170 / 259
番外編
書き直し前(泣)おまけ 愛のかたち11 (陛下視点)
しおりを挟む
消えたーと泣いていたら、本編の下にあるよと教えて下さった皆様ありがとうございます。
内容そんなに変わりませんが、折角書いたので暫く両方残しておきます。
『私はデルロイ殿下をお慕いしておりますのよ。でも優秀な私を未来の王太子となられるダヴィデ殿下が求められるのは必然ですわね』
名を呼ぶ許可を与える前から余達の名を呼んだエマニュエラに向けて、不快以外の感情を余は持たなかった。
この女の口から、余が何より大切に思っているデルロイの名が出て来る事が不快でならず「デルロイの事は第二王子殿下と以外呼ぶことを許さぬ」と命令した。
従兄妹とはいえ、第一王子殿下、第二王子殿下と呼ぶボナクララとは違うエマニュエラの姿に、父上も母上も眉をひそめたが余がエマニュエラを婚約者と決めたと知ると「能力だけを見ると後悔するぞ」と諭したが、エマニュエラを野放しにする以上に後悔する事はないだろうと考えた末の事だった。
父上は余の望み通り、エマニュエラを余の婚約者候補、ボナクララをデルロイの婚約者候補として決め二人に教育を始める様指示した。
『ボナクララはこの程度も出来ないのですもの。姉妹として恥ずかしいわ』
王宮で共にダンスの練習を受けていると、エマニュエラは事あるごとにボナクララを貶してみせた。
余は嫉妬をしている振りをして、エマニュエラとデルロイが踊る事が無い様教師に言い含めていた。
エマニュエラがデルロイに触れるだけで、デルロイが穢れる気がするのだから我慢なんて出来るわけがなかった。
『ダンスは苦手ですが、もっと練習致します。デルロイ様が恥をかくのは嫌ですから』
エマニュエラの暴言に耐えながら、ボナクララはデルロイの隣で決心を口にする。
その顔はとても愛らしくて愛おしいと余は眩しい気持ちで見つめていた。
ボナクララの決心を励ますデルロイの優し気な笑みも、ボナクララの微笑みも余の心を癒した。
愛しいと初めて感じた女性ボナクララが余では無くデルロイを選んだのは当たり前だ。
デルロイを嫌う者等いるわけが無いし、余とデルロイならデルロイを選ぶのは当たり前だ。
むしろボナクララがデルロイを選ぶ方が正しいとさえ感じる、出来れば余の隣に居て欲しかったとボナクララの笑顔を見つめながら切なく思うが、そんな切なさはデルロイの幸せそうな笑みを見れば一瞬で吹き飛ぶ程度のものだった。
余が希望すればボナクララが誰を思おうと自分の婚約者に選ぶことは出来た。だがデルロイの幸せ以外大切なものなどないのだから、余の心の痛みなどなんでもない。
「婚約前、デルロイとボナクララと王妃と余の四人でダンスの練習を何度もした。あの日が懐かしい。あの頃はこんな風に妻の命を終わらせる日が来るとは思わなかった」
「……私もです」
何が悪かったのだろう。
王子妃になり、王妃になったエマニュエラが望んで手に入らないものなど何も無かっただろう。
最初から余の事など思ってはいなかったから、余の気持ちなどどうでも良かった筈だ。
それはお互いだ。
余もエマニュエラの、王妃の気持ちなどどうでも良かった。
ただ、エマニュエラがデルロイやボナクララを害する事が無い様に見張るだけ、権力を手にして好き勝手する王妃を最低限の害で止める様に見張っていただけだ。
守りの魔法を国の為に使い続ける、そして次代を産み育てる、王妃に余が望んだのはそれだけだった。
「そなたは何でも手に出来た筈、なぜ姉妹であるボナクララを害した。その娘であるダニエラも」
ボナクララの子が憎いのであれば、同じ様にニールも害していた筈だ。
だが、王妃はニールには何もしなかった。
第一王子にダニエラはお前のものだから好きにせよと洗脳し、第一王子を甘やかし自分と同じ傲慢な怪物に育ててしまった。
子の性格の殆どは育った環境によるのだと言う者がいるが、同じ環境で第二王子は真面目で謙虚な性格に育った。
厳選した乳母、子守、家庭教師、使用人、その環境は同じだったというのに、第二王子にも王妃は洗脳をしようとしていたのにあれはそうならなかった。
だが、第一王子は駄目だった。
