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第四話 頭を抱えたくなる話
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「・・・・・・えっと、はい。もし婚約破棄の運びになりましたら、フォルシュタイン家から弁護士の方と相談し次第、慰謝料の請求をさせて頂くと思いますが──」
一瞬、思考がフリーズしてしまいましたが、流石に聞き間違いでしょうと思い、私はそう言いました。
私ったら、耳がどうかしてしまったのでしょうか。アリンス様の言葉がフォルシュタイン家がホーロップ侯爵家慰謝料を請求するのではなく、ホーロップ侯爵家からフォルシュタイン家に慰謝料を請求するような言い方に聞こえてしまうなんて・・・・・・いくらなんでも、そんなめちゃくちゃなお話はありませんよね。フォルシュタイン領に戻ったら、掛かりつけのお医者様に診察して頂くべきかもしれません。
「? 何を言っているんだ?」
「はい?」
アリンス様が眉間に皺を寄せて、訝しげに私を見ています。
あ、これ話が噛み合っていませんね。
そう気づいたものの、どこが噛み合っていないのかが、分かりません。さっきのは聞き間違いの筈ですし──
「エレノーア、それでは文脈がおかしいだろう。何故、ホーロップ家が慰謝料を請求するというのに、それではフォルシュタイン伯爵家が慰謝料を請求するようではないか」
「ん゛っ!!?」
思わず変な声が出てしまいました!
だって、アリンス様がおっしゃったことって、今私がアリンス様に思っていたことと同じなんですもの!
って、そうじゃありません! うん、大切なのはそこではありません!
「何故、フォルシュタイン家が慰謝料を!?」
つい声を荒げていましましたが、大目に見て頂きたく思います。
だって、どう見ても非はホーロップ侯爵家、というよりアリンス様にあるというのは火を見るよりも明らかですのに、フォルシュタイン家に慰謝料請求出来ると本気でお思いなのでしょうか?
「当然だろう。フォルシュタイン伯爵家から婚約破棄を申し入れるのであれば、慰謝料はフォルシュタイン伯爵家が支払うべきだ。時間を掛けて進めた話をいきなりもう止めると言うのだから、負債は当然言い出した側が負うべきだろう」
──と、アリンス様はさも当然のようにおっしゃいましたが──それはどう考えてもおかしいです!
とは、すぐには思えませんでした。何故なら──
「? ? ? ? ?」
私はあまりの意味不明さに戦々恐々となってしまい、頭の上でピヨピヨとひよこさんが駆け回っている声を聞きながら、今度こそ完全にフリーズしてしまったからです。
「まぁ、フォルシュタイン伯爵家と破談になれば、もうロイダに盗人のようにこそこそしなくてはならないような肩身の狭い思いをさせずに済むしな。婚約破棄の申し入れの際は俺からも父上に口添えしてやろう。あまりフォルシュタイン伯爵家を責めないでやってくれ、と。ああ、礼はいらないぞ」
「流石はアリンス様! 寛大で素敵ですぅ!」
「・・・・・・・・・・・・」
新手の三文芝居ですか?
誰ですか、こんなふざけた脚本書いたのは。こんなの幕が降りる前に大ブーイング待ったなしですよ。チケット代の返金求めて観客が徒党を組んで裁判起こすレベルです。
え? 何ですか、これ? え、何?
「おっと、そろそろ会場に戻らないとな」
「そうですわねぇ」
「ああ、今日はいい夜だ。エレノーア、お前も早めに戻るといい。閉会までに戻らないと無断で帰ったと思われて他の貴族の心証を悪くするぞ」
「まぁ、女側から婚約破棄を申し入れるような勇気あるエレノーア様であれば、そんなこと気にされないのかもしれませんねぇ」
呆然と立ち尽くす私をそのままに、お二人はそう言って、寄り添い合いながら夜会会場へ戻って行かれました。
それから暫く。
「────はっ!」
私はようやく意識を再浮上させたものの、同時に膝から力が抜けてふらついてしまいました。
正直、このままその場に座り込んでしまいたかったのですが、今日着ているドレスが汚れの目立ち安い薄水色のシフォンドレスで、更に先日の雨でまだ地面がほんのりと湿っていることもあり、何とかぐっと足に力を入れてヒールの踵を土に沈め堪えました。
「えっと・・・・・・んっと・・・・・・うーん?」
私は首を傾げて、両手の人差し指でこめかみを挟み、最後には顔を覆いました。
──意味不明過ぎてまっっったくついて行けません!
