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第4章:偽りの聖女編
第151話:神曲
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「・・・チッ」
俺は舌打ちして逡巡するが、そもそも此奴らが俺に何を求めているのかは知らないが、協力した所で素直に帰してくれるのか分からない。
寧ろ、用済みとしてこの場で消される可能性の方が高い。
「お前は俺に何をさせたいんだ?」
「やっと話しをしてくれる気になったかい?」
「勘違いすんな。目的が分からないと協力するかどうかも判断出来ねぇだろ」
「ハルッ!?」
「悪魔に協力って本気で言ってるの!?」
俺の回答にファイとイリアからすぐ様ツッコミが来るが、俺はそれを振り向きもせず右手を上げて制した。
「お前も勘違いしている様だから一つ言っておいてやろう。お前が理由に納得しようがしまいが、お前は私達に協力せざるを得ない。協力しないのならお前の仲間も、勿論お前自身もここで死ぬだけだ」
「はんッ、殺れるもんなら殺ってみろよ。お前の仲間は秒で死んだぞ?」
俺は顎でジミナと呼ばれていた悪魔が受肉したその残骸を指す。
「確かにそうなんだが、シューザも言っていただろう?我々はここで活動する為に受肉している。その為、色々と制限を受けていてね」
ちょっと意味が分からなかった。
だから、俺は受肉しているせいでお前らは弱くなっているんだから、俺達を殺すどころか逆に殺されるかもしれないぞと言っているのだが、フェイクスは態々、何故この様な事を言っているのだろうか。
「・・・だからそれがお前らの弱点なんだろうが。んな状態で俺達を殺ろうってのか?」
「ふぅ・・・だからお前はそもそも勘違いをしていると言っているんだ」
「・・・どう言う事だ」
俺が怪訝そうな顔をするとそれに気を良くしたのか、フェイクスは表情を変えないまでも口調を軽くして答えた。
「我々が何故、こんな臭い肉袋を被ってまで、己の力を制限してまで受肉していると思うんだ?」
「・・・・・・」
「我々は何故、お前達が魔界と呼んでいるこの場から出ずに人間にあまり干渉しないのか」
フェイクスの言っている事は最もだが、ぶっちゃけそんなのはどうでも良かった。
俺の仲間を連れ去り命の危険に晒し、俺や仲間に喧嘩を売った。
なら、それが神であろうが悪魔であろうがキッチリ落とし前を付けさせる。
それだけだろ
フェイクスは自慢げに色々と宣っているが、俺はひっそりと爪を研ぐ。
ただ、ここでいきなり飛び出しても明莉がまだ敵の手にある以上、迂闊には行動に起こせない。
先ずは明莉を救出する
「・・・つまりお前達はやろうと思えば本来の姿でこの世に顕現出来ると?」
「・・・少し違う。それはやろうと思えば出来るが、この忌々しい星にはもっと忌々しい神々が定めたルールが存在していてな。その為、私程の者で在っても、本来の姿ではあまり長い時間留まっては居られないのだよ」
ペラペラとよくもまあ喋るもんだとある意味感心するが、情報を引き出せるなら出来るだけ引き出したいので、もう少し付き合う事にする。
「はんッ、つまり俺にやらせたいのはそこに関連してるんだろ?その神のルールとやらを破るか、それとも―――」
俺は地球に居る時に読んできた様々な聖典の数々の知識を総動員してある結論に辿り着く。
「―――この星と地獄を繋げるって所か?」
「・・・・・・」
どうよ!?
こんなファンタジー設定有っても可笑しくは無いよな!?
「地獄を繋げる!?」
「ちょ、ちょっと一体どう言う事よ!?」
後ろのファイやイリア、他の者達も俺とフェイクスの会話を聞いて動揺していた。
ザワザワと騒がしくなるが、あながち間違いでも無いだろう。
ん?どうなんだね、フェイクスくん?
