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6章 集う力

207 手合わせ

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「今日からお前さんに稽古をつけてやる…つってもまずはお前さんの実力を知らない事にはな…よし、まずは模擬戦でもするか」

あくる朝早く俺達は野営地の近くにある拓けた場所へやって来た。久しぶりにゆっくりと眠れたおかげで全身に力が漲っているのが分かる。

「わかりました、胸を借りるつもりでいきます。武器はどうしましょうか?」

「真剣じゃ万が一手元が狂えば命取りになるな、とりあえずコレでも使ってくれ」

近くに落ちていた適当な長さの木の枝をシグマさんがこちらへ投げてきた。握りも丁度いい、コレならば普通に剣スキルを使う事もできそうだ。

「コレはあくまでお前さんの実力を計る為の模擬戦だからな、それじゃ早速はじめようぜ」

俺と同じ様木の枝を構えるシグマさん。構えると言っても両腕をブランと降ろし如何にも隙だらけな体勢だ。しかしその全身から放たれる圧力は尋常ではない、迂闊に仕掛ければ返り討ちにされるのは目に見えている。

「ほう、簡単に引っかかってはくれねぇか。中途半端に強いヤツなら今ので仕掛けてくるんだがな」

「冗談を、あんなに獰猛な殺気を放っている相手に飛びかかっても返り討ちにされるのがオチです」

「ガッハッハ!違いねぇ。しかし睨みあってるだけでも敵を倒す事はできねぇぞ。次は俺の攻撃を凌いで見せろ!いくぞ!」

そう言い放ち距離を詰めてくるシグマさん。蹴られたり大地が揺れて轟音を放つ、まるで大型のモンスターの突進の様な迫力だ。

「受けて立ちます!おぉぉぉぉっ!!」

ヘルメスの力で空に逃げる、アイギスのイージスで攻撃を防ぐ、俺の選べる選択肢は色々とあったがこの攻撃と正面から打ち合いたくなってしまった。折角世界最強と呼ばれる男が胸を貸してくれているのだ。2人が衝突した地点を中心に爆風が巻き起こる。

「まさか正面から俺と撃ち合えるなんてな。驚いたぜ」

「グッ…折角シグマさんと闘える機会に逃げるってのはもったいないと思いまして」

ミシミシと木の枝から音が聞こえる。いくら闘気で強化しているとは言え所詮は只の枝、これ以上はもってくれそうにない。必死になって鍔迫り合いをしている俺とは対照的にシグマさんは余裕綽々な様子、力比べではこちらが不利だ。

「コレならどうですか!?旋風!」

「なっ!?いきなり動きが!?」

鍔迫り合いの体勢のまま剣スキル旋風を放つ。本来ならば体を一回転させ周囲の的を攻撃する技だ。旋風の衝撃を至近距離で受けたシグマさんはそのままの体勢で後ろへ弾き飛ばされていった。
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