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番外編

ほのぼの日常編1 再婚を祝う人々15(ダニエラ視点)

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「ディーン、まさか私の為に?」

 確かあれは、そろそろデビュタントのドレスを作ろうと話をしていた時の事です。
 その頃既に私の外出用のドレスはすべて大魔糸を織った布で作られていましたから、当然デビュタントのドレスも布を織るところから始まります。ですから普通にドレスを仕立てるより時間がかかるのです。
 一年ほどの余裕はあっても、凝った刺繍やレースを使おと思えば時間などいくらあっても足りません。
 ドレスの希望を聞かれて、私は刺繍では無く薔薇の模様が裾にあったら嬉しいけれどそれは出来ないわね。と呟いたのです。
 ドレス職人はそれは難しいから、糸を銀色に染めて薔薇の輪郭のみを刺繍しましょう。と提案してくれました。
 けれど出来上がったドレスは、刺繍ではなく美しい薔薇の花が布に描かれていたのです。

「デビュタントのドレス、素晴らしい薔薇の花が描かれていたのよ。今でも大切にとってあるわ」
「ほほほ、素晴らしい薔薇カ。絵心を褒められて悪い気はしないナ」
「絵心?」

 今絵心と言ったのは蜘蛛さんです。
 蜘蛛さんというのは呼びにくいですが、名前は無いのでしょうか。

「蜘蛛さん? あの薔薇を描いたのは蜘蛛さんなの?」
「ソウダ。主は魔法陣の腕は良いが、絵の才は全く無いのでナ。仕方が無いから蜘蛛が描いた」
「魔法陣の腕だけでも十分過ぎる程凄い事よ。それにしても、あの素敵なドレスはディーンと蜘蛛さんの努力の結果出来たものだったのね。ありがとうディーン、蜘蛛さん」

 驚く以外出来ない状態でディーンを見つめながらお礼を言うと、少し照れた様な顔で私を見ています。
 何て言うか、ディーンは褒めた時の顔が小さな子供の様で可愛いのです。
 可愛いですが、それをお兄様の前で指摘するのは出来ませんから無理矢理に話題を変えてしまいます。
 それでなくても、恥ずかしい事を色々としているのですから、これ以上は駄目です。
 
「ところで、蜘蛛さんは名前は無いのかしら?」
「面白いコトをイウ、魔物に名前をツケル馬鹿はイナイ」
「ディーンはなんて呼んでいるの?」
「蜘蛛ですね、大勢いますから」

 一体では無い……大勢の蜘蛛達、物凄く大きい蜘蛛が大勢、駄目です気が遠くなりかけました。
 強い意思を持たなくちゃ、頑張れダニエラ、私なら出来ます大丈夫と自分に言い聞かせます

「皆会話が出来て色と大きさを変えられるのかしら、大魔女郎蜘蛛って凄いのね」

 間近で見ても、この大きさと色なら悲鳴を上げたり気を失ったりはしません。
 ただ怖いだけです、恐ろしいだけです。でもきっと、今は無理でもそのうちに慣れて来る筈です。
 出来ればもう少し小さくて目にも心にも優しい見た目ならありがたいですが、小さくなろうと頑張った結果が今なのですから受け入れなければいけません。

「主の領地に行くために特訓シタ。褒めてくれてイイゾ」

 この蜘蛛さん、何だか楽しい性格をしている様な気がしてきました。
 それにしても、特訓という概念が魔物にあるのは凄いと思います。
 この蜘蛛さんの知能がそれだけ高いのでしょうか。
 
「そうなのね。住み慣れた場所から全員離れるの?」
「全員? 数体は残してアル」

 残してある? 不思議な言い方をしている様に感じますが気にしてはいけないのでしょう。
 賢く心安らかに生きるコツは、深く追求しない事だと私は短い人生で学んでいます。

「そう、でも小さくなれるなら一緒に馬車に乗って領地に向かえるわね」
「馬車? ああ、ここに来るタメに乗ったものだな。また乗るのか主」
「向こうに着いてからは馬になるなぁ。馬車では時間が掛かり過ぎるから」
「そうなのか、馬に乗るのは初めてダ。主の頭に乗って走るのはドウだ?」
「領民が驚くよ」

 ディーンの話し方が私に向けてのものとは違ってくだけた感じなのは、何だか新鮮です。
 こういう話仕方を私にもしてくれて良いと思いますけれど、それは夫婦になってからでしょうか。
 そう考えると、ちょっと楽しみが増えた気がします。
 でも、今の会話気になる言葉が出ていました。馬で領地に向かうつもりなのでしょうか。

「ソウカ」
「ディーン? 馬で領地に向かっても婚姻の儀式までに戻ってこられないわ」
「馬で行くわけではありませんから、明日には戻って来られると思います」

 ディーンの返事に私は首を傾げてしまいますが、お兄様は当然という顔をしながら蜘蛛さんがのっていない方の彼の肩を掴みました。

「ディーン、そろそろダニエラを離してやれ」

 蜘蛛さんに慣れるのに必死で忘れていましたが、そう言えばまだ私はディーンの腕の中にいました。
 ちょっと待って、腕の中です。
 お兄様の眼の前で、当然のように腕の中に……。
 今日は色々失態をし続けていますが、これが一番恥ずかしい気がします。
 失言もしていますが、あれは記憶の彼方へ飛ばします。
 気を失っていた時の発言まで責任は持てません。

「申し訳ありません、苦しかったですね。気遣いが足りず申し訳ありません」

 ディーンは抱きしめていた私の体をソファーに座らせてから、お兄様の方を見て謝罪しました。
 何ていうか、見当違いな謝罪をしているように感じるのは私だけでしょうか。
 謝罪は私に向けてするべきではないでしょうか。

「ディーン、おまえ益々面白くなってきたな」
「面白い? 蜘蛛ではなく私ですか?」
「その蜘蛛はおまえに合わせているだけだろう。それより早く設置してきなさい。愚図々々していると日が暮れる」

 設置? 日が暮れる?

「そうですね。設置は四半刻も掛からず終わります」
「分かった」
「では、鍵をお借りします」

 意味が分からず首を傾げている私を置いてけぼりにしたまま、ディーンとお兄様は会話を続けた後お兄様から鍵を受け取ったディーンは、一人だけ部屋の奥の扉に向い始めました。

「主が設置している間、ココニいる」
「それは、でも」
「伴侶殿と仲良くナル」

 それだけ言うと、蜘蛛さんはディーンの肩からスーッと糸を垂らして床まで下りてくると、カサカサと足を動かしてテーブルの上にやって来ました。

「ダニエラ、怖くありませんか?」
「いいえ。蜘蛛さん凄いのね、移動が早いわ」

 もう、馬鹿に見えてもいいとばかりに変な感想を口にしましたが、頭の中で考えているのはこんなに足が早くては私では逃げられないという事です。
 
「ダニエラ、その感想はどうなんだ」

 案の定お兄様は呆れていますが、私は真剣です。
 絶対に蜘蛛さんと仲良くならなければ、私と娘の未来はありません。

「ダニエラが平気そうなら、ここにいさせて下さい」

 申し訳無さそうな顔をしながら、ディーンは扉に近付くと鍵を扉の前に向けて何か呟きました。

「え」
「あの鍵と扉は魔道具だ。二つを近付け特定の言葉を言いながら魔力を流さなければ扉は開かない。魔力は父上と私とディーンのみ登録しているから、他の者では扉は開かないし無理に開こうとすれば部屋の中は一瞬で燃える」
「燃える?」

 扉の奥に消えたディーンを見送りながら、何故そんな恐ろしい仕組みを作ったのか考えますが、私には想像もつきません。

「あの部屋は何なのですか」
「転移の魔法陣が置いてある。あそこから公爵領の屋敷に転移出来る。ディーンは、ネルツ領の屋敷に転移するための魔法陣を設置しようとしているんだ」
「転移の魔法陣」
「転移の魔法陣は膨大な魔力を必要とするし、対になる魔法陣がなければ転移出来ないから安易には使えないし万能でも無いと陛下達には報告しているが、実際は小さな魔石一つで転移出来るし、ディーンだけなら転移の魔法陣を刻んだ魔石一つでどの場所にも転移出来る。ディーンはネルツ領からこの屋敷にいつでも転移出来る様、魔法陣を設置しに来た。設置後は動作確認を含めて蜘蛛を連れてネルツ領へ転移する」
「蜘蛛さんと転移」

