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4章 港街騒乱

089 癒す力

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メリッサが両手を組み目を瞑る、溢れ出た優しい光が海竜様を包みこんだ。

「なんと…身体中の痛みが引いていく、人の子よ、我に何をしたのだ?」

「ふふっ、断りも無くごめんね海竜様、これが私の力、癒しの力『キュアー』よ、他に痛いところはないかしら?」

「大丈夫だ、礼を言う、我が主から聞いてはいたが其方らは不思議な力が扱えるのだな」

「俺の装備に宿った化身達は各々の憑代に準じた力を扱えるみたいです、海竜様は今でも神様と連絡が取れるんですか?」

「いや、少し前に主から連絡が来たっきりだ、その時に其方の持ち物が海に有ると聴き回収しておいた、我から何度か主に連絡を取っておるが返事はない、例の偽神とやらの仕業だろう」

海竜様が癒しの指輪を回収しておいてくれて助かった、海中に現れた装備を回収する事は俺達だけなら不可能だっただろう、危惧した神様が気を利かせてくれたのかな?

「偽神ですか…海竜様は奴について何か知ってるんですか?俺達も神様と少しだけ話をしたんですが詳しい話を聞く前に偽神に邪魔をされてしまって」

「我も詳しくは判らぬ、知っているのは魔族共を操り人の世を滅ぼそうとしていると云う事とまだ完全にこの世界を掌握して無いらしいと云う事位だ」

「そうですか、直接魔族を捕まえて話を聞き出すしかありませんね、素直に話してくれるとは思えないけど」

「人の子の中にも我が主に世界の危機を知らされ動き始めてる者達がいる、この国の王もその中の1人だ」

「王都にも俺の装備が有るらしくてどの道一度訪れる予定でした、会う事が出来れば話をしてみたいですね」

次の目的地は王都だな、国の最高権力者に簡単に会えるとは思えないが協力を得られるならば心強い。

「それがいい、しかしまずはあのデカブツ共を叩くのが先だ、そろそろ会敵する、準備を整えてくれ」

「わかりました、俺達はまず2人の魔族を倒します、戦う前に生命の指輪を手に入れられたのは大きい、これで心配事が1つ減りました」

生命の指輪の能力の1つに体力、魔力の自動回復がある、これで鬼神化の副作用もかなり軽減させる事が出来るだろう。

「ユイトさん、私達はどうしましょう?足場の無い場所での戦いでは私達は足を引っ張るだけです、憑依しておきましょうか?」

「案ずるな、我が祝福を授けよう、これでしばらくは海面を歩ける様になる」

身体に何か力が宿るのを感じ取る、海竜様の祝福だろうか、これで準備は万全だ。

「さぁ、敵が見えて来た、頼んだぞ異界の戦士達よ!」
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