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5章 邪なる者達
181 象徴
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「陛下は何を言ってるんだ?国王や貴族の居ない国を創るって意味に聞こえたけど俺の耳がおかしくなったのか?」
「いや、確かにそう聞こえた、しかしそんな国のあり方なんて聞いた事もない」
「王や貴族がいなくなると誰が国を運営するっていうんだ?無法地帯になってしまうぞ?」
人々が戸惑い広場が騒つく、無理もない、国の代表たる国王自ら国のあり方を変えると言っているのだ。
「諸君らが戸惑う気持ちはわかる、しかしすぐに王政を廃止する訳ではない、王政廃止後に運用される法の整備などで数年はかかるだろう、それに私は国王として最期の仕事がある…諸君の、いやこの世界に危機が迫っている、その危機を乗り越えて始めてこの国は生まれ変わる事が出来るのだ!」
待機していた俺達は壇上へと向かう、俺は以前国王様との謁見で着た服、サクヤ達5人はこの日の為に仕立てたドレスで着飾り全員金属で作られた仮面で顔の半分を隠している。
「知っている者も多いだろうが今回の件には魔族や魔人と言った人智を超えた力を持つ者達が関わっていた、その者達の脅威を取り除かぬ限り我々に安息は訪れないのだ!」
いよいよ出番だ、何万もの人々の注目が集まる壇上へ続く階段を登る、途中で俺を見ながらプルプルと笑いを堪え肩を揺らしているラッカさんと目が合った、今回俺達をプロデュースをしたのはあの人だ、さては俺が緊張で死にそうになっているのを見て楽しんでいるな。
「諸君にその脅威に立ち向かい我らの希望となる者達を紹介しよう!勇者ユイトとその一行だ!」
国王様の合図で広場に勇壮な音楽が鳴り響く、聴くだけで人々を勇気づける様な曲だ、緊張で足が縺れそうになりながら何とか国王様の隣へと到着する事が出来た、だが俺にとって本当の地獄はこれからだ。
「やぁ!王都グランズの皆!僕の名前はユイト、皆を危険から守る事が僕の使命だ!」
拡声の魔道具を通して声が響き渡る、俺の声では無い、城下町で俺達を題材にした芝居をしていた一座の役者の声だ、俺は壇上に立っているだけ、所謂アテレコである。
「今世界には危機が訪れている!人類の存亡に関わる危機だ、しかし安心して欲しい、僕には頼れる仲間と皆の応援がある!」
音声に合わせ拳を振り上げる、ダメだ、緊張と恥ずかしさで腕が震える、ステージの下で我慢出来なくなって爆笑していたラッカさんがペーギさんに耳を抓られていた、ざまぁ見ろ。
「僕は負けない!皆が笑いながら過ごせる世界を作る為にきっと世界を覆う闇を晴らしてみせる!だって僕は…勇者だから!!」
俺の背後から花火が打ち上げられる、広場に集まった聴衆のボルテージは最高潮だ、いたるところから俺の名を呼ぶ声が上がる、チラリとラッカさん達の方を見ると限界が来たのかペーギさんまで笑いを堪えられずに肩を震わせていた、貴方だけは信じていたのに。
「いや、確かにそう聞こえた、しかしそんな国のあり方なんて聞いた事もない」
「王や貴族がいなくなると誰が国を運営するっていうんだ?無法地帯になってしまうぞ?」
人々が戸惑い広場が騒つく、無理もない、国の代表たる国王自ら国のあり方を変えると言っているのだ。
「諸君らが戸惑う気持ちはわかる、しかしすぐに王政を廃止する訳ではない、王政廃止後に運用される法の整備などで数年はかかるだろう、それに私は国王として最期の仕事がある…諸君の、いやこの世界に危機が迫っている、その危機を乗り越えて始めてこの国は生まれ変わる事が出来るのだ!」
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いよいよ出番だ、何万もの人々の注目が集まる壇上へ続く階段を登る、途中で俺を見ながらプルプルと笑いを堪え肩を揺らしているラッカさんと目が合った、今回俺達をプロデュースをしたのはあの人だ、さては俺が緊張で死にそうになっているのを見て楽しんでいるな。
「諸君にその脅威に立ち向かい我らの希望となる者達を紹介しよう!勇者ユイトとその一行だ!」
国王様の合図で広場に勇壮な音楽が鳴り響く、聴くだけで人々を勇気づける様な曲だ、緊張で足が縺れそうになりながら何とか国王様の隣へと到着する事が出来た、だが俺にとって本当の地獄はこれからだ。
「やぁ!王都グランズの皆!僕の名前はユイト、皆を危険から守る事が僕の使命だ!」
拡声の魔道具を通して声が響き渡る、俺の声では無い、城下町で俺達を題材にした芝居をしていた一座の役者の声だ、俺は壇上に立っているだけ、所謂アテレコである。
「今世界には危機が訪れている!人類の存亡に関わる危機だ、しかし安心して欲しい、僕には頼れる仲間と皆の応援がある!」
音声に合わせ拳を振り上げる、ダメだ、緊張と恥ずかしさで腕が震える、ステージの下で我慢出来なくなって爆笑していたラッカさんがペーギさんに耳を抓られていた、ざまぁ見ろ。
「僕は負けない!皆が笑いながら過ごせる世界を作る為にきっと世界を覆う闇を晴らしてみせる!だって僕は…勇者だから!!」
俺の背後から花火が打ち上げられる、広場に集まった聴衆のボルテージは最高潮だ、いたるところから俺の名を呼ぶ声が上がる、チラリとラッカさん達の方を見ると限界が来たのかペーギさんまで笑いを堪えられずに肩を震わせていた、貴方だけは信じていたのに。
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