「・・・・・・フフ、フフフ―――」
まるで抑え込むかの様にしているが、時折肩を揺らしフェイクスは口から笑いが漏れだしていた。
今まで、表情を変える事無く何処か淡々としていたフェイクスだったが、今は何となく違う気がした。
「ハハハハハハハハッッ!!!地獄とこの星を繋げるだって?アッハハハハハ!」
「あぁ?気でもふれたか?」
「いやいやッ!きっとお前以外そんな発想には至らないだろうさ!流石だよッ」
先程とは打って変わって、感情を顕にして笑うフェイクスを見て少し恐怖を感じた。
その笑いは純粋だった。そこには善も悪も何もかも存在せず、単純に笑うと言う行為を純粋に行う悪魔がいるだけだ。
「わ、妾だってその位思い付いておったわ!戯けがッ」
何でそこで張り合うんだよ・・・
戯けはお前だぞ・・・
アリシエーゼの言葉に若干ホッとしながらフェイクスを見ると、まだ笑いが止まらない様で声を発しながら笑っていた。
「何時まで笑ってやがる。気持ち悪いんだよ」
「―――ハハハッ、あぁ、いや失敬。ただね、訂正して置かなければならない。我々が直接この星に干渉する事は不可能だ。それは忌々しい神々にも出来ない事だ」
えッ!?そうなの??
てっきり俺の言った事が正解だと思ってたんだが・・・
恥ずかしいじゃないか・・・
「だったら何でそんなに笑ってんだよッ」
「いや、なに、そんな方法は人間の単位で言うのなら、幾億の年月試して来たし、寧ろ初めは原始的にそんな方法だけを盲目的に試行錯誤したなと少し感傷に浸ってしまっていただけだ。まるで始まりの我々を見ている様だったよ」
そう言って肩を震わせて笑いを堪えるフェイクスを見て俺は何故だかイラついた。
「下らねぇ事言ってんじゃねぇよ。じゃあお前らは魔界で何やってんだよ!?」
「そうだな。強いて言えばあの糞神々のシステムの模倣だよ。我々は長い年月を掛けてこの星に干渉する為のシステムを構築している。神々もやっているんだ。我々にでも出来る筈だし現に着実に計画は進みつつある」
星に干渉するシステム?
何の事だ?
俺は訳が分からず、思わずアリシエーゼを見るが、アリシエーゼも肩を竦めて理解不能の意を示す。
「訳分かんねぇ事―――」
「一つ、聞いていいだろうか」
俺の言葉を遮り、今まで発言どころか存在も皆に隠れて消していた篤が急にそんな事を言いながら前に進み出て来た。
「・・・・・・何だ、人間。申してみろ」
「お、おい、篤―――」
何故いきなり存在そのものを主張し始めたのか理解出来ず俺は篤を止めようとするが、それを無視して篤は更にフェイクスの方へと歩み寄る。
俺と同じ位置に立ち篤はフェイクスを睨む様にしながら続けた。
「この星に干渉出来る様にしていると言っていたが、それは神達はその星への干渉を出来るにする場所を既に保持していると言う事か?」
「そうだ」
「つまり、天上、神界にはあるが、地獄には無い場所と言う事だな?」
「・・・あぁ、そうだ」
一体何を確認しているのだろうか?
篤は何か確信めいた物を持っていて、自分の中でそれの確度を更に上げようとしている様に感じ、何か漠然と不安の様な物を俺は感じていた。
「・・・つまり今はまだ干渉出来ないと言う事だな、てん―――」
「そこまでだ」
最後に篤が何か言おうとするのをフェイクスは良しとせずに途中で止める。
言葉だけでは無く、無言の圧力を受肉した身体から醸し出し、漏れ出る残りカスの様なそれだけで身体が竦み、奥底から震えが込み上げてくる感覚に襲われ、篤も、そして俺も何も言えずにその場で立ち尽くした。
此奴・・・
受肉した身体から本来のフェイクスが顔を覗かせ、その片鱗だけでこれだ。
言った通り本来の姿になった場合、俺達では勝ち目は無いかも知れない。
そう思わざる得ない程凶悪だった。存在が。
篤は暫くすると冷や汗をかきながら仲間達の元へと戻って行く。
その顔は酷く疲れた様な印象を受けた。なので心配になり俺は篤に声を掛ける。
「あ、篤、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。それより・・・いや、今ここで言う事では無いか」
「・・・何か分かったのか?」
「・・・・・・・・・・・・神曲を知っているか?」
言うべきか、それとも言わずにいるべきか。たっぷりと溜めてから篤はそんな事を口にする。
神曲?
何処かで聞いた事あるが・・・
「・・・ダンテのか?」
篤との会話いつの間にかこちらに戻って来たアリシエーゼも加わる。
ダンテ?イタリアの詩人の?
「・・・あぁ、そのダンテの神曲だ」
「あぁ、思い出した。それって―――」
「クハハハハハハッ!!また懐かしい名前が出て来たな!その者の名前、覚えてるぞッ」
はぁ?此奴何を言ってるんだ?
俺達の会話が聞こえていたのか、フェイクスは愉快そうにまた笑い出し、俺達を見る。
「あぁ?テメェに何が分かるってんだ!?」
「なに、私は直接は見た事が無いのだがな。当時地獄では相当話題になっておったわ。地獄の情報を盗み出し、しかもそれを書物にして忌々しい神々にしか―――いや、我々だけが見れない様にしたのだったか?まぁ良い。兎に角、その様な不届き者が現れたとな!」
ちょっと待て・・・
此奴、今何て言った?
「懐かしいとはどう言う事だ!!」
焦る
「どうとは何だ?そのままの意味だ」
更に焦る
「だからッ、懐かしいってどう言う事だよ!!」
ちょっと待て
いや、そんな筈は・・・
そんな話ってあるだろうか
「うん?あぁ、そう言う事か。あの神々は説明などしないのか。それは混乱するだろう」
巫山戯んなよッ
「・・・・・・」
「懐かしいとはそのままの意味だ。そのダンテとか言ったか。其奴が地獄に迷い込んでな。だが、偶然にも迷い込む事など考えられんのでな。私が思うにあれは地獄の者が手引きをしたに違い―――」
「巫山戯んじゃねぇ!!!!!」
そんな馬鹿な事があってたまるかッ!!!
俺は舌打ちして逡巡するが、そもそも此奴らが俺に何を求めているのかは知らないが、協力した所で素直に帰してくれるのか分からない。
寧ろ、用済みとしてこの場で消される可能性の方が高い。
「お前は俺に何をさせたいんだ?」
「やっと話しをしてくれる気になったかい?」
「勘違いすんな。目的が分からないと協力するかどうかも判断出来ねぇだろ」
「ハルッ!?」
「悪魔に協力って本気で言ってるの!?」
俺の回答にファイとイリアからすぐ様ツッコミが来るが、俺はそれを振り向きもせず右手を上げて制した。
「お前も勘違いしている様だから一つ言っておいてやろう。お前が理由に納得しようがしまいが、お前は私達に協力せざるを得ない。協力しないのならお前の仲間も、勿論お前自身もここで死ぬだけだ」
「はんッ、殺れるもんなら殺ってみろよ。お前の仲間は秒で死んだぞ?」
俺は顎でジミナと呼ばれていた悪魔が受肉したその残骸を指す。
「確かにそうなんだが、シューザも言っていただろう?我々はここで活動する為に受肉している。その為、色々と制限を受けていてね」
ちょっと意味が分からなかった。
だから、俺は受肉しているせいでお前らは弱くなっているんだから、俺達を殺すどころか逆に殺されるかもしれないぞと言っているのだが、フェイクスは態々、何故この様な事を言っているのだろうか。
「・・・だからそれがお前らの弱点なんだろうが。んな状態で俺達を殺ろうってのか?」
「ふぅ・・・だからお前はそもそも勘違いをしていると言っているんだ」
「・・・どう言う事だ」
俺が怪訝そうな顔をするとそれに気を良くしたのか、フェイクスは表情を変えないまでも口調を軽くして答えた。
「我々が何故、こんな臭い肉袋を被ってまで、己の力を制限してまで受肉していると思うんだ?」
「・・・・・・」
「我々は何故、お前達が魔界と呼んでいるこの場から出ずに人間にあまり干渉しないのか」
フェイクスの言っている事は最もだが、ぶっちゃけそんなのはどうでも良かった。
