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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
派閥
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「うちの大臣ども──ランカータ、パラメラ、ラグウィンなんだけど、彼らがそれぞれ違う思想を掲げてるってのは言うまでもないわよね」
「国民に寄り添うラグウィン、国家第一のパラメラ、そして、魔法崇拝者ランカータですね」
「そう。持論が異なるから仲が悪いし、基本的に不干渉状態ね。三夫人制度と同じよ。あ、あれはもう機能してないか」
「それはいい。で、ランカータ一派が割れてるというのは」
レヴェルは人払いをしてる分を埋めるように、風魔法で書類を操り、次々と目を通しては書類を捌いていく。
ベルクもそれに続いて自身の作業を会話と平行して行う。
「誰が言ったか、不可侵派と探求派って呼ばれてるわ」
「不可侵と探求?」
二つの派閥名にレヴェルは思考を巡らせた。
不可侵と探求。正反対の言葉だ。ランカータの派閥であれば魔法絡みだろうが。
「簡単に説明するとね、魔法が大好きだからその源である源泉に近づきたいっていうのが探求派。魔法が大好きだから、源泉を神聖不可侵のものとする不可侵派ね」
「・・・・・・どっちも魔法好きですね」
「ランカータだからね~。要は好きだから付き合いたいって思うのと、「ヤバい! 尊い! マジ無理!」ってくらいの違いね」
「あー。源泉を片想いしている同級生か、追っかけしている人気の俳優として捉えてるかって違いですか?」
「そうそう! それ! あー、なんかちょーしっくり来たー。ぶっちゃけ、私もランカータの思想むてよく分かんなかったし。次からはその説明パクっていい?」
「どうぞ」
「誉めて遣わす」
「光栄の至り」
「お前ら、仲いいな・・・・・・というか、やっぱり疲れてるな。ノリがおかしい」
そもそも、疲れてる人間しか今はいなかった。全員若干徹夜ハイになっている状況だ。多少ノリがおかしくなるのは無理からぬことであった。
「つまり、ランカータに源泉に近づこうと考えるものが? 聖女として鉄拳案件じゃないか?」
「別にー。源泉にいける訳なんてないんだから、放置してたのよ。多分、切っ掛けはうちの弟子だろうけど」
「聖女様が指導している白の魔力保有者ですね」
「ああ。ミリアを潰した小娘か・・・・・・シャーロット、お前は一体何を指導してるんだ?」
「魔法指導だけど? 淑女教育は専門外です」
「ああ。お前サボりまくってたからな」
「将来的に軟禁生活送ることになるって知ってて、無駄に厳しい教育受けたくなかったんだもの」
シャーロットは幼少期から聖女として見出だされ、正式な聖女になるまでは王宮暮らしだった。その為、当時からレヴェルとの交流があり、互いの昔のことは大体知っているし、知られている。元々、魔法においては国王と聖女はその権威を二分する存在だ。王太子であったレヴェルと聖女見習いのシャーロットが王家と魔法管理局の友好のために引き合わされるのは道理だった。そのため、二人の仲は悪くないが、逆に遠慮もなく喧嘩に発展しやすくもあった。
レヴェルとシャーロットの機嫌がそれぞれ低下していくのを見て、これは不味いと思ったベルクは上擦った声でシャーロットに先を促す。
「白の魔力保有者は少ないですが、今までもいたはず。何故、今なのですか?」
「国民に寄り添うラグウィン、国家第一のパラメラ、そして、魔法崇拝者ランカータですね」
「そう。持論が異なるから仲が悪いし、基本的に不干渉状態ね。三夫人制度と同じよ。あ、あれはもう機能してないか」
「それはいい。で、ランカータ一派が割れてるというのは」
レヴェルは人払いをしてる分を埋めるように、風魔法で書類を操り、次々と目を通しては書類を捌いていく。
ベルクもそれに続いて自身の作業を会話と平行して行う。
「誰が言ったか、不可侵派と探求派って呼ばれてるわ」
「不可侵と探求?」
二つの派閥名にレヴェルは思考を巡らせた。
不可侵と探求。正反対の言葉だ。ランカータの派閥であれば魔法絡みだろうが。
「簡単に説明するとね、魔法が大好きだからその源である源泉に近づきたいっていうのが探求派。魔法が大好きだから、源泉を神聖不可侵のものとする不可侵派ね」
「・・・・・・どっちも魔法好きですね」
「ランカータだからね~。要は好きだから付き合いたいって思うのと、「ヤバい! 尊い! マジ無理!」ってくらいの違いね」
「あー。源泉を片想いしている同級生か、追っかけしている人気の俳優として捉えてるかって違いですか?」
「そうそう! それ! あー、なんかちょーしっくり来たー。ぶっちゃけ、私もランカータの思想むてよく分かんなかったし。次からはその説明パクっていい?」
「どうぞ」
「誉めて遣わす」
「光栄の至り」
「お前ら、仲いいな・・・・・・というか、やっぱり疲れてるな。ノリがおかしい」
そもそも、疲れてる人間しか今はいなかった。全員若干徹夜ハイになっている状況だ。多少ノリがおかしくなるのは無理からぬことであった。
「つまり、ランカータに源泉に近づこうと考えるものが? 聖女として鉄拳案件じゃないか?」
「別にー。源泉にいける訳なんてないんだから、放置してたのよ。多分、切っ掛けはうちの弟子だろうけど」
「聖女様が指導している白の魔力保有者ですね」
「ああ。ミリアを潰した小娘か・・・・・・シャーロット、お前は一体何を指導してるんだ?」
「魔法指導だけど? 淑女教育は専門外です」
「ああ。お前サボりまくってたからな」
「将来的に軟禁生活送ることになるって知ってて、無駄に厳しい教育受けたくなかったんだもの」
シャーロットは幼少期から聖女として見出だされ、正式な聖女になるまでは王宮暮らしだった。その為、当時からレヴェルとの交流があり、互いの昔のことは大体知っているし、知られている。元々、魔法においては国王と聖女はその権威を二分する存在だ。王太子であったレヴェルと聖女見習いのシャーロットが王家と魔法管理局の友好のために引き合わされるのは道理だった。そのため、二人の仲は悪くないが、逆に遠慮もなく喧嘩に発展しやすくもあった。
レヴェルとシャーロットの機嫌がそれぞれ低下していくのを見て、これは不味いと思ったベルクは上擦った声でシャーロットに先を促す。
「白の魔力保有者は少ないですが、今までもいたはず。何故、今なのですか?」
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