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2章 交易都市の錬金術士
032 領主ビズミス=マグネジアム
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「リード!何をやっているのです!」
冒険者ギルドからリードと一緒に出てきたもう1人の男が叫ぶ。
「ビズミス様、申し訳ありません、ちょっとこの小僧が俺達にちょっかいかけてきたんでヤキを入れようと思いまして」
「街中で何を考えているのですか?そこの貴方もです」
ビズミスと言われた身なりの良い痩せた男が俺達を諌める。
「ギルドに用事があって来たんだが無法者達に占拠されていたんでね、お前達の間ではそれを平和的って言うらしいがな」
「そうです、私達は平和的に商談をしていたのですよ?黒髪の少年…?そうですか、貴方が街で噂になっている旅人ですか」
ニヤニヤと値踏みするような目で俺を舐め回すビズミス、こんな男に熱い視線を向けられても不愉快なだけだ。
「私はこの街の領主で、ビズミス=マグネジアムと申します、卑しくも国王陛下より伯爵の爵位を拝命しております、この意味が分かりますか?」
「アンタが悪名高い領主様か、分からないな」
「この街は私の決めた事が唯一絶対の正義だという事です、今日の件は貴方が街に大量の魔石をもたらした功績を踏まえ不問にしますがこの事をお忘れなき様」
そう言うとビズミスはリード傭兵団に撤退を指示する。
「今日のところはここで失礼します、ギルドマスターに賢明な判断をする様に貴方からも伝えて下さい下さい、それではまた」
傭兵団に囲まれたビズミスは夕暮れの街へと消えて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お前さん達には感謝しとるがこれ以上は魔石を買い取れなくなってしまったたんじゃ、すまんのぉ」
「そんな事が…何が商談だあのクソ領主!ファームライノの魔石が金貨2枚だって!?冗談じゃない!」
ビズミス達が撤退した後俺達はガリアムさんの執務室に招かれ話を聞いた。
ヤツらの言う『商談』は今後ギルドに集められたファームライノの魔石は全て領主が買い取ると言う話だった、ただし相場の40分の1の価格でだ。
「いつか王国が領主の悪政を止めてくれると期待しておったがここいらが限界かのぉ、ギルドに連絡してこの街の支部を閉鎖する事にするよ、お前さん達は街を離れた方がいい、何をされるか分からん」
「この街に少し心残りがありましてね、それが一段落するまでは街に残るつもりでいます」
「ジンクの弟子のお嬢さんの事か、あの子もジンクに似て偏屈じゃからのぉ、くれぐれも気をつけるんじゃよ」
長年守って来たものを理不尽な権力で奪われる、どれだけ無念な事だろうか。
俺がビズミスを力で排除する事は可能だろう、しかしその後の収集がつかない、下手をすると街が混乱し今よりも酷い事になるかもしれない、違う、それは言い訳だ、人の命を奪う覚悟ができていないのだ。
「爺さん、どんまい」
「アイギスちゃん!そんな風に呼んじゃダメですよ!すみませんガリアムさん」
「ほっほっ、爺さんで構わんよ、儂も短い間だが孫が3人もできた様で楽しかった、しばらくは街に残るから遊びにきておくれ」
笑いながらアイギスの頭を撫でるガリアムさんの顔はとても優しい、こんな笑顔を守るために俺は覚悟を決めるべきなのかも知れない。
冒険者ギルドからリードと一緒に出てきたもう1人の男が叫ぶ。
「ビズミス様、申し訳ありません、ちょっとこの小僧が俺達にちょっかいかけてきたんでヤキを入れようと思いまして」
「街中で何を考えているのですか?そこの貴方もです」
ビズミスと言われた身なりの良い痩せた男が俺達を諌める。
「ギルドに用事があって来たんだが無法者達に占拠されていたんでね、お前達の間ではそれを平和的って言うらしいがな」
「そうです、私達は平和的に商談をしていたのですよ?黒髪の少年…?そうですか、貴方が街で噂になっている旅人ですか」
ニヤニヤと値踏みするような目で俺を舐め回すビズミス、こんな男に熱い視線を向けられても不愉快なだけだ。
「私はこの街の領主で、ビズミス=マグネジアムと申します、卑しくも国王陛下より伯爵の爵位を拝命しております、この意味が分かりますか?」
「アンタが悪名高い領主様か、分からないな」
「この街は私の決めた事が唯一絶対の正義だという事です、今日の件は貴方が街に大量の魔石をもたらした功績を踏まえ不問にしますがこの事をお忘れなき様」
そう言うとビズミスはリード傭兵団に撤退を指示する。
「今日のところはここで失礼します、ギルドマスターに賢明な判断をする様に貴方からも伝えて下さい下さい、それではまた」
傭兵団に囲まれたビズミスは夕暮れの街へと消えて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お前さん達には感謝しとるがこれ以上は魔石を買い取れなくなってしまったたんじゃ、すまんのぉ」
「そんな事が…何が商談だあのクソ領主!ファームライノの魔石が金貨2枚だって!?冗談じゃない!」
ビズミス達が撤退した後俺達はガリアムさんの執務室に招かれ話を聞いた。
ヤツらの言う『商談』は今後ギルドに集められたファームライノの魔石は全て領主が買い取ると言う話だった、ただし相場の40分の1の価格でだ。
「いつか王国が領主の悪政を止めてくれると期待しておったがここいらが限界かのぉ、ギルドに連絡してこの街の支部を閉鎖する事にするよ、お前さん達は街を離れた方がいい、何をされるか分からん」
「この街に少し心残りがありましてね、それが一段落するまでは街に残るつもりでいます」
「ジンクの弟子のお嬢さんの事か、あの子もジンクに似て偏屈じゃからのぉ、くれぐれも気をつけるんじゃよ」
長年守って来たものを理不尽な権力で奪われる、どれだけ無念な事だろうか。
俺がビズミスを力で排除する事は可能だろう、しかしその後の収集がつかない、下手をすると街が混乱し今よりも酷い事になるかもしれない、違う、それは言い訳だ、人の命を奪う覚悟ができていないのだ。
「爺さん、どんまい」
「アイギスちゃん!そんな風に呼んじゃダメですよ!すみませんガリアムさん」
「ほっほっ、爺さんで構わんよ、儂も短い間だが孫が3人もできた様で楽しかった、しばらくは街に残るから遊びにきておくれ」
笑いながらアイギスの頭を撫でるガリアムさんの顔はとても優しい、こんな笑顔を守るために俺は覚悟を決めるべきなのかも知れない。
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