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番外編
ほのぼの日常編2 くもさんはともだち2(ダニエラ視点)
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「おかあさまぁ、おはよぉございましゅ。あのね、ディーダきょうはおべんきょうしにゃいのっ!」
朝食の席に着いていた私の前に満面の笑みでやって来たマチルディーダは、堂々と私に宣言した後でディーンの方へと走って行ってしまいました。
私の娘、マチルディーダは今朝もとても元気です。
生まれた時は死にかけた子だとはとても思えません。
「おはようディーダ、ここは食事をする場所なのだから走ってはいけないよ。埃が立つだろう?」
「おはようごじゃいましゅ。おとおさまっ。だっこぉ」
ディーンの注意を無視し、両手を伸ばすマチルディーダに朝から目眩がしてきます。
この子は誰が自分を甘やかしてくれるのか、しっかりと分かっていてこういう事をするのだから気が抜けません。
「マチルディーダ、お父様が注意されているのに聞こえない振りをしては駄目よ」
次女のアデライザを抱いた乳母と、マチルディーダの乳母の二人が私を見てオロオロとしているのを横目に注意します。
私とは違い、ディーンは子供達に常に甘いのです極甘です。
叱るのも優しいから、マチルディーダはディーンに甘えて誤魔化そうとするのです。
娘が可愛いのは分かりますが、ディーンだけでなく使用人達も公爵家の人間も揃ってマチルディーダに甘いのですから困ってしまいます。
「おかぁさまぁ。だってディーダおとおさまにはやくあいちゃちゅしたかったの」
走ると言っても幼児の足ですから、速度はありませんが足をもつれさせて転びかねません。
擬音にするならポテポテという走り方です、実は走っている速度ではありません常に転ぶ一歩手前です。
行儀が悪いよりそちらが心配なのですが、転ぶ心配では無く部屋の中で走ってはいけないのだと教えなければなりません。
「ディーダ、急いで来てくれたのは嬉しいけれど、テーブルの近くで走ったら危ないよ。もしテーブルにぶつかってディーダが転んでしまったら大変だ」
「たいへんにゃの?」
「転んだらディーダが怪我をするかもしれない。そうしたらお父様は悲しくて泣いてしまうよ」
マチルディーダの希望通り彼女を抱き上げて頬ずりしているディーンは、甘々な声で注意とも呼べない言い方をしています。
こんなに広い場所でさすがにテーブルに打つかりはしないでしょうけれど、マチルディーダは必ず「どうちてだめにゃの」と舌足らずな口調で聞いてくるから、理由を教えながら注意しないといけません。
でもあの言い方でいいのでしょうか。
「おとおさま、なかないで。よちよち」
小さな手をディーンに向け、マチルディーダは頭を撫でる真似を始めました。
私がよく子供達の頭を撫でているから、褒める時や慰める時はそうするものだとマチルディーダは覚えてしまったようですが、あまりの愛らしい行いに食堂にいる人間全員が目を細めて微笑ましく見ています。
本当、私の娘って天使なんじゃないでしょうか。
「慰めてくれてありがとう。ディーダは優しいね。さあロニーにも挨拶しておいで」
「はぁい。ヨニー? ディーダよ、こっち見てヨニーあいちゃちゅするの、おはよぉごじゃいましゅってして」
ディーンがマチルディーダを下ろすと、今度は走ることはせずに、よちよちと擬音が付きそうな歩き方でロニーの所に向います。
マチルディーダは、走る時はポテポテですが、歩く時はよちよちという言葉がぴったりです。
マチルディーダが歩く度に、エプロンドレスの腰のリボンと頭の上で大きく結んだリボンが揺れています。
後ろ姿だけでも可愛いと思うのは、親の欲目ではないと思います。
マチルディーダもアデライザもとても愛らしく、天使が二人! と時々見惚れてしまう位に可愛いのですから。