王妃の性格そのままを受け継いだ様に、傲慢で我儘で残虐で陰湿だった。
ダニエラに執着し、自分のものだと自分に都合よく連れまわそうとする。
王妃が盛った毒の後遺症で、ダニエラは病弱ですぐに寝込む子供だった。
寝込んでいるダニエラを王宮に呼びつけようとするのを余は必死に止めた。
自分の身を挺してダニエラを守ろうとするボナクララを守りたかったし、大切な二人が苦しむのを悲しく見ているデルロイを守りたかった。
『おじさま、ダニエラおじさまのおひざにすわるの好きなの』
何よりダニエラを守りたかった。
幼い頃のデルロイと同じ笑顔で余に笑い掛け甘えるダニエラを、余は愛していたのだ。
ダニエラを守る騎士の様に常に側にいるニールも余は愛した。
余にとって二人は、もしかしたら自分の子としてボナクララとの間に生まれたかもしれない子供だった。
だからこそ愛したのかもしれない。
「デルロイ。余は間違えたのだろうか。無理にでも王妃を愛していればこれは誰も害さなかったのだろうか」
愛するなど出来る筈が無かった。
自分の為なら躊躇いなく他人を傷つける王妃、自分より秀でた女性を嫌い憎む王妃、自分が産んだ子供達も思い通りに動かなければ平気で罵倒する王妃、そんな者を愛せる筈が無かった。
守りの魔法の使い手で無ければ。何度そう思っただろう。
国の守りの為には王妃の魔法が必要だった。
その為には王妃の傲慢な行いを制御しつつ許すしかなかったのだ、余は無力な無能な王だった。
「王妃様は幼き頃から変わらなかったのです。それは愛を知らなかったからですが、愛される事ではなく自分が誰かを愛する事を知らなかった。私が兄上を愛した様に、誰かを思い大切にしたいという気持ちをこの方は知らなかったから、それ故の……私はそう思います」
そんな場合では無いのに、デルロイが余を愛したという言葉だけで余は無様に喜んでしまう。
それはもうどうしようもない。
「そうだな、王妃の両親も疑問視していたほどだ。何故王妃はそうだったのか、誰にも分からぬな」
ボナクララとエマニュエラ、そして二人の兄を彼らの親は分け隔てなく育てたのだと言う。
あまりにエマニュエラの考え方が酷いので、密に王家の影を使い見張らせていても、問題が見つからぬ環境で育てられていたというのに、エマニュエラだけがそう育ってしまっていた。
王妃だけでなく第一王子にもその素質があったのだろう。
その性質を王妃が助長させてしまい、今の第一王子が出来てしまった。
余が優秀な教師や心優しい乳母や子守を用意しても、余が気遣っても第一王子は王妃の様にしか育たなかった。
同じ様に育てた第二王子とは違う道を、愚かな傲慢な男に育ってしまった。
「兄上は王妃様を愛していればと仰いましたが、王妃様こそ兄上を愛していれば違ったのだと思います」
「余を愛していれば」
そうかデルロイの目からも余達の間に愛は無かった様に見えていたのか。
ならば仕方ない。互いに互いを思わずに夫婦となっていたのなら、歪んだ関係になっても仕方ないのだろう。
「王妃様が誰かを愛した事があるのかどうか、それはもう私達には分からないでしょう。姉妹の情すら無くボナクララを躊躇いなく害した人です。最初から私達の理解を超えているのです」
「デルロイ」
「兄上、私は抵抗できない者を害するなんてしたくありません。それはしてはいけない事だと思います。けれどこれは抵抗できない者を害するのとは違います。兄上はこの国を守る為にそうするのです」
「国を守る為」
「王妃様をこのまま生かしておくのは、国の為にはなりません。第一王子殿下の暴挙は兄上以外止められる者は無くそれは王子妃も同じ。それを王妃様が許している今の状況が続いてしまえば国が荒れてしまいます」
デルロイが言うのは事実だ。
第一王子は能力があるが、王太子には出来ない。
例え凡庸な第二王子を王太子にしても、きっと第一王子は第二王子を害しその立場を自分のものにしようとするだろう。
余の後を憂いなくするには、第一王子の力を余が見張れる内に削がなければならないのだ。
「……王妃はやり過ぎた。好き勝手していい命などこの世には無いと言うのに」
妻として側にいさせながら、余は一度も王妃を理解出来た事は無かった。
