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1章 勇者、現代日本の洗練を受ける

勇者、ヒモになる 4

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「ご馳走様でした。やっぱり八百屋のおばさんのオススメしてくれた種類のジャガイモが一番美味かったよ。それにしても蒸した芋にバターを乗せただけでこんなに美味しくなるなんて思わなかったな」

「お腹がパンパンになっちゃった。じゃがバターって何故かたまに無性に食べたくなる時が有るのよね。そういえばさっき、スマホ無しで連絡を取り合うのに何か良い考えが有るって言って無かった?」

2人でじゃがバターを平らげ一息つく。じゃがバターは大変に美味かった。恐らく芋の品質がパロ・ブランジュの物とは比べ物にならない位良いのだろう。

「そうだ、すっかり忘れかけてたよ。パロ・ブランジュの魔法を使って作動する道具…魔道具って呼ばれる物の中に、遠く離れた人と会話が出来る様になる物があるんだ。それをアスカに使って欲しいと思う。ほら、この耳飾りさ」

次元収納の中からパロ・ブランジュで仲間達との通信用に使っていた魔道具『精霊の囁き』を取り出しアスカに見せる。

「このイヤリングが有れば離れていても会話が出来るの?デザインも結構可愛いわね。でも私は…って言うかこの世界の人間は魔法を使えないけど大丈夫?」

「魔道具は元々魔法が使えない人が、疑似的に魔法を使う為に作られた物だから大丈夫だと思うよ。取り敢えず耳に付けてもらえるかい?」

アスカが小さな緑色の宝石が埋め込まれた耳飾りを耳に付ける。

確かコレは旅の途中に何処かの町で買った物をリンファとクリスが「デザインが可愛くない!」とダダをこねてルーファスに作り変えてもらった物の余り物だ。世界一の魔法学者と呼ばれていたルーファスが手を加えた物だから性能は問題無い…と思う。

『どう?俺の声は聞こえている?』

「わっ!?今の何?頭の中にエルの声が聴こえて来たんだけど!?」

『この魔道具は、声を口に出さなくても、相手に伝えたい事を頭の中で考えれば伝える事が出来るんだ。ちょっと試してみてよ』

『えーっと…こうかしら?ちゃんと聞こえてる』

『うん。ちゃんと使えているよ。この魔道具はアスカにプレゼントするね』

『えっ?本当に良いの?エルの元いた世界…パロ・ブランジュだっけ?その世界でも結構高価な物なんじゃない?』

『うーん…いまいちハッキリ覚えて無いけど、確か家が一軒建つ位って話を聞いた記憶が有る様な無い様な…?でもこのまま誰にも使われ無かったら宝のもちぐされさ。アスカにはお世話になってるし、アスカと連絡が取れる様になるのは俺の為でもあるんだ。どうか受け取って欲しい』

『分かったわ。そう言う事なら遠慮なく受け取っておくわね。ありがとう。エル』
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