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6章 集う力

211 基礎

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「つまり俺は剣術の基礎が出来ていないと云う事でしょうか?」

「そう云う事になるな、おっと気を悪くするんじゃねぇぞ?だからこそ不思議なんだよ、剣術の基礎も出来てねぇ人間がなんでこんなに剣を扱えるかわからねぇ」

シグマさんに言われてふと気づいた。確かに俺は今まで誰かに剣の扱いを教えてもらった事が無い。VRMMOでは武器を装備するだけでシステムが武器の扱いに適した動きに補助してくれていた、この世界に来てからもVRMMOの時の感覚で特に何も意識せずに咲夜を振るい続けていたのだ。

「心当たりがあります、確かに俺はきちんと剣の扱い方を学んだ事がありません」

「そりゃ本当か?それならまず基本的な剣の扱い方を覚える事から始めるか、只ちょいと問題もあってだな…」

両手の人差し指をくるくると突き合わせながら何か言い難い様子のシグマさん、厳つい外見に似合わない動きが酷くコミカルだ。

「俺もキチンと剣の扱いを学んだ事がないんだ。感覚で覚えちまった、だから剣術の基本なんて人に教える事が出来ねぇ」

「なんとなくそんな予感はしていました。シグマさんの動きはなんと云うかその…猛獣を相手にしている様な迫力がありました。あれはか人に教えてもらってどうこうなるものじゃありません」

「すまねぇな、俺は昔から感覚で戦って来たからよ。でもお前さんは俺とは違う、どちらかと言えば頭の中で色々と考えながら戦うタイプじゃねぇか?」

シグマさんの言う通り俺はどの場面でどういった行動を取れば戦闘を有利に進められるかを常に頭で考えながら戦っている。シグマさんとは正反対の戦闘スタイルだ。

「どうしましょうか…折角強くなる為の手掛かりを掴めたのに…」

「俺が我流で身につけた戦い方を教えてもいいが基礎を知らないお前さんに教えても変なクセが付くかも知れねぇ。下手すりゃ今より弱くなるって事もあり得るがどうする?」

クソっ、どうして自分の基礎ができてないなんて単純な事に今まで気づけなかったんだ?気づいていれば今までの旅の途中で剣の扱いを学べる機会は何度も有った筈だ。今の俺ではシグマさんに修行を付けてもらうだけ無駄、その段階に至っていない。

「一旦街へ戻って剣術の基礎を身につけたいと思います。遠回りになってしまうけど自分の問題点がわかっただけでも収穫でした…」

「話は聞かせてもらったよ。ユイト君、今更街に戻るなんて無駄はしなくても良い。剣術の基礎を良く知る人間ならこの場にいるからね」

オウルさんがニヤニヤしながら俺達の話に割り込んできた。どう云う意味だろう、オウルさんが剣の扱いを教えてくれるのだろうか。
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