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番外編

黒の執着3

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栄はソファの側まで行くと、久々にクロノの顔をじっくりと見つめた。
寝ている時は本当に邪気がなく只々男前だが、一旦目を覚ますと途端に不躾な態度に変わる。
自分を嫌そうに見るクロノの顔を思い出し、栄はまたしても眉間の辺りを押さえる。
栄はこのまま風呂に入って、直ぐにでも寝たい気分だったがクロノが此処に居たままだと自分の部屋を侵されたようで心が落ち着かなかった。
「おい、起きろ。寝るなら、自分の部屋に行け。」
栄が面倒くさそうにクロノに声をかける。
自分の部屋を用意しているのに、わざわざソファで眠るクロノの神経が信じられなかった。
少し声をかけただけでは一向に起きそうにないクロノに舌打ちをして、栄は顔を近づけ少し大きな声で起こす。
「起きろって言ってんだろ!」
「うるせぇ・・・」
クロノはそう言うと、栄の後ろ頭を掴み強引に唇を重ねた。
「!?」
余りの出来事に栄は碌な抵抗も出来ずクロノの行為を受け入れる。
唇は直ぐに離れ、ニヤッと口に笑みだけ浮かべてクロノが言った。
「何だよ。もう我慢できなくなったのか?もう一回やるか?」
どうやら寝ぼけて栄を何処ぞの女と勘違いしているようだった。
そんなクロノの様子を見て栄は額に青筋を浮かべる。そしていきなりクロノの股間を鷲掴み、握る手に力を込めた。
「誰と勘違いしてる?誰彼構わず盛るのもいい加減にしろよ。」
この行為に流石に驚いたクロノがバッと目を開けた。そして極悪な顔で自分を見下ろす栄と目を合わせた。
「い“っ!栄さん・・・何で俺の股間・・・」
いきなり股間を握られたクロノは何が起きているのかさっぱり状況が読めていない。
「てめぇが寝ぼけて俺の口に噛みついてきたんだろうが。ったく何で今日は此処に居るんだよ。女はどうした?」
栄は股間を握っていた手を直ぐに離し、クロノに話しかける。
ここ最近は色々な女の家に入り浸っていたクロノが栄の家に帰ってきていたことに正直に疑問を持ったからだ。
「飽きた・・・」
「はぁ?」
クロノの答えに栄が呆れた声を出す。
「だって、ちょっと誘ったらノリノリで付いてくるし喜んで股開くし。一回寝たら何回も連絡来るし、もう寝ないって言ったら怒るし。色々と女は面倒くせぇ。」
最低な発言をしている自覚のないクロノに栄が盛大に顔を歪ませる。
「お前は最低な野郎だな。」
そして思ったことを率直にクロノに伝えた。
「だってちょっとは抵抗してほしいじゃん。で、それを無理やり組み敷くのが最高なんだろ。」
「こっちの世界でそれをやったら、犯罪だからな。」
最低な発言を繰り返すクロノと話す事に疲れた栄は早々に話を切り上げようとする。
「まぁ、この話はまた今度だ。いいからお前はもう自分の部屋に行ってくれ。あと、今後は俺のソファで寝るな。分かったら早く寝ろ。」
言いたいことだけ言って、その場を去ろうとするとクロノが栄の腕を取った。
栄がうんざりしたように振り返ると、冷めた表情のクロノと目が合った。
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