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第十三話 謎の音
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引っ越しを終えてから毎晩のように扉から音が聞こえるようになった。ドアは木製でつるつるとした感触だ。その音は夜に室内にいると突然鳴り出す。
サリサリ……
サリサリ……
控えめに鳴る音に私は最初誰かがノックをしたのだと思い扉を開けた。けれど、誰も居なかった。私は疑問符を浮かべながら扉を閉めた。誰も居ないはずなのにその音は夜になると毎日鳴る。これだけ鳴らされれば気にならないはずはない。私は音の正体を確かめようと決意した。
今宵もまた聞こえる。
サリサリ……
サリサリ……
来た! 私はそっと足音を立てずに扉へと近づいて相手に逃げる隙を与えないように静かに扉を開いた。正直に言えばこの時の私は音の正体はピンポンダッシュ的なものだと思い込んでいたのだ。さあ、こんな悪戯をするのは誰だ! と言わんばかりに扉を開く。
けれど
「ニャー」
少し離れたところに茶々さんが座っているだけで誰も居なかった。私は扉を開けたまま疑問符を浮かべる。
「あれ? 誰も居ない……。あ、茶々さん、こんばんは」
「ンニャー」
挨拶を返すように鳴いた茶々さんが近づいてくる。彼女の頭部を撫でながら私は首を傾けた。あの音の正体はなんなんだろう、疑問だけが残る。明日千帆ちゃんに聞いてみよう。
翌朝、朝食の準備を済ませた私たちは出口に近いテーブルに食器を並べて席に着く。大型テレビからは朝のニュース番組が流れている。
味噌汁を飲みながら私は連日聞こえる音について千帆ちゃんへ話した。
「え? 毎晩扉から“サリサリ……”って音が聞こえる?」
私は頷いた。もしかしたら千帆ちゃんの部屋でも聞こえるのではないか、と淡い期待を持っている。
けれど、そんな期待も虚しく「うーん、私の部屋では聞いたことないなぁ~」と返されて私は目を丸くした。その音は今のところ私の部屋しか聞こえないらしい。
「幽霊とか?」
茶化す千帆ちゃんに私は「やめてよ、そんなポルターガイスト現象とか嫌だよ~」と笑いながら返すが、内心ではポルターガイスト現象だったらどうしようと不安が募っていた。
いつものように談笑している私たちの足元にはいつの間にか入って来ていた茶々さんが当然のように私たちの座っている椅子の下にちょこんと座っている。時折尻尾を立てながら椅子の下を行ったり来たりして私たちの食事が終わるのを待つ。食事が終われば一緒に食堂から出て行くのだった。
そして今宵もあの音が聞こえる……。
サリサリ……
サリサリ……
控えめに鳴る音に私は最初誰かがノックをしたのだと思い扉を開けた。けれど、誰も居なかった。私は疑問符を浮かべながら扉を閉めた。誰も居ないはずなのにその音は夜になると毎日鳴る。これだけ鳴らされれば気にならないはずはない。私は音の正体を確かめようと決意した。
今宵もまた聞こえる。
サリサリ……
サリサリ……
来た! 私はそっと足音を立てずに扉へと近づいて相手に逃げる隙を与えないように静かに扉を開いた。正直に言えばこの時の私は音の正体はピンポンダッシュ的なものだと思い込んでいたのだ。さあ、こんな悪戯をするのは誰だ! と言わんばかりに扉を開く。
けれど
「ニャー」
少し離れたところに茶々さんが座っているだけで誰も居なかった。私は扉を開けたまま疑問符を浮かべる。
「あれ? 誰も居ない……。あ、茶々さん、こんばんは」
「ンニャー」
挨拶を返すように鳴いた茶々さんが近づいてくる。彼女の頭部を撫でながら私は首を傾けた。あの音の正体はなんなんだろう、疑問だけが残る。明日千帆ちゃんに聞いてみよう。
翌朝、朝食の準備を済ませた私たちは出口に近いテーブルに食器を並べて席に着く。大型テレビからは朝のニュース番組が流れている。
味噌汁を飲みながら私は連日聞こえる音について千帆ちゃんへ話した。
「え? 毎晩扉から“サリサリ……”って音が聞こえる?」
私は頷いた。もしかしたら千帆ちゃんの部屋でも聞こえるのではないか、と淡い期待を持っている。
けれど、そんな期待も虚しく「うーん、私の部屋では聞いたことないなぁ~」と返されて私は目を丸くした。その音は今のところ私の部屋しか聞こえないらしい。
「幽霊とか?」
茶化す千帆ちゃんに私は「やめてよ、そんなポルターガイスト現象とか嫌だよ~」と笑いながら返すが、内心ではポルターガイスト現象だったらどうしようと不安が募っていた。
いつものように談笑している私たちの足元にはいつの間にか入って来ていた茶々さんが当然のように私たちの座っている椅子の下にちょこんと座っている。時折尻尾を立てながら椅子の下を行ったり来たりして私たちの食事が終わるのを待つ。食事が終われば一緒に食堂から出て行くのだった。
そして今宵もあの音が聞こえる……。
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