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反逆! 学園中は敵だらけ!?
袋小路は破ればいい
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「とにかく魔術師を捕まえましょう。縛り上げて数発殴れば、解決法を白状しますから」
「いや、そこまで手荒な真似は──」
「アルバート様。勘違いしないで下さいね? 私も基本は非暴力主義です。ですが、あの人の迷惑考えない変人魔術師にそれで立ち向かっても徒労に終わります。彼は力に訴えられないと分かったら、増長して更なる悪夢を産み出します」
あんのアンハッピー・ナイトメア・メーカー。
人の話を聞きゃしないうえ、研究さえ出来れば後はどうなってもいいという、非常に危険な男なのです。
大体、あの男は昔から無断で人で実験するわ、反省しないわ──
「随分と彼について詳しいんだな」
「ええ、まぁ。一応遠縁の親戚なので」
「そうなのか!?」
「続柄を説明するより、先祖が同じって言った方が早いくらい血は離れてますけど、まぁ、昔からの顔馴染みではあります」
血の濃さは他人レベルですけれど、昔から魔術師の家と私の家は仲がいいらしく、私達も幼い頃から顔を合わせていました。
「あのふざけた天才に暴力以外で対抗出来る人なんて、私はバ──こほん。兄くらいしか知りません」
「! なら、その兄君に協力を要請して──」
「無理ですね。兄は魔術師と同種の人間なので、抑止力にはなりません。むしろ、呼んだら騒ぎに便乗して事態を悪化させます」
「──そうか」
期待させてしまったようで申し訳ないけれど、あの馬鹿兄貴は百害あって一理なし、それどころか魔術師とセットにしたら悪夢のマリアージュを産み出して、学園がダークマターになりかねない。
「とにかく、生徒も教師も混乱している今、私達でやるしかありません」
「ああ、そうだな──止まれ! 前から何かが来る!」
アルバート様が前方から来る何かに気づき、制止を掛けてきたので従って止まります。
前から来るあれは──人影? 私達以外にもあの教室から抜け出せた人がいた──待って。違う!
あれは──
人体模型と骨格標本とマネキンがスクラムを組んで迫ってくるゥうううううう!!!!!
あれを見て、私とアルバート様は有無を言わずに来た道を猛ダッシュで引き返しました!
不気味! 不気味の一言に尽きる! 何何々!? 学校の怪談!? 初等部生が見たら普通に泣くわ!!! つか、あいつら足速い! 気を抜いたら追いつかれる!!!
「人体模型と骨格標本は理科室にあるとして、マネキンは学園のどっから来たんだ!?」
「多分、見学に来た受験生向けに展示する制服用のものでしょう」
トルソーじゃなくて、マネキンな辺りが金持ち学校らしい。
「アルバート様、あれは何とか出来ませんか?」
「──いや、あれ学園の備品だし。壊すのはちょっと・・・・・・」
確かに! 非常事態とは言え、出来れば傷つけたくはありませんね! 後、人体模型とか傷つけたら呪われるって聞きますし。って、ああ!!!
「今度は正面から連結した机が──」
「な──!」
ガンガンギャリギャリと音を立てて、ムカデのように繋がった机が押し寄せてくる。とは言え、後ろは人形スクラム。進むに進めず、退くに退けない。八方塞がりの袋小路だ!!!
いや──────!!! このままじゃ人体模型と机にサンドイッチされて、新しい学校の怪談になってしまうー!
両者が迫り、ぺしゃんこになる覚悟をした時。
「え?」
ふわっと体が浮かび上がった。
アルバート様、何故私を抱っこしてるんですか!? あ、やっぱりアルバート様っていい匂いする・・・・・・。
「念のために奥歯をしっかり噛んでてくれ」
え? 奥歯?
アルバート様、何故廊下の窓を開けるんです? ここ、三階ですよ? や、どうして足を掛けてって、やぁああああぁああああ! 紐なしバンジーは自殺行為! いい子も悪い子も真似しちゃダメー!
何と、三階の窓から飛び降りて潰されるのを避けるという荒業に出たアルバート様は、そのまますたっと危なげなく地面への着地に成功!
これが学生で王子の護衛に選ばれる実力! 凄い! でも、事前に何をするかは教えて欲しかったです!
上からはガシャーンという音が聞こえ、どうやら二つの集団がぶつかったらしい。
「とりあえず、危機は脱したようですね」
「ああ。とは言え、この先も何があるかは分からない。油断は禁物だ」
その通りです。まだまだ気を弛めることは出来ません。にしてもいい匂い。下ろされる前に出来るだけ嗅いでおきましょう。くんくんくんくん。
「あの・・・・・・?」
「・・・・・・いえ、お気になさらず。下ろして下さいませ」
「? あ、ああ」
よっし、私が匂いを嗅いでいたのはバレていない! セーフ!
それにあの人間に怒りを燃やす無機物達の犇めく中等部校舎から一気に脱出出来たのは良かったです。
さぁ! はりきって、高等部校舎を目指し──って、うわぁあああああ! 校庭が無機物に占拠されているううううう!
