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第八話 強制終了
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まさかの人前で盛大にお腹を鳴らしてしまうという失態を犯してしまった私。
咄嗟に両腕でお腹を押さえるが、動かし方がよくなかったのか、またお腹の虫が「ぐぅ~」と大きく鳴いた。
わわわ、わわわわわ~~~~~~!!!
「あ、えーっと、お腹空いてた?」
空いてますよ! 私、お昼まだですもん!!!
悪態をつきたくなるが、そこはグッと堪え、熱い顔のままコクリと頷く。
「ええ、まぁ。お昼がまだですので! こ、コンラッド殿下はお昼はよろしいのですか!?」
そうよ! 学年が違うとはいえ、お昼の時間は一緒なのに、コンラッド殿下はお腹空いてないわけ!?
「あー、うん。僕は普段、昼食は多く取らないから、ここでスコーン食べてるんだ」
そう言って、テーブルに乗っていた籠からクロスを外して、中のスコーンを見せる。既に食べた形跡があった。
「ず・・・・・・っ!」
ずっるーい! じゃあ、私が来る前にコンラッド殿下はもうお腹にスコーン入れてたってこと? 私はまだで、お腹ぐーぐー鳴らしちゃったのにぃ!
「ず?」
「いえ、何でも」
「あ、よかったらスコーン、どうぞ」
「ありがとうございます・・・・・・」
スコーンを受け取って、齧る。うん、美味しい。どうしてクロテッドクリームってスコーンと一緒に食べると、こんなに美味しいんだろう?
スコーンは美味しい。けれど、残念ながらこれだけじゃあ、私のお腹は満たされないのだ。むしろ、少量をお腹に入れたせいで、逆にまたお腹が鳴りそう。
私は羞恥心に堪えかねて、こほんと一つ咳払いをしてから、一気に言った。
「ところで、コンラッド殿下! 私、申し上げたように、お昼がまだなんです! 今、食堂でガーリックステーキを食べないと死んでしまう病に罹っているので、そろそろ失礼してもよろしいでしょーか!?」
「あ、うん。わか──」
「では、失礼致します────!」
「足速っ!」
食い気味に捲し立てると、私の気迫に圧し負けたのか、コンラッド殿下がひきつった顔で頷いた。
コンラッド殿下がみなまで言い終える前に、退室許可を得た瞬間に温室から飛び出した。
もー! こうなったら、お腹がぱんっぱんになるまで、お昼御飯食べてやるー!!!
こうして、私は温室からの脱出に成功したのであった。
──払った犠牲はそこそこ大きかった。
咄嗟に両腕でお腹を押さえるが、動かし方がよくなかったのか、またお腹の虫が「ぐぅ~」と大きく鳴いた。
わわわ、わわわわわ~~~~~~!!!
「あ、えーっと、お腹空いてた?」
空いてますよ! 私、お昼まだですもん!!!
悪態をつきたくなるが、そこはグッと堪え、熱い顔のままコクリと頷く。
「ええ、まぁ。お昼がまだですので! こ、コンラッド殿下はお昼はよろしいのですか!?」
そうよ! 学年が違うとはいえ、お昼の時間は一緒なのに、コンラッド殿下はお腹空いてないわけ!?
「あー、うん。僕は普段、昼食は多く取らないから、ここでスコーン食べてるんだ」
そう言って、テーブルに乗っていた籠からクロスを外して、中のスコーンを見せる。既に食べた形跡があった。
「ず・・・・・・っ!」
ずっるーい! じゃあ、私が来る前にコンラッド殿下はもうお腹にスコーン入れてたってこと? 私はまだで、お腹ぐーぐー鳴らしちゃったのにぃ!
「ず?」
「いえ、何でも」
「あ、よかったらスコーン、どうぞ」
「ありがとうございます・・・・・・」
スコーンを受け取って、齧る。うん、美味しい。どうしてクロテッドクリームってスコーンと一緒に食べると、こんなに美味しいんだろう?
スコーンは美味しい。けれど、残念ながらこれだけじゃあ、私のお腹は満たされないのだ。むしろ、少量をお腹に入れたせいで、逆にまたお腹が鳴りそう。
私は羞恥心に堪えかねて、こほんと一つ咳払いをしてから、一気に言った。
「ところで、コンラッド殿下! 私、申し上げたように、お昼がまだなんです! 今、食堂でガーリックステーキを食べないと死んでしまう病に罹っているので、そろそろ失礼してもよろしいでしょーか!?」
「あ、うん。わか──」
「では、失礼致します────!」
「足速っ!」
食い気味に捲し立てると、私の気迫に圧し負けたのか、コンラッド殿下がひきつった顔で頷いた。
コンラッド殿下がみなまで言い終える前に、退室許可を得た瞬間に温室から飛び出した。
もー! こうなったら、お腹がぱんっぱんになるまで、お昼御飯食べてやるー!!!
こうして、私は温室からの脱出に成功したのであった。
──払った犠牲はそこそこ大きかった。
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