それが一連のやり取りに対する心の底から沸いた感想でした。
アリンス様はロイダ様と不貞を働いてらして、それをお認めになって、そうなった以上婚約破棄の話が上がる可能性もあって、そうなれば慰謝料についての話し合いも必要。ここまではおかしくないです。うん、問題ないです。
それで、何故慰謝料を請求するのがホーロップ侯爵家だと思ってるんでしょうか、あのお方。
勿論、一般的には契約を破棄する際には申し出た側がそれによって生じた損害を補うために金銭をお支払いするものですが、それは申し込まれた側に問題がなかった場合です。
今回の話なら、先に不貞を行ったアリンス様とそのご実家のホーロップ侯爵家に慰謝料を支払う義務がある筈です。間違ってもフォルシュタイン家が支払う理由はない筈・・・・・・。
「困りました。これはちょっと、うん凄く困りました」
とりあえず、夜会が終わり次第お父様にお手紙を書きましょう。
それから、ホテルの宿泊日数を伸ばして貰えるように交渉して──後は後は。
「う~~~~ん・・・・・・」
ああ、もの凄く目が回りそうです。
お父様にお話が伝わるまでにアリンス様たちが大人しくしてくださっているかどうかも不安です。あの様子では、ホーロップ侯爵様に正しくお話が伝わるかどうか・・・・・・。
頭がとても重くて痛いですが、ずっとこの場にいる訳にも行きません。アリンス様とは会場顔を合わせるでしょうけど、人前でこのような醜聞になる御話なんて出来ませんし──あああ! どうしたら良いのでしょう!?
「と、とにかく会場に戻りましょう。夜会が終わるまでまだ時間はあります。私に出来ることを考えましょう」
私は頭を働かせ、試行錯誤しながら城内へと続く道へと歩を進めました。
一瞬、思考がフリーズしてしまいましたが、流石に聞き間違いでしょうと思い、私はそう言いました。
私ったら、耳がどうかしてしまったのでしょうか。アリンス様の言葉がフォルシュタイン家がホーロップ侯爵家慰謝料を請求するのではなく、ホーロップ侯爵家からフォルシュタイン家に慰謝料を請求するような言い方に聞こえてしまうなんて・・・・・・いくらなんでも、そんなめちゃくちゃなお話はありませんよね。フォルシュタイン領に戻ったら、掛かりつけのお医者様に診察して頂くべきかもしれません。
「? 何を言っているんだ?」
「はい?」
アリンス様が眉間に皺を寄せて、訝しげに私を見ています。
あ、これ話が噛み合っていませんね。
そう気づいたものの、どこが噛み合っていないのかが、分かりません。さっきのは聞き間違いの筈ですし──
「エレノーア、それでは文脈がおかしいだろう。何故、ホーロップ家が慰謝料を請求するというのに、それではフォルシュタイン伯爵家が慰謝料を請求するようではないか」
「ん゛っ!!?」
思わず変な声が出てしまいました!
だって、アリンス様がおっしゃったことって、今私がアリンス様に思っていたことと同じなんですもの!
って、そうじゃありません! うん、大切なのはそこではありません!
「何故、フォルシュタイン家が慰謝料を!?」
つい声を荒げていましましたが、大目に見て頂きたく思います。
だって、どう見ても非はホーロップ侯爵家、というよりアリンス様にあるというのは火を見るよりも明らかですのに、フォルシュタイン家に慰謝料請求出来ると本気でお思いなのでしょうか?
「当然だろう。フォルシュタイン伯爵家から婚約破棄を申し入れるのであれば、慰謝料はフォルシュタイン伯爵家が支払うべきだ。時間を掛けて進めた話をいきなりもう止めると言うのだから、負債は当然言い出した側が負うべきだろう」
──と、アリンス様はさも当然のようにおっしゃいましたが──それはどう考えてもおかしいです!
とは、すぐには思えませんでした。何故なら──
「? ? ? ? ?」
私はあまりの意味不明さに戦々恐々となってしまい、頭の上でピヨピヨとひよこさんが駆け回っている声を聞きながら、今度こそ完全にフリーズしてしまったからです。
「まぁ、フォルシュタイン伯爵家と破談になれば、もうロイダに盗人のようにこそこそしなくてはならないような肩身の狭い思いをさせずに済むしな。婚約破棄の申し入れの際は俺からも父上に口添えしてやろう。あまりフォルシュタイン伯爵家を責めないでやってくれ、と。ああ、礼はいらないぞ」
「流石はアリンス様! 寛大で素敵ですぅ!」
「・・・・・・・・・・・・」
新手の三文芝居ですか?
誰ですか、こんなふざけた脚本書いたのは。こんなの幕が降りる前に大ブーイング待ったなしですよ。チケット代の返金求めて観客が徒党を組んで裁判起こすレベルです。
え? 何ですか、これ? え、何?
「おっと、そろそろ会場に戻らないとな」
「そうですわねぇ」
「ああ、今日はいい夜だ。エレノーア、お前も早めに戻るといい。閉会までに戻らないと無断で帰ったと思われて他の貴族の心証を悪くするぞ」
「まぁ、女側から婚約破棄を申し入れるような勇気あるエレノーア様であれば、そんなこと気にされないのかもしれませんねぇ」
呆然と立ち尽くす私をそのままに、お二人はそう言って、寄り添い合いながら夜会会場へ戻って行かれました。
それから暫く。
「────はっ!」
私はようやく意識を再浮上させたものの、同時に膝から力が抜けてふらついてしまいました。
正直、このままその場に座り込んでしまいたかったのですが、今日着ているドレスが汚れの目立ち安い薄水色のシフォンドレスで、更に先日の雨でまだ地面がほんのりと湿っていることもあり、何とかぐっと足に力を入れてヒールの踵を土に沈め堪えました。
「えっと・・・・・・んっと・・・・・・うーん?」
私は首を傾げて、両手の人差し指でこめかみを挟み、最後には顔を覆いました。
──意味不明過ぎてまっっったくついて行けません!
それが一連のやり取りに対する心の底から沸いた感想でした。
アリンス様はロイダ様と不貞を働いてらして、それをお認めになって、そうなった以上婚約破棄の話が上がる可能性もあって、そうなれば慰謝料についての話し合いも必要。ここまではおかしくないです。うん、問題ないです。
それで、何故慰謝料を請求するのがホーロップ侯爵家だと思ってるんでしょうか、あのお方。
勿論、一般的には契約を破棄する際には申し出た側がそれによって生じた損害を補うために金銭をお支払いするものですが、それは申し込まれた側に問題がなかった場合です。
今回の話なら、先に不貞を行ったアリンス様とそのご実家のホーロップ侯爵家に慰謝料を支払う義務がある筈です。間違ってもフォルシュタイン家が支払う理由はない筈・・・・・・。
「困りました。これはちょっと、うん凄く困りました」
とりあえず、夜会が終わり次第お父様にお手紙を書きましょう。
それから、ホテルの宿泊日数を伸ばして貰えるように交渉して──後は後は。
「う~~~~ん・・・・・・」
ああ、もの凄く目が回りそうです。
お父様にお話が伝わるまでにアリンス様たちが大人しくしてくださっているかどうかも不安です。あの様子では、ホーロップ侯爵様に正しくお話が伝わるかどうか・・・・・・。
頭がとても重くて痛いですが、ずっとこの場にいる訳にも行きません。アリンス様とは会場顔を合わせるでしょうけど、人前でこのような醜聞になる御話なんて出来ませんし──あああ! どうしたら良いのでしょう!?
「と、とにかく会場に戻りましょう。夜会が終わるまでまだ時間はあります。私に出来ることを考えましょう」
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