余の無能さを後悔するなら、これが一番の後悔だろう。
「王妃よ、もしも今意識があるなら、恨むなら余を恨め。そなたの恨みは余だけに向けよ」
苦しまなければいい。
罪を繰り返しても、余の妻であったその体が苦しまず神の園に迎えられればいい。
「そなたを愛せなかった。余を恨め」
仕掛けのある指輪から針を出し、王妃の首元に刺した。
北の国の毒、それは特徴的な反応を体に与え王妃を徐々に死に至らせる。
余は国の為、自分の為、妻を手に掛けてしまった。
「兄上、王妃様の恨みは私も受けます」
後悔しながら指輪を王妃の首に押し付け続ける余の手の上に、デルロイの手が重なった。
「王妃様、私の事もも恨んで下さい」
デルロイの手の温かさだけが、余の救いだった。
内容そんなに変わりませんが、折角書いたので暫く両方残しておきます。
『私はデルロイ殿下をお慕いしておりますのよ。でも優秀な私を未来の王太子となられるダヴィデ殿下が求められるのは必然ですわね』
名を呼ぶ許可を与える前から余達の名を呼んだエマニュエラに向けて、不快以外の感情を余は持たなかった。
この女の口から、余が何より大切に思っているデルロイの名が出て来る事が不快でならず「デルロイの事は第二王子殿下と以外呼ぶことを許さぬ」と命令した。
従兄妹とはいえ、第一王子殿下、第二王子殿下と呼ぶボナクララとは違うエマニュエラの姿に、父上も母上も眉をひそめたが余がエマニュエラを婚約者と決めたと知ると「能力だけを見ると後悔するぞ」と諭したが、エマニュエラを野放しにする以上に後悔する事はないだろうと考えた末の事だった。
父上は余の望み通り、エマニュエラを余の婚約者候補、ボナクララをデルロイの婚約者候補として決め二人に教育を始める様指示した。
『ボナクララはこの程度も出来ないのですもの。姉妹として恥ずかしいわ』
王宮で共にダンスの練習を受けていると、エマニュエラは事あるごとにボナクララを貶してみせた。
余は嫉妬をしている振りをして、エマニュエラとデルロイが踊る事が無い様教師に言い含めていた。
エマニュエラがデルロイに触れるだけで、デルロイが穢れる気がするのだから我慢なんて出来るわけがなかった。
『ダンスは苦手ですが、もっと練習致します。デルロイ様が恥をかくのは嫌ですから』
エマニュエラの暴言に耐えながら、ボナクララはデルロイの隣で決心を口にする。
その顔はとても愛らしくて愛おしいと余は眩しい気持ちで見つめていた。
ボナクララの決心を励ますデルロイの優し気な笑みも、ボナクララの微笑みも余の心を癒した。
愛しいと初めて感じた女性ボナクララが余では無くデルロイを選んだのは当たり前だ。
デルロイを嫌う者等いるわけが無いし、余とデルロイならデルロイを選ぶのは当たり前だ。
むしろボナクララがデルロイを選ぶ方が正しいとさえ感じる、出来れば余の隣に居て欲しかったとボナクララの笑顔を見つめながら切なく思うが、そんな切なさはデルロイの幸せそうな笑みを見れば一瞬で吹き飛ぶ程度のものだった。
余が希望すればボナクララが誰を思おうと自分の婚約者に選ぶことは出来た。だがデルロイの幸せ以外大切なものなどないのだから、余の心の痛みなどなんでもない。
「婚約前、デルロイとボナクララと王妃と余の四人でダンスの練習を何度もした。あの日が懐かしい。あの頃はこんな風に妻の命を終わらせる日が来るとは思わなかった」
「……私もです」
何が悪かったのだろう。
王子妃になり、王妃になったエマニュエラが望んで手に入らないものなど何も無かっただろう。
最初から余の事など思ってはいなかったから、余の気持ちなどどうでも良かった筈だ。
それはお互いだ。
余もエマニュエラの、王妃の気持ちなどどうでも良かった。
ただ、エマニュエラがデルロイやボナクララを害する事が無い様に見張るだけ、権力を手にして好き勝手する王妃を最低限の害で止める様に見張っていただけだ。
守りの魔法を国の為に使い続ける、そして次代を産み育てる、王妃に余が望んだのはそれだけだった。
「そなたは何でも手に出来た筈、なぜ姉妹であるボナクララを害した。その娘であるダニエラも」
ボナクララの子が憎いのであれば、同じ様にニールも害していた筈だ。