 お兄様は簡単に言いますが、転移なんて本当に出来るとは想えません。
 それに、そんな凄いものをディーンは発明してしまったなんて、驚き以外の言葉が見つかりません。

「伴侶殿、今は一緒には転移出来ないガ、向こうの場所に魔法陣を置いたら次からは置いていかないカラ」
「次は、私も連れて行ってくれるのですね」

 この蜘蛛さんには、お兄様の説明に驚いている私が置いて行かれるのを悲しんでいるように見えたのでしょうか。

「心配するナ。主は伴侶殿の側から離れナイ。むしろ主は伴侶殿と長く離れたくナイから、転移の魔法陣を置くノダ。主は臆病者だからナ」
「蜘蛛さんの目からはそう見えるのですか?」
「主は臆病者の寂しがりダ。伴侶殿は苦労するだろうガ見捨てないでヤッテ欲しい」

 臆病者の寂しがり、それはまさにディーンを表す言葉だと思いますが、それを魔物の蜘蛛から聞くとは。

「私みたいな世間知らずでもいいのでしょうか」
「蜘蛛に出来るのは力を貸すコトだけダ。人の繋がりナド蜘蛛にはワカラナイ。主は蜘蛛を使役シテイルが、蜘蛛は主を子の様に思ってイル。主の伴侶もまた蜘蛛の子ダ、だから蜘蛛は主と伴侶殿を守るル」

 主人と使役獣の関係とは違うような雰囲気はありましたが、まさか子供の様に思っているとは驚きました。
 先程主を貰ってくれる発言をしていましたが、まさか蜘蛛さん「うちの子を貰ってくれる気になってありがとう」みたいな気持ちになっているのでしょうか。

「使役獣は主を子供の様に思うものなのですか」
「イイヤ。使役の契約をスルトキ、主の心の中は孤独しか無かった。寂しい寂しいと頼れるものを求めてイタ。あの時蜘蛛を使役するには魔力が少し足りなかったガ、あの子供の孤独に絆されたノダ」

 魔物の蜘蛛に同情される、ゲームのヤンデレキャラディーンというのはどういう存在だったのでしょう。
 私はお兄様よりも蜘蛛さんよりも付き合いが短いですし、彼についてはまだゲームの知識の方が多い位です。

「孤独」
「主にはニール様ガいた。後になって魔法師団ノ者達も主を友とスル様になった。少しずつ孤独は癒えて満たされタけれど。足りないモノがあった」
「足りないもの?」
「主を愛する者、主が愛する者ダ」
「それが私」
「ソウダ。血の繋がりナドくだらないものだ。けれど主はその繋がりの者に愛されたいト願って願って、それでも叶わなカッタ。愛さナイだけでなく、主を害シタ。使役獣は契約で主が許可したモノ以外害せない。あの時どれほどそれが口惜しかったカ分からナイ」

 蜘蛛さんがディーンを思う気持ちを理解しながら、私は血の気が引く思いがしました。
 今、蜘蛛さんは、使役獣は主が許可したもの以外害せないと言いました。
 ゲームのダニエラとダニエラの娘は、大魔女郎蜘蛛に害されたのです。
 それはディーンの使役獣、つまり私を害したのは、私と娘を害したのはディーンだったと言う事です。

「ドウシタ、伴侶殿」
「ダニエラ、顔色が悪い」
「蜘蛛さんは誰を害したいと思ったの? それはディーンの母親なの、それとも兄の方?」
「母親だ。アレは母の振りをしたケダモノだ」

 蜘蛛さんの目から感情なんて読み取れはしないけれど、その時の蜘蛛さんの目は背筋が寒くなる程冷たい気がしたのは私の恐怖故なのでしょうか。

「侯爵夫人は、二度とディーンの前に姿を見せる事はないわ。そうよね、お兄様」
「ああ、ディーンがそれを望んでも、私と父上がそれを許さない。あれはディーンにとって害悪にしかならないからな。私の義弟になる者にそんなもの近づけたりはしない」
「そうか、ニール様。蜘蛛はディーンが信ジルニール様を信ジル」

 私と言うイレギュラーがいるのだから、私はディーンに嫁ぐのだからゲームとはすでに違ってきているのだと思います。
 それでも、私は不安で不安でどうしようもないのです。

※※※※※※
蜘蛛さん、王家の森の蜘蛛達を沢山食べて自分の力にして来ましたが、ディーンが使役する数体は森に残してます。
大魔女郎蜘蛛トップが蜘蛛さんなので、力の弱い蜘蛛達はトップを更に強くする為納得して食べられました。
ダニエラが知ったら怖がるだろうと思い内緒にしている蜘蛛さんです。
ちなみにディーンは、蜘蛛にも魔法師団の面々にも勿論ディーンにも、なんていうか放っておけない庇護したくなる人物として認識されています。
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