俺の仲間を連れ去り命の危険に晒し、俺や仲間に喧嘩を売った。
なら、それが神であろうが悪魔であろうがキッチリ落とし前を付けさせる。
それだけだろ
フェイクスは自慢げに色々と宣っているが、俺はひっそりと爪を研ぐ。
ただ、ここでいきなり飛び出しても明莉がまだ敵の手にある以上、迂闊には行動に起こせない。
先ずは明莉を救出する
「・・・つまりお前達はやろうと思えば本来の姿でこの世に顕現出来ると?」
「・・・少し違う。それはやろうと思えば出来るが、この忌々しい星にはもっと忌々しい神々が定めたルールが存在していてな。その為、私程の者で在っても、本来の姿ではあまり長い時間留まっては居られないのだよ」
ペラペラとよくもまあ喋るもんだとある意味感心するが、情報を引き出せるなら出来るだけ引き出したいので、もう少し付き合う事にする。
「はんッ、つまり俺にやらせたいのはそこに関連してるんだろ?その神のルールとやらを破るか、それとも―――」
俺は地球に居る時に読んできた様々な聖典の数々の知識を総動員してある結論に辿り着く。
「―――この星と地獄を繋げるって所か?」
「・・・・・・」
どうよ!?
こんなファンタジー設定有っても可笑しくは無いよな!?
「地獄を繋げる!?」
「ちょ、ちょっと一体どう言う事よ!?」
後ろのファイやイリア、他の者達も俺とフェイクスの会話を聞いて動揺していた。
ザワザワと騒がしくなるが、あながち間違いでも無いだろう。
ん?どうなんだね、フェイクスくん?
「・・・・・・フフ、フフフ―――」
まるで抑え込むかの様にしているが、時折肩を揺らしフェイクスは口から笑いが漏れだしていた。
今まで、表情を変える事無く何処か淡々としていたフェイクスだったが、今は何となく違う気がした。
「ハハハハハハハハッッ!!!地獄とこの星を繋げるだって?アッハハハハハ!」
「あぁ?気でもふれたか?」
「いやいやッ!きっとお前以外そんな発想には至らないだろうさ!流石だよッ」
先程とは打って変わって、感情を顕にして笑うフェイクスを見て少し恐怖を感じた。
その笑いは純粋だった。そこには善も悪も何もかも存在せず、単純に笑うと言う行為を純粋に行う悪魔がいるだけだ。
「わ、妾だってその位思い付いておったわ!戯けがッ」
何でそこで張り合うんだよ・・・
戯けはお前だぞ・・・
アリシエーゼの言葉に若干ホッとしながらフェイクスを見ると、まだ笑いが止まらない様で声を発しながら笑っていた。
「何時まで笑ってやがる。気持ち悪いんだよ」
「―――ハハハッ、あぁ、いや失敬。ただね、訂正して置かなければならない。我々が直接この星に干渉する事は不可能だ。それは忌々しい神々にも出来ない事だ」
えッ!?そうなの??
てっきり俺の言った事が正解だと思ってたんだが・・・
恥ずかしいじゃないか・・・
「だったら何でそんなに笑ってんだよッ」
「いや、なに、そんな方法は人間の単位で言うのなら、幾億の年月試して来たし、寧ろ初めは原始的にそんな方法だけを盲目的に試行錯誤したなと少し感傷に浸ってしまっていただけだ。まるで始まりの我々を見ている様だったよ」
そう言って肩を震わせて笑いを堪えるフェイクスを見て俺は何故だかイラついた。
「下らねぇ事言ってんじゃねぇよ。じゃあお前らは魔界で何やってんだよ!?」
「そうだな。強いて言えばあの糞神々のシステムの模倣だよ。我々は長い年月を掛けてこの星に干渉する為のシステムを構築している。神々もやっているんだ。我々にでも出来る筈だし現に着実に計画は進みつつある」
星に干渉するシステム?
何の事だ?
