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〜4〜 変化
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学校からの帰り道、いつもと同じ風景。
隣に誰かがいるわけでもないので、気楽と言えば気楽だ。
なぜ神様はこんな状況に僕を巡り合わせるのか。
目の前で中学生が喧嘩をしている。
喧嘩というか、片方の男子グループ数人が気弱そうな男子一人をいじめているように見えた。
男子が嫌がっているのにリュックの中身を強引に撒き散らかし皆で笑う。
筆入れを取って逃げ回る。反応を見てまた笑う。
さっきの自分と重ねたわけではない。でもここを通り過ぎるのは今の僕にはできなかった。
「高田さんならこういう時どうするかな」
自分を助けてくれた高田さんのことを思い出し、せめて残りの人生で一度くらい
僕も人を助けてみよう、人の役に立てるように頑張ってみようと思った。
薬のおかげで発作も起きず、余命二年というのも何かの間違いなのかと思うくらい
今はピンピンしてるから、仮にいじめられてる男の子を連れて走り出すことになっても、
何とか体は持つだろう。
その男の子の前に立って、
「嫌がってるしやめてあげなよ」
こんな経験無かったし、言葉とは裏腹に足は震えていた。
本当にヘタレだな。中学生相手なのに。
「いや、いいんです。僕そんなに嫌じゃないんで」
この子の気持ちは痛いほどわかる。さっきの自分と全く同じだから。
そう思うことで、この現実を受け入れようとしている。
でも、それは正しくない。さっきまで同じようにされてた僕だけど。
現に僕は高田さんが僕を助けてくれた時、少し幸せだった。
誰からも相手にされたことのない人生だったから、僕を見てくれている人がいるだけで嬉しかった。
この男の子にとって今の僕は余計なことをする世話焼き野郎だと思ってるだろうけど、
今日は見過ごせないから我慢してほしい。
「いや、俺らそいつと遊んでるだけなんで なぁ?」
「うん、、、」
「高校生だからって偉そうに邪魔しないでくれます?遊んでるで」
もっと強気な人に助けてもらえば、この中学生を投げ飛ばしてその子を助けるのかな。
でもそれは無理だ。
病気とか関係なく僕は喧嘩どころか、人にパンチすらしたことない。
中学生とはいえ、いじめっ子連中は身体も大きかったし間違いなく僕より強い。
「でも、周りから見たら遊んでるようには見えないんだよ!」
僕なりに強気で言ってみた。
でも僕が話し始めた瞬間に被せるように別の声が後ろから聞こえてくる。
「おい、お前こんなとこで何してんの」
同じクラスの宮本将樹くんだ。
しかも隣には高田さんがいる。
二人は学級委員をやっているから仲が良い。ただ実際は高田さんに片思いしてる宮本くんが
高田さんと同じ仕事がしたくて学級委員に立候補したんじゃないかと周りの女子が噂してた。
「兄貴、邪魔すんなよ」
「お前そんなことして楽しいの?」
明らかに僕は場違いだ。
こうなれば後は主犯であるこのいじめっ子の兄である宮本くんに場を納めてもらうのが一番いい。
「こんなことしたら母さん悲しむぞ?」
「うるせえな、帰ろうぜ」
高田さんの視線が僕に向いてることはさっきから分かっていた。
クラスで一番地味なやつが一番やらそうなことをしているんだから当たり前だ。
本当にカッコ悪い。
いじめを止めたならともかく、何もできずオロオロしてるところをクラスメイトに助けてもらう。
宮本くんは、いじめられていた男の子のそばに行って声をかけた。
「また何かされたら俺に言ってな。あいつ調子乗ってるだけだからさ」
「は、はい、ありがとうございます!」
僕はその場から離れた。
さっきも思ったけど本当に場違い極まりない。
高田さんの視線が気になるけど、恥ずかしくて目を合わせられない。
足早に帰り道に戻ろうとした。
100Mくらい進んで、角を曲がった。
その瞬間、僕の視界に高田さんが入ってくる。
「ちょっと、歩くの早すぎ!」
彼女と目を合わせたのは今日2回目だ。
隣に誰かがいるわけでもないので、気楽と言えば気楽だ。
なぜ神様はこんな状況に僕を巡り合わせるのか。
目の前で中学生が喧嘩をしている。
喧嘩というか、片方の男子グループ数人が気弱そうな男子一人をいじめているように見えた。
男子が嫌がっているのにリュックの中身を強引に撒き散らかし皆で笑う。
筆入れを取って逃げ回る。反応を見てまた笑う。
さっきの自分と重ねたわけではない。でもここを通り過ぎるのは今の僕にはできなかった。
「高田さんならこういう時どうするかな」
自分を助けてくれた高田さんのことを思い出し、せめて残りの人生で一度くらい
僕も人を助けてみよう、人の役に立てるように頑張ってみようと思った。
薬のおかげで発作も起きず、余命二年というのも何かの間違いなのかと思うくらい
今はピンピンしてるから、仮にいじめられてる男の子を連れて走り出すことになっても、
何とか体は持つだろう。
その男の子の前に立って、
「嫌がってるしやめてあげなよ」
こんな経験無かったし、言葉とは裏腹に足は震えていた。
本当にヘタレだな。中学生相手なのに。
「いや、いいんです。僕そんなに嫌じゃないんで」
この子の気持ちは痛いほどわかる。さっきの自分と全く同じだから。
そう思うことで、この現実を受け入れようとしている。
でも、それは正しくない。さっきまで同じようにされてた僕だけど。
現に僕は高田さんが僕を助けてくれた時、少し幸せだった。
誰からも相手にされたことのない人生だったから、僕を見てくれている人がいるだけで嬉しかった。
この男の子にとって今の僕は余計なことをする世話焼き野郎だと思ってるだろうけど、
今日は見過ごせないから我慢してほしい。
「いや、俺らそいつと遊んでるだけなんで なぁ?」
「うん、、、」
「高校生だからって偉そうに邪魔しないでくれます?遊んでるで」
もっと強気な人に助けてもらえば、この中学生を投げ飛ばしてその子を助けるのかな。
でもそれは無理だ。
病気とか関係なく僕は喧嘩どころか、人にパンチすらしたことない。
中学生とはいえ、いじめっ子連中は身体も大きかったし間違いなく僕より強い。
「でも、周りから見たら遊んでるようには見えないんだよ!」
僕なりに強気で言ってみた。
でも僕が話し始めた瞬間に被せるように別の声が後ろから聞こえてくる。
「おい、お前こんなとこで何してんの」
同じクラスの宮本将樹くんだ。
しかも隣には高田さんがいる。
二人は学級委員をやっているから仲が良い。ただ実際は高田さんに片思いしてる宮本くんが
高田さんと同じ仕事がしたくて学級委員に立候補したんじゃないかと周りの女子が噂してた。
「兄貴、邪魔すんなよ」
「お前そんなことして楽しいの?」
明らかに僕は場違いだ。
こうなれば後は主犯であるこのいじめっ子の兄である宮本くんに場を納めてもらうのが一番いい。
「こんなことしたら母さん悲しむぞ?」
「うるせえな、帰ろうぜ」
高田さんの視線が僕に向いてることはさっきから分かっていた。
クラスで一番地味なやつが一番やらそうなことをしているんだから当たり前だ。
本当にカッコ悪い。
いじめを止めたならともかく、何もできずオロオロしてるところをクラスメイトに助けてもらう。
宮本くんは、いじめられていた男の子のそばに行って声をかけた。
「また何かされたら俺に言ってな。あいつ調子乗ってるだけだからさ」
「は、はい、ありがとうございます!」
僕はその場から離れた。
さっきも思ったけど本当に場違い極まりない。
高田さんの視線が気になるけど、恥ずかしくて目を合わせられない。
足早に帰り道に戻ろうとした。
100Mくらい進んで、角を曲がった。
その瞬間、僕の視界に高田さんが入ってくる。
「ちょっと、歩くの早すぎ!」
彼女と目を合わせたのは今日2回目だ。
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