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6章 集う力

233 実力差

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「若い嬢ちゃんに抱きつかれるのは嫌じゃないがそろそろ離れてもらえるか?ふんっ!!」

「キャアアアアアアアッ!!」

ドロシーに極められたままの腕をシグマさんが振り抜く。その衝撃に耐えられなかったドロシーは悲鳴をあげながら近くの茂みへと吹き飛んでいった。

「あの体勢から力だけでドロシーを吹っ飛ばすなんてどれだけ馬鹿力なんだ、あの人には常識が通用しないな…」

「シグマの常識知らずの馬鹿力は今に始まった事じゃないさ。昔あるの町の祭りの余興で力自慢の男達数十人と綱引きをして勝った事があったね、あの時の祭は楽しかったなぁ」

「オウルさん…それはしみじみ思い出に浸る話にしてはには壮絶すぎます。それより吹き飛ばされたドロシーは大丈夫でしょうか?」

「アレでも手加減はしていたと思うから平気だろう。ほらみてごらんよ、彼女もまだまだやる気みたいだ」

ドロシーが吹き飛ばされていった茂みから勢い良く飛び出してきた。木々がクッションになり衝撃を殺してくれた様だ、ファイティングポーズをとりシグマさんを睨みつけている。

「ゲホッゲホッ…あの体勢を力だけでひっくり返すなんて反則だぞオッさん、おかげで乙女の柔肌が傷だらけだ」

「そいつぁ悪かったな、でもその割にには顔がニヤついてるぜ?まだまだ闘いを続けてぇって顔だな」

「当たり前だよ、でもオッさん相手に幾ら普通の攻撃を繰り返しても効果がなさそうだ。ウチのとっておきをお見舞いしてやるよ」

「まだ隠し球があるってのか?いいぜ、何かしらねぇが受けて立ってやる」

プロレスラーは相手の力を100%引き出した上で自分の120%の力で相手を叩き潰すと聴いた事があるがシグマさんも同じ様な事を言い出した。やはり間違いない、この人は心底強い者との闘いが好きなんだ。

「今からやるのはウチの全身全霊を込めた一発だ、これでダメなら今のウチじゃどうやったってオッさんに勝つ事なんて出来ない」

「いいね、分かりやすくて大好きだ。俺はその攻撃を避けねぇ。もしこの場から一歩でも俺が逃げたら嬢ちゃんの勝ちでいいぜ」

次の一撃で勝敗が決まる、肉弾戦を得意とするドロシーの最強の技、どの様な攻撃を繰り出すつもりだろう。

「アレもシグマの悪い癖だ、自分の知らない技だろうがなんだろうが敵に必殺技を放つ機会を作りたがる。たまにアイツがドMなんじゃないかと思う時があるよ」

「俺は出来れば敵に何もさせずに勝ちたいと思うタイプですけどシグマさんの気持ちがわからない事もありません。兎に角何が起きても対応出来る様に俺達も警戒しておきましょう」
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