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第六話 その手の話は結構です。

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「え? 別にどうもしませんけれど」

「え!?」

 え!? いや、何でそんなに驚いた顔するの?
 婚約破棄の後って、何かやらなきゃいけないことってあったっけ? 何? 婚約破棄しましたご報告の旅とか???
 コンラッド殿下の言ってる意味が分からない。けれど、コンラッド殿下もこちらの言っていることに困惑している様子だった。私、別におかしなこと言ってないよね?

「君は公爵家の令嬢だよね?」

「そうですね」

「理由はどうあれ、婚約破棄はしたというだけで醜聞になる。それを君は理解しているのかい?」

「話では。けど、興味ないので」

「貴族令嬢として、君はこの先ずっとハンデを負うことになる」

「コンラッド殿下」

「何?」

「手短にお願いします」

「・・・・・・」

 前置きが長い。話が長い。言いたいことは言いたいことだけ、はっきりと言ってほしい。じゃないと眠くなっちゃうから。
 もうすでに半分くらい、聞いた話が右耳から左耳へとスライダーしてるんで、このままだと完全に寝落ちする。
 コンラッド殿下はまた閉口して、やりづらいなぁって感じの顔をしてたけど、そもそもこっちの結論は出てるんだから、あーだこーだしてても無駄なんだよね。とっとと済ませてご飯食べたいんだよ、私は。

「分かった。じゃあ、単刀直入に言おう。君には私の方で過不足ない新しい婚約者を見繕うことが出来る。君が望むなら、すぐにでも縁談を取りつけよう。どうだい?」

 ・・・・・・そういうの、いらないです。
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