104 / 183
第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
言葉
しおりを挟む
ラフィンの獣・・・・・・ラフィンの獣・・・・・・あれ? これリアルだと無理ゲーじゃない?
ラフィンお家騒動という新たな問題が浮上しつつも、今はパーティー準備だとそれぞれの作業に戻った後も、私はラフィン家について考えていた。
そもそも、あれってまずはどうラフィン家に関わるか──
「ミリア、さっきはどうしたんだ? 急にリンスと一緒に奥に行って」
「あ、ギーシャ。うん、ちょっとリンス嬢たちとお喋りしてた。隣いい?」
「ああ」
私はスケジュールを見直そうと、ギーシャの隣に座り、パーティーの予定について纏めた手帳を開く。
えーと、最初に挨拶をして、謝罪、それからあれと──。
「ミリア」
「ん? なぁに?」
ちょいちょいと肩をつつかれたので、ギーシャを見ると、ギーシャは私に数枚の原稿用紙を差し出してきた。
「これって──」
「謝罪の言葉を考えた。ただ、不適切な言葉があるかもしれないからミリアにも目を通して欲しい」
「うん」
私は原稿用紙を受け取ると、それに目を通す。
『本日は──今回の件で周囲に──反省して──今後──』
最後まで読み終え、私は簡潔な感想を述べた。
「定型文?」
「ダメか?」
ギーシャがしゅんとする。
「いや、ダメってわけじゃないけど──むしろ、お手本っていうか、例文みたいな謝罪文だけど──ちょっと謝罪文過ぎるっていうか」
何というか、うん、あれだ。ネットで調べた文をそのままコピペしちゃったって感じなんだよね、これ。
いや、ギーシャは真面目に書いたんだろうけど、真面目故に、型にはまり過ぎたっていうか──これ、下手したら反省してないって思われかねないぞ?
定型すぎて逆に誤解を招きかねない文章を見て、内心頭を抱えた。
「ギーシャの言葉って感じがしないって言うか──いや、ギーシャの性格的にはこれが違和感ないけど、それってギーシャの内面をよく知らない人にはどう伝わるか分かんないし」
「俺の言葉?」
ギーシャは同級生の間でも浮いた存在だ。まぁ、王族だから特別視されるのは当然っちゃ当然だけど、人と一定の距離を置きたがるギーシャは周囲に遠巻きにされがちでその内面を知る人は少ないだろう。中には、初等部からギーシャを知ってても謎っていう人がいるくらいだし。
「よく分からないが、この内容がよくないのはわかった。書き直す」
ギーシャが新しい原稿用紙を広げ、ペンを手に取る。
「一旦、思ったことを箇条書きにしてから纏めるのもいいかもよ」
「ああ」
ギーシャは頷いて、ペンを走らせる。
「こういうのは、兄上が得意なんだろうな」
「兄上? テルファ様?」
「そうだ」
よく考えなくてもテルファ様だな。第二王子はそういうの全くしないって言うか、そもそも人前に出ることがほとんどないし。
テルファ様やギーシャとは全く別方向の才能を持つ第二王子を頭に浮かべ、納得する。
「兄上の演説などを参考に書いてみる」
「え!?」
「何か問題あるか?」
「あー、いや、とりあえず書いてみて」
まずは書いてみなくちゃと思い、ギーシャを促す。
個人的きテルファ様をお手本にするのはオススメしないんだけど・・・・・・。だって、あの人の言葉って完全にそれっぽくしてるだけだもの。
間違いなく、偽りなく、でも本心でもない。しかも決して綻びを見せないのだ。
アルクお兄様に「テルファの言葉は甘ったるいクリームを塗りたくった鉛みたいなもんだから気をつけろ」なんて忠告を受けるくらいには言葉を飾り立てるのが上手い方だ。
でも、テルファ様のやり方はギーシャに合わないと思うんだけど。
才能面では似てる二人だけど、性質は全く違うからなぁ。
「ミリア」
「ん」
ギーシャとテルファ様を脳内で並べつつ、私はギーシャから新しい原稿用紙を受け取った。
ラフィンお家騒動という新たな問題が浮上しつつも、今はパーティー準備だとそれぞれの作業に戻った後も、私はラフィン家について考えていた。
そもそも、あれってまずはどうラフィン家に関わるか──
「ミリア、さっきはどうしたんだ? 急にリンスと一緒に奥に行って」
「あ、ギーシャ。うん、ちょっとリンス嬢たちとお喋りしてた。隣いい?」
「ああ」
私はスケジュールを見直そうと、ギーシャの隣に座り、パーティーの予定について纏めた手帳を開く。
えーと、最初に挨拶をして、謝罪、それからあれと──。
「ミリア」
「ん? なぁに?」
ちょいちょいと肩をつつかれたので、ギーシャを見ると、ギーシャは私に数枚の原稿用紙を差し出してきた。
「これって──」
「謝罪の言葉を考えた。ただ、不適切な言葉があるかもしれないからミリアにも目を通して欲しい」
「うん」
私は原稿用紙を受け取ると、それに目を通す。
『本日は──今回の件で周囲に──反省して──今後──』
最後まで読み終え、私は簡潔な感想を述べた。
「定型文?」
「ダメか?」
ギーシャがしゅんとする。
「いや、ダメってわけじゃないけど──むしろ、お手本っていうか、例文みたいな謝罪文だけど──ちょっと謝罪文過ぎるっていうか」
何というか、うん、あれだ。ネットで調べた文をそのままコピペしちゃったって感じなんだよね、これ。
いや、ギーシャは真面目に書いたんだろうけど、真面目故に、型にはまり過ぎたっていうか──これ、下手したら反省してないって思われかねないぞ?
定型すぎて逆に誤解を招きかねない文章を見て、内心頭を抱えた。
「ギーシャの言葉って感じがしないって言うか──いや、ギーシャの性格的にはこれが違和感ないけど、それってギーシャの内面をよく知らない人にはどう伝わるか分かんないし」
「俺の言葉?」
ギーシャは同級生の間でも浮いた存在だ。まぁ、王族だから特別視されるのは当然っちゃ当然だけど、人と一定の距離を置きたがるギーシャは周囲に遠巻きにされがちでその内面を知る人は少ないだろう。中には、初等部からギーシャを知ってても謎っていう人がいるくらいだし。
「よく分からないが、この内容がよくないのはわかった。書き直す」
ギーシャが新しい原稿用紙を広げ、ペンを手に取る。
「一旦、思ったことを箇条書きにしてから纏めるのもいいかもよ」
「ああ」
ギーシャは頷いて、ペンを走らせる。
「こういうのは、兄上が得意なんだろうな」
「兄上? テルファ様?」
「そうだ」
よく考えなくてもテルファ様だな。第二王子はそういうの全くしないって言うか、そもそも人前に出ることがほとんどないし。
テルファ様やギーシャとは全く別方向の才能を持つ第二王子を頭に浮かべ、納得する。
「兄上の演説などを参考に書いてみる」
「え!?」
「何か問題あるか?」
「あー、いや、とりあえず書いてみて」
まずは書いてみなくちゃと思い、ギーシャを促す。
個人的きテルファ様をお手本にするのはオススメしないんだけど・・・・・・。だって、あの人の言葉って完全にそれっぽくしてるだけだもの。
間違いなく、偽りなく、でも本心でもない。しかも決して綻びを見せないのだ。
アルクお兄様に「テルファの言葉は甘ったるいクリームを塗りたくった鉛みたいなもんだから気をつけろ」なんて忠告を受けるくらいには言葉を飾り立てるのが上手い方だ。
でも、テルファ様のやり方はギーシャに合わないと思うんだけど。
才能面では似てる二人だけど、性質は全く違うからなぁ。
「ミリア」
「ん」
ギーシャとテルファ様を脳内で並べつつ、私はギーシャから新しい原稿用紙を受け取った。
0
お気に入りに追加
3,263
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる