前に落として来た女生徒もいるのだろうか。
ちらりと視線をボナクララに向けると「まだ面識のない方も大勢いらっしゃるのでお話するのが楽しみです」とおっとりと笑っている。
こう見えてボナクララはこの年代の貴族令嬢をすでにまとめているから、心配はいらないだろうが、例の女生徒の様に予想もつかない行動を取る者もいるから油断はできない。
もっとも彼女もあれ以降接触してこないから、私に近付くのは諦めたのかもしれない。
あれがあったから、他の人間も同じ様に何か理由をつけ接触してこようとするのかと身構えていたが、今のところ他の者達は遠巻きにしているだけで何もしてこない。
教室では常にレモと護衛、それにボナクララとこの二人が側にいるから近付きたくても出来ないのかもしれないが今のところ学校の居心地は悪くなかった。
※※※※※※
暑苦しい男代表のブレガ君登場です。
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