ちなみに二人ともディーンに良く似ていて、私とは違いタレ目っぽい顔立です。
私やディーンを見上げる時、マチルディーダの大きな瞳が愛らし過ぎてつい抱き上げてしまいたくなりますし、アデライザがふにゃりと笑う顔を見ると私もつい同じ顔をしてしまいます。
本当私の子供、二人とも天使です。
「ヨニー、ディーダのおこえ聞こえにゃいの?」
マチルディーダにずっと視線を向けていたロニーは、自分の方に向きを変えたマチルディーダを見るなり視線をテーブルに向けてしまいました。
気にしていない振り、そっけない態度でロニーはマチルディーダに接しようといつも頑張っていますが、それが成功した事がありません。
ロニーの生活は、勉強より何よりマチルディーダが最優先なのです。
ロニーはマチルディーダが起きる前にその日の勉強を終わらせ、日中の殆どを共に過ごしています。
最初の頃は二人が離れている時間を作らせようとしていましたが、その度に絶望し目から光を無くすロニーを見て諦めてしまいました。
今はマチルディーダが家庭教師に礼儀作法を教わっている間ロニーも同じ部屋で家庭教師に勉強を教わり、それ以外は自主学習に任せています。
家庭教師が勉強不足と判断した時点でこの生活を止める約束ですが、今のところ学力に問題は無く、睡眠不足が目立つ程度でしょうか。
もっともマチルディーダとお昼寝をしているので、これも心配は少しだけかもしれません。
「ヨニーじゃない、ロニーだ。おはよう、マチルディーダ姫様のご機嫌はどうかな」
「ディーダは、ちゃんとヨニーっていったもんっ。いじわゆっ!」
ロニーの名前をマチルディーダは、たまに上手く言えなくなるのがロニーは面白くないらしく、このやり取りは毎朝の事です。
マチルディーダが目を覚ますのは、私達が朝食を頂き始める位の時刻で、たまに遅くなり家族揃って会えない時もあります。今日はマチルディーダもアデライザも機嫌よく起きてきたので、早朝から顔が見えて嬉しく思っていますが、出来れば一番最初に自分に挨拶して欲しいロニーは、マチルディーダがまず私とディーンに挨拶するのが悔しいらしいので、名前くらいちゃんと呼んで欲しいのでしょう。
そんな事を言えば、私はお母様ではなく、おかあさまぁだし、ディーンはお父様ではなく、おとおさまなのですがそれは幼い子供だから仕方がありません。
そもそも、自分の名前のマチルディーダも上手く発音出来ずに、いつの間にかディーダと略して言うようになったのですから。
「マチルディーダ、大声を出すのは行儀悪いよ。さあ僕かが食べさせてあげるね」
ロニーは意地悪と言われて拗ねています。
拗ねながら、マチルディーダを抱き上げると自分の膝の上に座らせてしまいました。
「ディーダ赤ちゃんじゃないのっ! ひとりでたべられりゅのっ!」
マチルディーダは両手をパタパタさせて暴れるけれど、もうすぐ四歳になる幼児が今年十二歳になる子に力で勝てる筈がないので、ロニーにしてみれば甘えられているようなものでしょう。
「暴れたら落ちるかもしれないから、しっかり抱きしめていないとね。お義母様僕が食べさせていいですよね」
意地悪という言葉が余程嫌だったのでしょう。
ロニーはマチルディーダをぎゅうぎゅうと抱きしめながら暗い目をして私を見ていますが、これは許すわけにはいきません。
「ロニー、許可出来ないわ。そんなにあなたに甘やかされたらマチルディーダの教育に良くないもの。それよりもロニーが食事の作法のお手本を見せてあげて。マチルディーダは良い事も悪い事もあなたの真似をしたがるから、あなたが美しい所作で食事をしている姿を見たら、マチルディーダもきっと同じくしようとするわ。大変だろうけれどお願いねロニー」
頭痛を感じながら何とか言葉を絞り出すと、ロニーはすぐさまマチルディーダを抱いたまま立ち上がり、隣の椅子にマチルディーダを座らせ世話を焼き始めたのです。
※※※※※※※
前回シリアスな終わり方していましたが、可愛いマチルディーダの登場です。