だが、王妃はニールには何もしなかった。
第一王子にダニエラはお前のものだから好きにせよと洗脳し、第一王子を甘やかし自分と同じ傲慢な怪物に育ててしまった。
子の性格の殆どは育った環境によるのだと言う者がいるが、同じ環境で第二王子は真面目で謙虚な性格に育った。
厳選した乳母、子守、家庭教師、使用人、その環境は同じだったというのに、第二王子にも王妃は洗脳をしようとしていたのにあれはそうならなかった。
だが、第一王子は駄目だった。
王妃の性格そのままを受け継いだ様に、傲慢で我儘で残虐で陰湿だった。
ダニエラに執着し、自分のものだと自分に都合よく連れまわそうとする。
王妃が盛った毒の後遺症で、ダニエラは病弱ですぐに寝込む子供だった。
寝込んでいるダニエラを王宮に呼びつけようとするのを余は必死に止めた。
自分の身を挺してダニエラを守ろうとするボナクララを守りたかったし、大切な二人が苦しむのを悲しく見ているデルロイを守りたかった。
『おじさま、ダニエラおじさまのおひざにすわるの好きなの』
何よりダニエラを守りたかった。
幼い頃のデルロイと同じ笑顔で余に笑い掛け甘えるダニエラを、余は愛していたのだ。
ダニエラを守る騎士の様に常に側にいるニールも余は愛した。
余にとって二人は、もしかしたら自分の子としてボナクララとの間に生まれたかもしれない子供だった。
だからこそ愛したのかもしれない。
「デルロイ。余は間違えたのだろうか。無理にでも王妃を愛していればこれは誰も害さなかったのだろうか」
愛するなど出来る筈が無かった。
自分の為なら躊躇いなく他人を傷つける王妃、自分より秀でた女性を嫌い憎む王妃、自分が産んだ子供達も思い通りに動かなければ平気で罵倒する王妃、そんな者を愛せる筈が無かった。
守りの魔法の使い手で無ければ。何度そう思っただろう。
国の守りの為には王妃の魔法が必要だった。
その為には王妃の傲慢な行いを制御しつつ許すしかなかったのだ、余は無力な無能な王だった。
「王妃様は幼き頃から変わらなかったのです。それは愛を知らなかったからですが、愛される事ではなく自分が誰かを愛する事を知らなかった。私が兄上を愛した様に、誰かを思い大切にしたいという気持ちをこの方は知らなかったから、それ故の……私はそう思います」
そんな場合では無いのに、デルロイが余を愛したという言葉だけで余は無様に喜んでしまう。
それはもうどうしようもない。
「そうだな、王妃の両親も疑問視していたほどだ。何故王妃はそうだったのか、誰にも分からぬな」
ボナクララとエマニュエラ、そして二人の兄を彼らの親は分け隔てなく育てたのだと言う。
あまりにエマニュエラの考え方が酷いので、密に王家の影を使い見張らせていても、問題が見つからぬ環境で育てられていたというのに、エマニュエラだけがそう育ってしまっていた。
王妃だけでなく第一王子にもその素質があったのだろう。
その性質を王妃が助長させてしまい、今の第一王子が出来てしまった。
余が優秀な教師や心優しい乳母や子守を用意しても、余が気遣っても第一王子は王妃の様にしか育たなかった。
同じ様に育てた第二王子とは違う道を、愚かな傲慢な男に育ってしまった。
「兄上は王妃様を愛していればと仰いましたが、王妃様こそ兄上を愛していれば違ったのだと思います」
「余を愛していれば」
そうかデルロイの目からも余達の間に愛は無かった様に見えていたのか。
ならば仕方ない。互いに互いを思わずに夫婦となっていたのなら、歪んだ関係になっても仕方ないのだろう。
「王妃様が誰かを愛した事があるのかどうか、それはもう私達には分からないでしょう。姉妹の情すら無くボナクララを躊躇いなく害した人です。最初から私達の理解を超えているのです」
「デルロイ」
「兄上、私は抵抗できない者を害するなんてしたくありません。それはしてはいけない事だと思います。けれどこれは抵抗できない者を害するのとは違います。兄上はこの国を守る為にそうするのです」
「国を守る為」
「王妃様をこのまま生かしておくのは、国の為にはなりません。第一王子殿下の暴挙は兄上以外止められる者は無くそれは王子妃も同じ。それを王妃様が許している今の状況が続いてしまえば国が荒れてしまいます」