俺は訳が分からず、思わずアリシエーゼを見るが、アリシエーゼも肩を竦めて理解不能の意を示す。
「訳分かんねぇ事―――」
「一つ、聞いていいだろうか」
俺の言葉を遮り、今まで発言どころか存在も皆に隠れて消していた篤が急にそんな事を言いながら前に進み出て来た。
「・・・・・・何だ、人間。申してみろ」
「お、おい、篤―――」
何故いきなり存在そのものを主張し始めたのか理解出来ず俺は篤を止めようとするが、それを無視して篤は更にフェイクスの方へと歩み寄る。
俺と同じ位置に立ち篤はフェイクスを睨む様にしながら続けた。
「この星に干渉出来る様にしていると言っていたが、それは神達はその星への干渉を出来るにする場所を既に保持していると言う事か?」
「そうだ」
「つまり、天上、神界にはあるが、地獄には無い場所と言う事だな?」
「・・・あぁ、そうだ」
一体何を確認しているのだろうか?
篤は何か確信めいた物を持っていて、自分の中でそれの確度を更に上げようとしている様に感じ、何か漠然と不安の様な物を俺は感じていた。
「・・・つまり今はまだ干渉出来ないと言う事だな、てん―――」
「そこまでだ」
最後に篤が何か言おうとするのをフェイクスは良しとせずに途中で止める。
言葉だけでは無く、無言の圧力を受肉した身体から醸し出し、漏れ出る残りカスの様なそれだけで身体が竦み、奥底から震えが込み上げてくる感覚に襲われ、篤も、そして俺も何も言えずにその場で立ち尽くした。
此奴・・・
受肉した身体から本来のフェイクスが顔を覗かせ、その片鱗だけでこれだ。
言った通り本来の姿になった場合、俺達では勝ち目は無いかも知れない。
そう思わざる得ない程凶悪だった。存在が。
篤は暫くすると冷や汗をかきながら仲間達の元へと戻って行く。
その顔は酷く疲れた様な印象を受けた。なので心配になり俺は篤に声を掛ける。
「あ、篤、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。それより・・・いや、今ここで言う事では無いか」
「・・・何か分かったのか?」
「・・・・・・・・・・・・神曲を知っているか?」
言うべきか、それとも言わずにいるべきか。たっぷりと溜めてから篤はそんな事を口にする。
神曲?
何処かで聞いた事あるが・・・
「・・・ダンテのか?」
篤との会話いつの間にかこちらに戻って来たアリシエーゼも加わる。
ダンテ?イタリアの詩人の?
「・・・あぁ、そのダンテの神曲だ」
「あぁ、思い出した。それって―――」
「クハハハハハハッ!!また懐かしい名前が出て来たな!その者の名前、覚えてるぞッ」
はぁ?此奴何を言ってるんだ?
俺達の会話が聞こえていたのか、フェイクスは愉快そうにまた笑い出し、俺達を見る。
「あぁ?テメェに何が分かるってんだ!?」
「なに、私は直接は見た事が無いのだがな。当時地獄では相当話題になっておったわ。地獄の情報を盗み出し、しかもそれを書物にして忌々しい神々にしか―――いや、我々だけが見れない様にしたのだったか?まぁ良い。兎に角、その様な不届き者が現れたとな!」
ちょっと待て・・・
此奴、今何て言った?
「懐かしいとはどう言う事だ!!」
焦る
「どうとは何だ?そのままの意味だ」
更に焦る
「だからッ、懐かしいってどう言う事だよ!!」
ちょっと待て
いや、そんな筈は・・・
そんな話ってあるだろうか
「うん?あぁ、そう言う事か。あの神々は説明などしないのか。それは混乱するだろう」
巫山戯んなよッ
「・・・・・・」
「懐かしいとはそのままの意味だ。そのダンテとか言ったか。其奴が地獄に迷い込んでな。だが、偶然にも迷い込む事など考えられんのでな。私が思うにあれは地獄の者が手引きをしたに違い―――」
「巫山戯んじゃねぇ!!!!!」
そんな馬鹿な事があってたまるかッ!!!
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