赤ちゃん、無事に大きくなりました。
みんなに愛される甘えっ子に育っております。
マチルディーダの名前については、次回の更新で。
朝食の席に着いていた私の前に満面の笑みでやって来たマチルディーダは、堂々と私に宣言した後でディーンの方へと走って行ってしまいました。
私の娘、マチルディーダは今朝もとても元気です。
生まれた時は死にかけた子だとはとても思えません。
「おはようディーダ、ここは食事をする場所なのだから走ってはいけないよ。埃が立つだろう?」
「おはようごじゃいましゅ。おとおさまっ。だっこぉ」
ディーンの注意を無視し、両手を伸ばすマチルディーダに朝から目眩がしてきます。
この子は誰が自分を甘やかしてくれるのか、しっかりと分かっていてこういう事をするのだから気が抜けません。
「マチルディーダ、お父様が注意されているのに聞こえない振りをしては駄目よ」
次女のアデライザを抱いた乳母と、マチルディーダの乳母の二人が私を見てオロオロとしているのを横目に注意します。
私とは違い、ディーンは子供達に常に甘いのです極甘です。
叱るのも優しいから、マチルディーダはディーンに甘えて誤魔化そうとするのです。
娘が可愛いのは分かりますが、ディーンだけでなく使用人達も公爵家の人間も揃ってマチルディーダに甘いのですから困ってしまいます。
「おかぁさまぁ。だってディーダおとおさまにはやくあいちゃちゅしたかったの」
走ると言っても幼児の足ですから、速度はありませんが足をもつれさせて転びかねません。
擬音にするならポテポテという走り方です、実は走っている速度ではありません常に転ぶ一歩手前です。
行儀が悪いよりそちらが心配なのですが、転ぶ心配では無く部屋の中で走ってはいけないのだと教えなければなりません。
「ディーダ、急いで来てくれたのは嬉しいけれど、テーブルの近くで走ったら危ないよ。もしテーブルにぶつかってディーダが転んでしまったら大変だ」
「たいへんにゃの?」
「転んだらディーダが怪我をするかもしれない。そうしたらお父様は悲しくて泣いてしまうよ」
マチルディーダの希望通り彼女を抱き上げて頬ずりしているディーンは、甘々な声で注意とも呼べない言い方をしています。
こんなに広い場所でさすがにテーブルに打つかりはしないでしょうけれど、マチルディーダは必ず「どうちてだめにゃの」と舌足らずな口調で聞いてくるから、理由を教えながら注意しないといけません。
でもあの言い方でいいのでしょうか。
「おとおさま、なかないで。よちよち」
小さな手をディーンに向け、マチルディーダは頭を撫でる真似を始めました。
私がよく子供達の頭を撫でているから、褒める時や慰める時はそうするものだとマチルディーダは覚えてしまったようですが、あまりの愛らしい行いに食堂にいる人間全員が目を細めて微笑ましく見ています。
本当、私の娘って天使なんじゃないでしょうか。
「慰めてくれてありがとう。ディーダは優しいね。さあロニーにも挨拶しておいで」
「はぁい。ヨニー? ディーダよ、こっち見てヨニーあいちゃちゅするの、おはよぉごじゃいましゅってして」
ディーンがマチルディーダを下ろすと、今度は走ることはせずに、よちよちと擬音が付きそうな歩き方でロニーの所に向います。
マチルディーダは、走る時はポテポテですが、歩く時はよちよちという言葉がぴったりです。
マチルディーダが歩く度に、エプロンドレスの腰のリボンと頭の上で大きく結んだリボンが揺れています。
後ろ姿だけでも可愛いと思うのは、親の欲目ではないと思います。
マチルディーダもアデライザもとても愛らしく、天使が二人! と時々見惚れてしまう位に可愛いのですから。
ちなみに二人ともディーンに良く似ていて、私とは違いタレ目っぽい顔立です。
私やディーンを見上げる時、マチルディーダの大きな瞳が愛らし過ぎてつい抱き上げてしまいたくなりますし、アデライザがふにゃりと笑う顔を見ると私もつい同じ顔をしてしまいます。
本当私の子供、二人とも天使です。
「ヨニー、ディーダのおこえ聞こえにゃいの?」
マチルディーダにずっと視線を向けていたロニーは、自分の方に向きを変えたマチルディーダを見るなり視線をテーブルに向けてしまいました。
気にしていない振り、そっけない態度でロニーはマチルディーダに接しようといつも頑張っていますが、それが成功した事がありません。
ロニーの生活は、勉強より何よりマチルディーダが最優先なのです。
ロニーはマチルディーダが起きる前にその日の勉強を終わらせ、日中の殆どを共に過ごしています。
最初の頃は二人が離れている時間を作らせようとしていましたが、その度に絶望し目から光を無くすロニーを見て諦めてしまいました。
今はマチルディーダが家庭教師に礼儀作法を教わっている間ロニーも同じ部屋で家庭教師に勉強を教わり、それ以外は自主学習に任せています。
家庭教師が勉強不足と判断した時点でこの生活を止める約束ですが、今のところ学力に問題は無く、睡眠不足が目立つ程度でしょうか。
もっともマチルディーダとお昼寝をしているので、これも心配は少しだけかもしれません。
「ヨニーじゃない、ロニーだ。おはよう、マチルディーダ姫様のご機嫌はどうかな」
「ディーダは、ちゃんとヨニーっていったもんっ。いじわゆっ!」
ロニーの名前をマチルディーダは、たまに上手く言えなくなるのがロニーは面白くないらしく、このやり取りは毎朝の事です。
マチルディーダが目を覚ますのは、私達が朝食を頂き始める位の時刻で、たまに遅くなり家族揃って会えない時もあります。今日はマチルディーダもアデライザも機嫌よく起きてきたので、早朝から顔が見えて嬉しく思っていますが、出来れば一番最初に自分に挨拶して欲しいロニーは、マチルディーダがまず私とディーンに挨拶するのが悔しいらしいので、名前くらいちゃんと呼んで欲しいのでしょう。
そんな事を言えば、私はお母様ではなく、おかあさまぁだし、ディーンはお父様ではなく、おとおさまなのですがそれは幼い子供だから仕方がありません。
そもそも、自分の名前のマチルディーダも上手く発音出来ずに、いつの間にかディーダと略して言うようになったのですから。
「マチルディーダ、大声を出すのは行儀悪いよ。さあ僕かが食べさせてあげるね」
ロニーは意地悪と言われて拗ねています。
拗ねながら、マチルディーダを抱き上げると自分の膝の上に座らせてしまいました。
「ディーダ赤ちゃんじゃないのっ! ひとりでたべられりゅのっ!」
マチルディーダは両手をパタパタさせて暴れるけれど、もうすぐ四歳になる幼児が今年十二歳になる子に力で勝てる筈がないので、ロニーにしてみれば甘えられているようなものでしょう。
「暴れたら落ちるかもしれないから、しっかり抱きしめていないとね。お義母様僕が食べさせていいですよね」
意地悪という言葉が余程嫌だったのでしょう。
ロニーはマチルディーダをぎゅうぎゅうと抱きしめながら暗い目をして私を見ていますが、これは許すわけにはいきません。
「ロニー、許可出来ないわ。そんなにあなたに甘やかされたらマチルディーダの教育に良くないもの。それよりもロニーが食事の作法のお手本を見せてあげて。マチルディーダは良い事も悪い事もあなたの真似をしたがるから、あなたが美しい所作で食事をしている姿を見たら、マチルディーダもきっと同じくしようとするわ。大変だろうけれどお願いねロニー」
頭痛を感じながら何とか言葉を絞り出すと、ロニーはすぐさまマチルディーダを抱いたまま立ち上がり、隣の椅子にマチルディーダを座らせ世話を焼き始めたのです。
※※※※※※※
前回シリアスな終わり方していましたが、可愛いマチルディーダの登場です。
赤ちゃん、無事に大きくなりました。
みんなに愛される甘えっ子に育っております。
マチルディーダの名前については、次回の更新で。
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