35 / 358
2章 交易都市の錬金術士
033 タリアムの研究
しおりを挟む
「あんのバカ領主!!あったまきた!!ちょっと私アイツの館に殴りこんで来る!」
「タリアムちゃん!落ちついて下さい!」
「どうどう、お菓子食べる?」
顔を真っ赤にして外に出て行こうとするタリアムに縋り付きサクヤが引きずられている。
アイギスはタリアムの顔の前にお菓子を差し出して怒りを鎮めようとしているみたいだ。
タリアムのアトリエを訪れた俺達は昨日ギルドで起きた事をタリアムに話した、それでこの騒ぎである。
「フーッ…ありがと、ちょっと怒りで我を忘れてしまったわ」
「噂には聞いていたが初めて領主をナマで見たよ、リード傭兵団ってヤツらと一緒だった」
「あぁアイツらね、バカ領主の私兵よ、あの馬鹿自分の思い通りにならないからって騎士団を遠征に行かせてばっかりなの、その代わりの兵力ね」
気にくわないものは徹底的に排除する、まさに独裁者だな。
「そんなこんなでギルドに売る予定だった魔石が余ってしまったんだけど要るか?」
「十分足りているわ、魔石を錬成して魔核も完成したしね、後は術式の構築だけなんだけど中々上手くいかなくて…」
アトリエの中を見るとあちこち荒れていた、食事も旅用の携行食で済ましている様で食べかけの物が机の上に散らばっている、アレは…下着!?見なかった事にしよう。
「ちょっと根を詰め過ぎなんじゃないか?食事くらいまともな物を食べろよ、そうだ!ちょっと台所借りるぞ、俺の郷土料理を作ってやる」
「ユイトさん、私は20個くらいお願いします」
「サクヤ、食べすぎ、私は2つ欲しい」
この前市場で偶然見つけた食材だ、まさか異世界で手に入るとは思わなかった俺のソウルフード。
「ありがとう、出来るまで少し寝てるわね、昨日徹夜だったのよ」
「わかった、出来たら起こすよ、ゆっくりしてろ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ユイトさんのおにぎりは絶品です!」
「塩加減が絶妙、店を開くべき」
俺が作れる唯一の料理、それはおにぎりだ、世の中の料理人に聞かれたらぶっ飛ばされるな。
「驚いた、コメ?って粒を煮て握っただけよね?なんでこんなに柔らかな食感なのよ?」
「あんまり力を入れずに握るのがポイントだな、ギチギチに握らず隙間に空気を入れる様に握るんだ」
「なるほどね…力をいれない…?隙間をあける…っ!そうよ!それよ」
おにぎりを片手にタリアムは作業用の机の上の図面の様な物を見て何やらしきりに頷いている。
「いけるわ!いけるわよ!私は術式を詰め過ぎていたんだわ!だから魔力が循環不良を起こしたのね!隙間を作れば解決するわ!」
チンプンカンプンな事を叫びながらタリアムが俺達に順番に抱きついてくる。
その光景を窓から覗いている男がいる事に俺達は気づけなかった。
「タリアムちゃん!落ちついて下さい!」
「どうどう、お菓子食べる?」
顔を真っ赤にして外に出て行こうとするタリアムに縋り付きサクヤが引きずられている。
アイギスはタリアムの顔の前にお菓子を差し出して怒りを鎮めようとしているみたいだ。
タリアムのアトリエを訪れた俺達は昨日ギルドで起きた事をタリアムに話した、それでこの騒ぎである。
「フーッ…ありがと、ちょっと怒りで我を忘れてしまったわ」
「噂には聞いていたが初めて領主をナマで見たよ、リード傭兵団ってヤツらと一緒だった」
「あぁアイツらね、バカ領主の私兵よ、あの馬鹿自分の思い通りにならないからって騎士団を遠征に行かせてばっかりなの、その代わりの兵力ね」
気にくわないものは徹底的に排除する、まさに独裁者だな。
「そんなこんなでギルドに売る予定だった魔石が余ってしまったんだけど要るか?」
「十分足りているわ、魔石を錬成して魔核も完成したしね、後は術式の構築だけなんだけど中々上手くいかなくて…」
アトリエの中を見るとあちこち荒れていた、食事も旅用の携行食で済ましている様で食べかけの物が机の上に散らばっている、アレは…下着!?見なかった事にしよう。
「ちょっと根を詰め過ぎなんじゃないか?食事くらいまともな物を食べろよ、そうだ!ちょっと台所借りるぞ、俺の郷土料理を作ってやる」
「ユイトさん、私は20個くらいお願いします」
「サクヤ、食べすぎ、私は2つ欲しい」
この前市場で偶然見つけた食材だ、まさか異世界で手に入るとは思わなかった俺のソウルフード。
「ありがとう、出来るまで少し寝てるわね、昨日徹夜だったのよ」
「わかった、出来たら起こすよ、ゆっくりしてろ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ユイトさんのおにぎりは絶品です!」
「塩加減が絶妙、店を開くべき」
俺が作れる唯一の料理、それはおにぎりだ、世の中の料理人に聞かれたらぶっ飛ばされるな。
「驚いた、コメ?って粒を煮て握っただけよね?なんでこんなに柔らかな食感なのよ?」
「あんまり力を入れずに握るのがポイントだな、ギチギチに握らず隙間に空気を入れる様に握るんだ」
「なるほどね…力をいれない…?隙間をあける…っ!そうよ!それよ」
おにぎりを片手にタリアムは作業用の机の上の図面の様な物を見て何やらしきりに頷いている。
「いけるわ!いけるわよ!私は術式を詰め過ぎていたんだわ!だから魔力が循環不良を起こしたのね!隙間を作れば解決するわ!」
チンプンカンプンな事を叫びながらタリアムが俺達に順番に抱きついてくる。
その光景を窓から覗いている男がいる事に俺達は気づけなかった。
0
お気に入りに追加
910
あなたにおすすめの小説
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる