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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」

はじめての活動

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「──と、いうわけで、卒業までギーシャはマリス嬢と友人として仲良くしてね」

 マリス嬢とリンス嬢に話した交際禁止令についてさっくりと説明すると、ギーシャは大人しく頷いた。

「わかった。罰則なら俺は従う」
「ギーシャ王子・・・・・・」

 マリス嬢が目に見えて落ち込んでいるけど、こればかりは仕方ない。
 が、これを好機と見た人物が一人。リンス嬢が颯爽とギーシャに声をかける。

「殿下。この度は大変なご迷惑をおかけしました」

 謝罪を述べて深々と頭を下げる。

「リンス?」

 ギーシャはリンス嬢が何故自分に謝っているのかがわからないのだろう。リンス嬢のつむじを見つめながら、様子を窺っている。

「わたくしの軽率な行動でこのような事態を巻き起こしてしまい、深く反省しております」
「だったら、私にも謝ってくれない?」

 マリス嬢がリンス嬢を半眼で見つめながら言う。だが、リンス嬢これを華麗にスルー。

「殿下との婚約は保留になってしまいましたが、同じ部活に所属することになりましたし、今後ともよろしくお願いいたします」
「こちらこそ。俺と一緒なんて嫌かもしれないが、活動で協力することもあるだろうからよろしく頼む」

 ギーシャは控えめに笑いながら、リンス嬢に言うと、リンス嬢はぽっと赤くなってはにかみながら「はい」と頷く。
 その背後ではマリス嬢が嫉妬の炎に身を焦がしていた。

「いや、人の話聞けや」

 うーわ、どすの効いた声だー。くわばらくわばら。

 にしても、改めてここら辺ややこしいな。
 マリス嬢視点だとリンス嬢が邪魔者で、ギーシャが意中の人。リンス嬢視点だとマリス嬢が邪魔者でギーシャが意中の人。ギーシャ視点だとマリス嬢が愛せる人でリンス嬢は自分と婚約させられた被害者という認識。しかも、マリス嬢とリンス嬢は転生者。
 転生事情とギーシャの性質を知ってる身としては三人の相関図がよく見える。
 今後、三人がどう転ぶかは知らないけど、今は未来のことより目先のことだ。
 何せ、既にやることは決まってるんだから。

「はい。ご注目くださーい!」

 私が手を上げて大声で言うと、三人の視線がこちらに集まる。

「さて、一通りの説明も終了したので、皆様には早速作業に取りかかっていただきます」
「作業? 何かするのか?」
「うん。部活の本格始動は高等部入学後だけど、その前に一仕事してもらうよ」
「一仕事って一体何を──」

 マリス嬢の質問に私は答える。

「皆様が大暴れした卒業パーティーをやり直そうと思いまして、皆様には準備と当日のホスト役をしていただきます。それから謝罪もね」

 それを完遂しなくては、この話の幕は下ろせない。
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