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番外編
おまけ 愛のかたち13 (蜘蛛視点)
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蜘蛛は先程の自分の失言を考えていた。
王妃は王子妃に毒を盛られたわけではなく、毒は陛下から与えられたのだ。
それを知っていたから、つい倒れたのはアデライザのまじないのせいかと聞いてしまった。
母上殿はそれを変に思わなかっただろうか。
「今回は幸い、いや幸いというのは語弊があるが、王子妃の企みがあったからアデライザのまじないが王妃に飛んで王妃が倒れても問題にならなかったのだろうと蜘蛛は思う。毒を飲んだから倒れるまでいったのか、それがなくとも倒れたのかは分からないが」
苦しい言い訳だ。
だが母上殿にはこのまま王妃は王子妃の毒で倒れたと信じていて欲しい。
父上殿は、陛下が王妃の命を終わらせる決断をしたと母上殿には知らせないと決めたのだろうから。
「そうだな、王妃様には不幸な偶然が重なったが、そのお陰でアデライザは助かったと言える。陛下がアデライザのまじないに気が付くとは思えないが、毒が無ければ理由を探されただろう」
父上殿は蜘蛛の意図に気が付き話を合わせてくれるが、父上の言葉に陛下が何故王妃が倒れたのか気にしているのではと心配になる。
父上殿の言葉は無条件に信じそうな気もするが、それでも不審な倒れ方を王妃はしているのだ。
毒が嘘だと知っている陛下は、気になるだろう。
「旦那様、アデライザのまじないはそんなに強力なものなのでしょうか。私の体は薬でも魔法でも治せないと言われていたというのに、今体の痛みが全くありませんわ」
後遺症が無くなったと母上殿は体感している様だ。
明らかに顔色がいいだけでなく、何故か若返っている様に見えるのだから訳が分からない。
ダニエラの言っていたまじないは、傷を治すだけだった。
まじないの言葉が違っていたからなのか、今回のまじないの方が威力が大きい気がする。
「それは分からない。まずは本当に良くなっているのか診てもらわないとならないな」
父上殿は困惑しつつ、母上殿の顔をじぃっと見つめる。
蜘蛛の目には母上殿はすっかり健康になったように見えるが、この若返りは騒ぎになるだろうな。
今の母上殿はダニエラと並べば姉妹にしか見えないだろうから、今の母上殿が着飾って夜会に出たらどんな魔法を使ったのだと婦人方に問い詰められるのは間違いない。
「父上殿、主に若返りの魔法陣が作れないか聞いてみようと思う」
魔力封じの魔道具も大至急必要だが、若返りの魔法陣は更に急がないといけないかもしれない。
女性の美に対する執着は恐ろしいものがあると、蜘蛛は分身が王宮で色々見ていたから知っているのだ。
「若返り、ふっ。ディーンがそれを考えるのか? 苦労するだろうな」
父上殿が笑って、それにつられて母上殿も笑いだした。
「母上殿の若返りをごまかす為だが、それだけでなくダニエラより主は年上なのだから、少しでも老け込むのが遅くなるものとか、若返りはあった方がいいと言えばきっと張り切って作ると思う。それが上手く出来たら母上殿の体を治す為に考えたものの効果に若返りもあったようだと言えばいい」
蜘蛛が真面目に話しているというのに、二人はまだ笑っている。
「くぅちゃん、あなた面白いわね」
「母上殿がそうやって楽しそうにしている姿は新鮮だ。だが、暫くは外に出ない方がいいだろうな」
「そうね。寝室に籠る位なんでもないわ。慣れているもの」
微笑んでいる母上殿を父上殿も嬉しそうに見ている。
主とダニエラと見ていると何でもない様に見えるが、父上殿と母上殿もかなり仲がいいのだな。
「父上殿、蜘蛛はそろそろダニエラところに行こうと思う。子供達の様子も見て来たい」
父上殿と話がしたいが、それを母上殿の前で言うわけにはいかない。
「くぅちゃん、ありがとう。ダニエラ達をよろしくね」
「任せて欲しい」
「頼りにしているわ」
蜘蛛はベッドから下りようと体を少し大きくしようとした。
「私もアデライザの様子を見てこよう」
大きくなりかけた体を、ひょいと父上殿が両手で持ち上げ左肩に乗せてしまった。
「父上殿」
「不思議だな、蜘蛛は重さを感じない」
慌てて落ちない様に父上殿の肩に摑まると、「ボナクララ後でまた来るよ」と言って父上殿は寝室を出た。
「父上殿、蜘蛛は話を聞きたい」
誰にどこまで話をしていいのか、蜘蛛は確認しておく必要がある。
まだ主に伝えていないが、蜘蛛は陛下と父上殿が毒を王妃に与えた瞬間を見ているのだ。
「私の部屋に行こう」
母上殿がいる寝室からそう遠くない場所、父上殿の執務室に入ると蜘蛛はそっとソファーの上に下ろされた。
「私は気が付かなかったが、蜘蛛はあの宮にいたのだったな」
「そうだ、蜘蛛は見ていた。もし不都合があるのなら今すぐここで蜘蛛を殺してくれ。蜘蛛は主には嘘がつけない」
蜘蛛は主に嘘はつけないが、ダニエラが蜘蛛に頼んだ秘密も、母上殿の秘密も蜘蛛は主に話さない。
だが、王妃の毒の件は別だ。
「ふっ。嘘をつく必要はない。だがダニエラとボナクララには秘密にしておいて欲しいな」
蜘蛛と向かい合わせのソファーに長い足を組んで腰を下ろした父上は、蜘蛛を屠るつもりは無い様だった。
王妃は王子妃に毒を盛られたわけではなく、毒は陛下から与えられたのだ。
それを知っていたから、つい倒れたのはアデライザのまじないのせいかと聞いてしまった。
母上殿はそれを変に思わなかっただろうか。
「今回は幸い、いや幸いというのは語弊があるが、王子妃の企みがあったからアデライザのまじないが王妃に飛んで王妃が倒れても問題にならなかったのだろうと蜘蛛は思う。毒を飲んだから倒れるまでいったのか、それがなくとも倒れたのかは分からないが」
苦しい言い訳だ。
だが母上殿にはこのまま王妃は王子妃の毒で倒れたと信じていて欲しい。
父上殿は、陛下が王妃の命を終わらせる決断をしたと母上殿には知らせないと決めたのだろうから。
「そうだな、王妃様には不幸な偶然が重なったが、そのお陰でアデライザは助かったと言える。陛下がアデライザのまじないに気が付くとは思えないが、毒が無ければ理由を探されただろう」
父上殿は蜘蛛の意図に気が付き話を合わせてくれるが、父上の言葉に陛下が何故王妃が倒れたのか気にしているのではと心配になる。
父上殿の言葉は無条件に信じそうな気もするが、それでも不審な倒れ方を王妃はしているのだ。
毒が嘘だと知っている陛下は、気になるだろう。
「旦那様、アデライザのまじないはそんなに強力なものなのでしょうか。私の体は薬でも魔法でも治せないと言われていたというのに、今体の痛みが全くありませんわ」
後遺症が無くなったと母上殿は体感している様だ。
明らかに顔色がいいだけでなく、何故か若返っている様に見えるのだから訳が分からない。
ダニエラの言っていたまじないは、傷を治すだけだった。
まじないの言葉が違っていたからなのか、今回のまじないの方が威力が大きい気がする。
「それは分からない。まずは本当に良くなっているのか診てもらわないとならないな」
父上殿は困惑しつつ、母上殿の顔をじぃっと見つめる。
蜘蛛の目には母上殿はすっかり健康になったように見えるが、この若返りは騒ぎになるだろうな。
今の母上殿はダニエラと並べば姉妹にしか見えないだろうから、今の母上殿が着飾って夜会に出たらどんな魔法を使ったのだと婦人方に問い詰められるのは間違いない。
「父上殿、主に若返りの魔法陣が作れないか聞いてみようと思う」
魔力封じの魔道具も大至急必要だが、若返りの魔法陣は更に急がないといけないかもしれない。
女性の美に対する執着は恐ろしいものがあると、蜘蛛は分身が王宮で色々見ていたから知っているのだ。
「若返り、ふっ。ディーンがそれを考えるのか? 苦労するだろうな」
父上殿が笑って、それにつられて母上殿も笑いだした。
「母上殿の若返りをごまかす為だが、それだけでなくダニエラより主は年上なのだから、少しでも老け込むのが遅くなるものとか、若返りはあった方がいいと言えばきっと張り切って作ると思う。それが上手く出来たら母上殿の体を治す為に考えたものの効果に若返りもあったようだと言えばいい」
蜘蛛が真面目に話しているというのに、二人はまだ笑っている。
「くぅちゃん、あなた面白いわね」
「母上殿がそうやって楽しそうにしている姿は新鮮だ。だが、暫くは外に出ない方がいいだろうな」
「そうね。寝室に籠る位なんでもないわ。慣れているもの」
微笑んでいる母上殿を父上殿も嬉しそうに見ている。
主とダニエラと見ていると何でもない様に見えるが、父上殿と母上殿もかなり仲がいいのだな。
「父上殿、蜘蛛はそろそろダニエラところに行こうと思う。子供達の様子も見て来たい」
父上殿と話がしたいが、それを母上殿の前で言うわけにはいかない。
「くぅちゃん、ありがとう。ダニエラ達をよろしくね」
「任せて欲しい」
「頼りにしているわ」
蜘蛛はベッドから下りようと体を少し大きくしようとした。
「私もアデライザの様子を見てこよう」
大きくなりかけた体を、ひょいと父上殿が両手で持ち上げ左肩に乗せてしまった。
「父上殿」
「不思議だな、蜘蛛は重さを感じない」
慌てて落ちない様に父上殿の肩に摑まると、「ボナクララ後でまた来るよ」と言って父上殿は寝室を出た。
「父上殿、蜘蛛は話を聞きたい」
誰にどこまで話をしていいのか、蜘蛛は確認しておく必要がある。
まだ主に伝えていないが、蜘蛛は陛下と父上殿が毒を王妃に与えた瞬間を見ているのだ。
「私の部屋に行こう」
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「そうだ、蜘蛛は見ていた。もし不都合があるのなら今すぐここで蜘蛛を殺してくれ。蜘蛛は主には嘘がつけない」
蜘蛛は主に嘘はつけないが、ダニエラが蜘蛛に頼んだ秘密も、母上殿の秘密も蜘蛛は主に話さない。
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