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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」

内情

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 聖女様と言えば、魔法管理局のトップ。
 魔法管理局のどこかにある聖室と呼ばれる部屋で四六時中、大地に流れる魔力を観察している方だ。
 そのため、眠ることもなく、外に出ることもない。直接会うことが出来るのは、聖女の側仕え数人と国王陛下のみというこの国の超重要人物。
 あ、でも例外的に王家の血を引く者は、生まれた時と成人の儀の際に聖室で聖女様の祝福を頂くという習わしがある。聖女様がさっき言ってたのは、多分私が生まれた時のことだろう。
 そんな方が天幻鳥越しとはいえ、何故ここに?

「全く、勘弁してほしいわね。昨日の夜から魔力の流れが乱れてたから調整のためにあくせく働いてたっていうのに、ようやく落ち着いたら局内で事件勃発してるんだもん。テロールが髭を引っこ抜くなんて、びっくりしたわ」
「確かにそれは私も驚きましたけど、そこじゃなくないですか?」
「それより、魔力の流れに乱れって──大丈夫なんですか!?」

 大地の魔力が乱れるって大変なことじゃないの!?

「ああ、大丈夫大丈夫。数百年の周期で数年にかけて魔力が乱れることはあるのよ。少し前回との間隔が短いのは気になるけど、定期的に微調整してるから平気よ。基本、源泉に近いところの混ざりもの・・・・・だけ取り除けば問題ないしね」

 混ざりもの・・・・・・。さっぱり分からん。
 けど、聖女様が大丈夫って言ってるなら問題ないのかな。

「それは置いといて、問題はテロール。貴方たちよ」

 天幻鳥から発せられる声が凛としたものになり、思わず背筋がピンと伸びる。
 テロール子爵も表情に緊張が走っていた。

「私の愛弟子──いや、愛弟子って言うほど可愛くはないわね。えーと、半愛弟子? 微愛弟子?」
「本人の前でよく言えますね」
「だって、可愛くないんだもの。貴女。いっつもキツいことしか言わないし~」

 うーん、お顔も知らない方だけど、今絶対膨れてるだろうことは予想が出来る。聖女様って王様と年齢そう変わらなかった筈。
 なんて言うか、聖女っぽくない聖女様だな。いや、レイセン王国の聖女は条件さえ満たしていれば、性格は関係ないみたいだからなぁ。

「とにかく、マリスを試すという名目で滅茶苦茶してくれたみたいね。全く、しかもギーシャ君やミリアちゃんまで巻き込んじゃって! ブラコンキングに知られたら、国王が魔法管理局を吹き飛ばすなんて、アホな歴史を作るところなのよ!」
「え!? 陛下まだ知らないんですか!?」

 てっきり、もう耳に入ってるかと思ってた。でも、ただでさえ私の怪我の件があったばかりだったからなぁ。下手すれば王様の怒りが全部魔法管理局に向きかねないと思ってお父様が工作してるのかな?

「知らないわよ。まだ、ね。流石に隠し通せる事柄じゃないけど、そこら辺はナルク様の隠蔽と私が適当に理由つけた仕事押しつけて誤魔化している状況。もう、散々嫌味言われたんだから! とにかく、内々に処分を済ませて事後報告って形を取ろうと思ってる」
「事後報告って・・・・・・陛下、怒りません?」

 王様、何事も把握しておきたいところあるから、事後報告とか嫌いそうなんだよなぁ。

「こっちもそれなりの権限あるし、どのみち今ランカータに失脚されるのは不味いから表沙汰には出来ない。レヴェルだって承知してることよ。恨み言は言われるだろうけど」

 何やら、内部事情がちらほらと。これ、私が聞いちゃっていい話なの?
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