259 / 358
6章 集う力
251 月下の外套
しおりを挟む
トロンが取り出したのは暗い藍色の外套。見間違い無い。これは俺が無くした装備品の最後の一つ、月下の外套だ。
「あの~?どうかしましたか?ボーっとしちゃったりして」
「あぁ…この月下の外套で俺の無くした装備品が全て揃うんだ。ついにこの時が来たと思ったら感慨深くなってつい…」
MMORPGからこの世界に転移してかれこれ半年以上は経つ。武器、防具、手装備、脚装備、頭装備にアクセサリー。そしてこれで胴装備が揃った事になる。
「さぁ受け取って下さい。これは元々ユイトさんの持ち物なんですから」
「ありがとう…なんだか最後は呆気無かったな」
トロンが差し出した月下の外套を手に取り改めてこれが俺の装備品だと云う事を実感できた。
「ユイトさん、早速装備してみて下さいよ。きっと似合うと思いますよ」
「主さまのファッションショー。はよ」
「今着てる上着は預かっといてあげるわ。あんまり勿体ぶるんじゃないわよ」
「いよいよ私達の仲間が全員揃うのね。どんな子が出てくるのか楽しみだわ」
「これでボクも先輩かぁ…新しい子に先輩らしいところを見せなくっちゃね」
サクヤ達も最後の装備品が揃った事を喜んでくれている。俺は脱いだ上着をテミスに渡して月下の外套に袖を通す、サイズもぴったりだ。次の瞬間辺りに閃光が走った。
「ククク…どれだけこの時を待ちわびた事か…今日はなんと素晴らしい日なのだ」
閃光がおさまると目の前に1人の少女がいた。薄い紫色の髪をツインテールに纏め片目には眼帯がつけられている。背丈はアイギスと同じ位だ。
「会いたかったぞ我がマスターよ。さぁ今こそ熱いベーゼを交わそうではないか!」
「ちょっ!いきなり飛びついてくるな!近いって!ベーゼってキスの事か!?何考えてるんだ!」
突然飛び掛かって来た少女に押し倒され馬乗りの体勢にされた。少女の唇が俺に近づく、このままじゃ…
「はい、そこまで。いきなりユイト君の唇を奪おうとするなんてルール違反よ」
「離せ!は~な~せ~!余とマスターの逢瀬を邪魔するでない!」
「ふぅ、助かったよメリッサ。いきなり飛び掛かってくるなんて思わなかったよ」
唇が触れる寸前でメリッサが少女の襟首を掴み引き離した。少女はジタバタと手足を振り回して解放されようと暴れている。まるでダダをこねる子供の様だ。
「全く…もう飛びついて来ないなら解放してやる。お前が月下の外套に宿った女神、で間違い無いんだよな?」
俺の問い掛けに少女は暴れる事を辞めてコクンと頷いた。
「あの~?どうかしましたか?ボーっとしちゃったりして」
「あぁ…この月下の外套で俺の無くした装備品が全て揃うんだ。ついにこの時が来たと思ったら感慨深くなってつい…」
MMORPGからこの世界に転移してかれこれ半年以上は経つ。武器、防具、手装備、脚装備、頭装備にアクセサリー。そしてこれで胴装備が揃った事になる。
「さぁ受け取って下さい。これは元々ユイトさんの持ち物なんですから」
「ありがとう…なんだか最後は呆気無かったな」
トロンが差し出した月下の外套を手に取り改めてこれが俺の装備品だと云う事を実感できた。
「ユイトさん、早速装備してみて下さいよ。きっと似合うと思いますよ」
「主さまのファッションショー。はよ」
「今着てる上着は預かっといてあげるわ。あんまり勿体ぶるんじゃないわよ」
「いよいよ私達の仲間が全員揃うのね。どんな子が出てくるのか楽しみだわ」
「これでボクも先輩かぁ…新しい子に先輩らしいところを見せなくっちゃね」
サクヤ達も最後の装備品が揃った事を喜んでくれている。俺は脱いだ上着をテミスに渡して月下の外套に袖を通す、サイズもぴったりだ。次の瞬間辺りに閃光が走った。
「ククク…どれだけこの時を待ちわびた事か…今日はなんと素晴らしい日なのだ」
閃光がおさまると目の前に1人の少女がいた。薄い紫色の髪をツインテールに纏め片目には眼帯がつけられている。背丈はアイギスと同じ位だ。
「会いたかったぞ我がマスターよ。さぁ今こそ熱いベーゼを交わそうではないか!」
「ちょっ!いきなり飛びついてくるな!近いって!ベーゼってキスの事か!?何考えてるんだ!」
突然飛び掛かって来た少女に押し倒され馬乗りの体勢にされた。少女の唇が俺に近づく、このままじゃ…
「はい、そこまで。いきなりユイト君の唇を奪おうとするなんてルール違反よ」
「離せ!は~な~せ~!余とマスターの逢瀬を邪魔するでない!」
「ふぅ、助かったよメリッサ。いきなり飛び掛かってくるなんて思わなかったよ」
唇が触れる寸前でメリッサが少女の襟首を掴み引き離した。少女はジタバタと手足を振り回して解放されようと暴れている。まるでダダをこねる子供の様だ。
「全く…もう飛びついて来ないなら解放してやる。お前が月下の外套に宿った女神、で間違い無いんだよな?」
俺の問い掛けに少女は暴れる事を辞めてコクンと頷いた。
0
お気に入りに追加
912
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
剣と弓の世界で俺だけ魔法を使える~最強ゆえに余裕がある追放生活~
初雪空
ファンタジー
ランストック伯爵家にいた、ジン。
彼はいつまでも弱く、レベル1のまま。
ある日、兄ギュンターとの決闘に負けたことで追放。
「お前のような弱者は不要だ!」
「はーい!」
ジンは、意外に素直。
貧弱なモヤシと思われていたジンは、この世界で唯一の魔法使い。
それも、直接戦闘ができるほどの……。
ただのジンになった彼は、世界を支配できるほどの力を持ったまま、旅に出た。
問題があるとすれば……。
世界で初めての存在ゆえ、誰も理解できず。
「ファイアーボール!」と言う必要もない。
ただ物質を強化して、逆に消し、あるいは瞬間移動。
そして、ジンも自分を理解させる気がない。
「理解させたら、ランストック伯爵家で飼い殺しだ……」
狙って追放された彼は、今日も自由に過ごす。
この物語はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ないことをご承知おきください。
また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※ カクヨム、小説家になろう、ハーメルンにも連載中
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~
そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
とある大陸にあるローレスト王国
剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。
だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。
そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。
「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」
タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。
異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが......
ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
社畜だけど転移先の異世界で【ジョブ設定スキル】を駆使して世界滅亡の危機に立ち向かう ~【最強ハーレム】を築くまで、俺は止まらねぇからよぉ!~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
俺は社畜だ。
ふと気が付くと見知らぬ場所に立っていた。
諸々の情報を整理するに、ここはどうやら異世界のようである。
『ジョブ設定』や『ミッション』という概念があるあたり、俺がかつてやり込んだ『ソード&マジック・クロニクル』というVRMMOに酷似したシステムを持つ異世界のようだ。
俺に初期スキルとして与えられた『ジョブ設定』は、相当に便利そうだ。
このスキルを使えば可愛い女の子たちを強化することができる。
俺だけの最強ハーレムパーティを築くことも夢ではない。
え?
ああ、『ミッション』の件?
何か『30年後の世界滅亡を回避せよ』とか書いてあるな。
まだまだ先のことだし、実感が湧かない。
ハーレム作戦のついでに、ほどほどに取り組んでいくよ。
……むっ!?
あれは……。
馬車がゴブリンの群れに追われている。
さっそく助けてやることにしよう。
美少女が乗っている気配も感じるしな!
俺を止めようとしてもムダだぜ?
最強ハーレムを築くまで、俺は止まらねぇからよぉ!
※主人公陣営に死者や離反者は出ません。
※主人公の精神的挫折はありません。
召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。
他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。
その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。
教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。
まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。
シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。
★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ)
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる