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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
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「どんな人生送ったらそんな風になるのよ」
マリス嬢は呆れるしかないと言った顔でリンス嬢に訊ねた。
「人生色々。皆色々よ」
リンス嬢は答えになってない答えを返して黙ってしまった。
「意味分かんない」
「あ、ならゲームトークついでに前世トークでもしますか?」
ここで話を中断してペースを崩されるのもよくないので、私は話題を広げようと二人に提案してみた。
「「前世については話したくないわ」」
思いの外強い語気で拒否された。
ヒロインと悪役令嬢の凄み怖い・・・・・・。
「では、ゲームの話もそこそこに。今回の騒動についてお話させて頂きますね」
二人にぴりっとした緊張が走る。どうやら自分達の立場が不味い状況に陥っている自覚はあるようだ。
「もうお聞きとは思いますが、今回の件の沙汰は私に委ねられました。その為、お二人に対する事情聴取を行わせて頂きます。とはいえ、今回の一件の原因はほぼほぼお二人が転生者であるというところに起因してますよね」
「・・・・・・まぁ、ゲームでも女同士の殴り合いはなかったしね」
「私も前世の記憶がなければ違った行動をしてたかもしれないわ」
「流石に前世の記憶を持ってたり、この世界がゲームに似た世界なんですなんて、この世界の人に言う訳には行きませんしね」
この世界では輪廻転生というのは言葉だけ存在して、机上の空論とされている。
だから前世がどうのこうの、ゲームがどうのこうのと言ったところで妄言と片付けられてしまう。最悪、頭がおかしくなったと入院させられたり、よしんば信じてもらえても、輪廻転生の研究素材としてモルモットにされそう。まぁ、立場上後者はないとしても、前者はあり得そう。王様が国中のお医者さんを集めそう。
「今のところ、私達の処分はどう検討してるの?」
「んー、実のところ、まだノープランなんですよね。陛下は国外追放や身分剥奪とか騒いでましたけど」
「「っ!」」
二人が息を飲んだ。私はあらぬ誤解を与えてしまったと慌ててつけ足す。
「いえ、流石にそれは妥当とは言えないので、代わりに私が検討することになったんですよ。少なくともその二つはないですから」
「脅かさないでよ」
「陛下は姪である貴女を可愛がっているって言うから不味いとは思ってたけど、そこまでとは・・・・・・」
マリス嬢が大きく息を吐き、リンス嬢は冷や汗をかいている。
いきなり国外追放やら身分剥奪とか言われたらビビるよね。
「私、これでも一応、国王陛下の姪でメイアーツ公爵家の娘なので、王家の──牽いてはレイセン王国の利益なども考えなくてはいけません。リンス嬢はシュナイザー家の一人娘ですし、マリス嬢は貴重な『白の魔力』の使い手です。貴女達を今手放すのは得策とは言えません。とはいえ、けじめはつけて頂きます」
そう言って私は二人を見据える。
まずは、リンス嬢。貴族のそれぞれの爵位にはまとめ役となる家が存在する。侯爵位の場合はシュナイザー家だ。そして、侯爵家には現状リンス嬢しか子供がいない。今、リンス嬢を欠けばシュナイザー家は断絶。そうすれば新たなまとめ役が必要となり、侯爵家同士の争いに発展しかねない。
マリス嬢も。彼女の持つ『白の魔力』は魔法犯罪の温床となっている『闇魔法』の最も有効な対抗手段だ。魔法犯罪対策に余念のないレイセン王国には必要な人材。
さて、どうしたものか。
私としては二人にはこのレイセン王国の安寧の一助となって欲しい。
そして、ギーシャ王子にも。
それに私の判断がメイアーツ公爵家の印象や評価にも繋がる可能性がある。慎重に行かなくては。
でも、一先ず──
「とりあえず、まずはお互いに「ごめんなさい」しませんか?」
そう言った次の瞬間、本当は仲良しなんじゃないかと疑いたくなるくらい息ぴったりな声が飛んできた。
「「絶対嫌だ」」
マリス嬢は呆れるしかないと言った顔でリンス嬢に訊ねた。
「人生色々。皆色々よ」
リンス嬢は答えになってない答えを返して黙ってしまった。
「意味分かんない」
「あ、ならゲームトークついでに前世トークでもしますか?」
ここで話を中断してペースを崩されるのもよくないので、私は話題を広げようと二人に提案してみた。
「「前世については話したくないわ」」
思いの外強い語気で拒否された。
ヒロインと悪役令嬢の凄み怖い・・・・・・。
「では、ゲームの話もそこそこに。今回の騒動についてお話させて頂きますね」
二人にぴりっとした緊張が走る。どうやら自分達の立場が不味い状況に陥っている自覚はあるようだ。
「もうお聞きとは思いますが、今回の件の沙汰は私に委ねられました。その為、お二人に対する事情聴取を行わせて頂きます。とはいえ、今回の一件の原因はほぼほぼお二人が転生者であるというところに起因してますよね」
「・・・・・・まぁ、ゲームでも女同士の殴り合いはなかったしね」
「私も前世の記憶がなければ違った行動をしてたかもしれないわ」
「流石に前世の記憶を持ってたり、この世界がゲームに似た世界なんですなんて、この世界の人に言う訳には行きませんしね」
この世界では輪廻転生というのは言葉だけ存在して、机上の空論とされている。
だから前世がどうのこうの、ゲームがどうのこうのと言ったところで妄言と片付けられてしまう。最悪、頭がおかしくなったと入院させられたり、よしんば信じてもらえても、輪廻転生の研究素材としてモルモットにされそう。まぁ、立場上後者はないとしても、前者はあり得そう。王様が国中のお医者さんを集めそう。
「今のところ、私達の処分はどう検討してるの?」
「んー、実のところ、まだノープランなんですよね。陛下は国外追放や身分剥奪とか騒いでましたけど」
「「っ!」」
二人が息を飲んだ。私はあらぬ誤解を与えてしまったと慌ててつけ足す。
「いえ、流石にそれは妥当とは言えないので、代わりに私が検討することになったんですよ。少なくともその二つはないですから」
「脅かさないでよ」
「陛下は姪である貴女を可愛がっているって言うから不味いとは思ってたけど、そこまでとは・・・・・・」
マリス嬢が大きく息を吐き、リンス嬢は冷や汗をかいている。
いきなり国外追放やら身分剥奪とか言われたらビビるよね。
「私、これでも一応、国王陛下の姪でメイアーツ公爵家の娘なので、王家の──牽いてはレイセン王国の利益なども考えなくてはいけません。リンス嬢はシュナイザー家の一人娘ですし、マリス嬢は貴重な『白の魔力』の使い手です。貴女達を今手放すのは得策とは言えません。とはいえ、けじめはつけて頂きます」
そう言って私は二人を見据える。
まずは、リンス嬢。貴族のそれぞれの爵位にはまとめ役となる家が存在する。侯爵位の場合はシュナイザー家だ。そして、侯爵家には現状リンス嬢しか子供がいない。今、リンス嬢を欠けばシュナイザー家は断絶。そうすれば新たなまとめ役が必要となり、侯爵家同士の争いに発展しかねない。
マリス嬢も。彼女の持つ『白の魔力』は魔法犯罪の温床となっている『闇魔法』の最も有効な対抗手段だ。魔法犯罪対策に余念のないレイセン王国には必要な人材。
さて、どうしたものか。
私としては二人にはこのレイセン王国の安寧の一助となって欲しい。
そして、ギーシャ王子にも。
それに私の判断がメイアーツ公爵家の印象や評価にも繋がる可能性がある。慎重に行かなくては。
でも、一先ず──
「とりあえず、まずはお互いに「ごめんなさい」しませんか?」
そう言った次の瞬間、本当は仲良しなんじゃないかと疑いたくなるくらい息ぴったりな声が飛んできた。
「「絶対嫌だ」」
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