「いや、そこまで手荒な真似は──」
「アルバート様。勘違いしないで下さいね? 私も基本は非暴力主義です。ですが、あの人の迷惑考えない変人魔術師にそれで立ち向かっても徒労に終わります。彼は力に訴えられないと分かったら、増長して更なる悪夢を産み出します」
あんのアンハッピー・ナイトメア・メーカー。
人の話を聞きゃしないうえ、研究さえ出来れば後はどうなってもいいという、非常に危険な男なのです。
大体、あの男は昔から無断で人で実験するわ、反省しないわ──
「随分と彼について詳しいんだな」
「ええ、まぁ。一応遠縁の親戚なので」
「そうなのか!?」
「続柄を説明するより、先祖が同じって言った方が早いくらい血は離れてますけど、まぁ、昔からの顔馴染みではあります」
血の濃さは他人レベルですけれど、昔から魔術師の家と私の家は仲がいいらしく、私達も幼い頃から顔を合わせていました。
「あのふざけた天才に暴力以外で対抗出来る人なんて、私はバ──こほん。兄くらいしか知りません」
「! なら、その兄君に協力を要請して──」
「無理ですね。兄は魔術師と同種の人間なので、抑止力にはなりません。むしろ、呼んだら騒ぎに便乗して事態を悪化させます」
「──そうか」
期待させてしまったようで申し訳ないけれど、あの馬鹿兄貴は百害あって一理なし、それどころか魔術師とセットにしたら悪夢のマリアージュを産み出して、学園がダークマターになりかねない。
「とにかく、生徒も教師も混乱している今、私達でやるしかありません」
「ああ、そうだな──止まれ! 前から何かが来る!」
アルバート様が前方から来る何かに気づき、制止を掛けてきたので従って止まります。
前から来るあれは──人影? 私達以外にもあの教室から抜け出せた人がいた──待って。違う!
あれは──
人体模型と骨格標本とマネキンがスクラムを組んで迫ってくるゥうううううう!!!!!
あれを見て、私とアルバート様は有無を言わずに来た道を猛ダッシュで引き返しました!
不気味! 不気味の一言に尽きる! 何何々!? 学校の怪談!? 初等部生が見たら普通に泣くわ!!! つか、あいつら足速い! 気を抜いたら追いつかれる!!!
「人体模型と骨格標本は理科室にあるとして、マネキンは学園のどっから来たんだ!?」
「多分、見学に来た受験生向けに展示する制服用のものでしょう」
トルソーじゃなくて、マネキンな辺りが金持ち学校らしい。
「アルバート様、あれは何とか出来ませんか?」
「──いや、あれ学園の備品だし。壊すのはちょっと・・・・・・」
確かに! 非常事態とは言え、出来れば傷つけたくはありませんね! 後、人体模型とか傷つけたら呪われるって聞きますし。って、ああ!!!
「今度は正面から連結した机が──」
「な──!」
ガンガンギャリギャリと音を立てて、ムカデのように繋がった机が押し寄せてくる。とは言え、後ろは人形スクラム。進むに進めず、退くに退けない。八方塞がりの袋小路だ!!!
いや──────!!! このままじゃ人体模型と机にサンドイッチされて、新しい学校の怪談になってしまうー!
両者が迫り、ぺしゃんこになる覚悟をした時。
「え?」
ふわっと体が浮かび上がった。
アルバート様、何故私を抱っこしてるんですか!? あ、やっぱりアルバート様っていい匂いする・・・・・・。
「念のために奥歯をしっかり噛んでてくれ」
え? 奥歯?
アルバート様、何故廊下の窓を開けるんです? ここ、三階ですよ? や、どうして足を掛けてって、やぁああああぁああああ! 紐なしバンジーは自殺行為! いい子も悪い子も真似しちゃダメー!
何と、三階の窓から飛び降りて潰されるのを避けるという荒業に出たアルバート様は、そのまますたっと危なげなく地面への着地に成功!
これが学生で王子の護衛に選ばれる実力! 凄い! でも、事前に何をするかは教えて欲しかったです!
上からはガシャーンという音が聞こえ、どうやら二つの集団がぶつかったらしい。
「とりあえず、危機は脱したようですね」
「ああ。とは言え、この先も何があるかは分からない。油断は禁物だ」
その通りです。まだまだ気を弛めることは出来ません。にしてもいい匂い。下ろされる前に出来るだけ嗅いでおきましょう。くんくんくんくん。
「あの・・・・・・?」
「・・・・・・いえ、お気になさらず。下ろして下さいませ」
「? あ、ああ」
よっし、私が匂いを嗅いでいたのはバレていない! セーフ!
それにあの人間に怒りを燃やす無機物達の犇めく中等部校舎から一気に脱出出来たのは良かったです。
さぁ! はりきって、高等部校舎を目指し──って、うわぁあああああ! 校庭が無機物に占拠されているううううう!
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