デルロイが言うのは事実だ。
第一王子は能力があるが、王太子には出来ない。
例え凡庸な第二王子を王太子にしても、きっと第一王子は第二王子を害しその立場を自分のものにしようとするだろう。
余の後を憂いなくするには、第一王子の力を余が見張れる内に削がなければならないのだ。
「……王妃はやり過ぎた。好き勝手していい命などこの世には無いと言うのに」
妻として側にいさせながら、余は一度も王妃を理解出来た事は無かった。
余の無能さを後悔するなら、これが一番の後悔だろう。
「王妃よ、もしも今意識があるなら、恨むなら余を恨め。そなたの恨みは余だけに向けよ」
苦しまなければいい。
罪を繰り返しても、余の妻であったその体が苦しまず神の園に迎えられればいい。
「そなたを愛せなかった。余を恨め」
仕掛けのある指輪から針を出し、王妃の首元に刺した。
北の国の毒、それは特徴的な反応を体に与え王妃を徐々に死に至らせる。
余は国の為、自分の為、妻を手に掛けてしまった。
「兄上、王妃様の恨みは私も受けます」
後悔しながら指輪を王妃の首に押し付け続ける余の手の上に、デルロイの手が重なった。
「王妃様、私の事もも恨んで下さい」
デルロイの手の温かさだけが、余の救いだった。
62
お気に入りに追加
2,710
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
鳳ナナ
恋愛
第二王子カイルの婚約者、公爵令嬢スカーレットは舞踏会の最中突然婚約破棄を言い渡される。
王子が溺愛する見知らぬ男爵令嬢テレネッツァに嫌がらせをしたと言いがかりを付けられた上、
大勢の取り巻きに糾弾され、すべての罪を被れとまで言われた彼女は、ついに我慢することをやめた。
「この場を去る前に、最後に一つだけお願いしてもよろしいでしょうか」
乱れ飛ぶ罵声、弾け飛ぶイケメン──
手のひらはドリルのように回転し、舞踏会は血に染まった。

最初からここに私の居場所はなかった
kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。
死なないために努力しても認められなかった。
死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。
死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯
だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう?
だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。
二度目は、自分らしく生きると決めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。
私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~
これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m
これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

「奇遇ですね。私の婚約者と同じ名前だ」
ねむたん
恋愛
侯爵家の令嬢リリエット・クラウゼヴィッツは、伯爵家の嫡男クラウディオ・ヴェステンベルクと婚約する。しかし、クラウディオは婚約に反発し、彼女に冷淡な態度を取り続ける。
学園に入学しても、彼は周囲とはそつなく交流しながら、リリエットにだけは冷たいままだった。そんな折、クラウディオの妹セシルの誘いで茶会に参加し、そこで新たな交流を楽しむ。そして、ある子爵子息が立ち上げた商会の服をまとい、いつもとは違う姿で社交界に出席することになる。
その夜会でクラウディオは彼女を別人と勘違いし、初めて優しく接する。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる