a pair of fate

みか

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【第一部】

三年前

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「勝手に開けてごめんなさい」

「気にすんな、どれにする?」


リビングに戻ってすぐもう一度謝ると頭を撫でてくれた。
怒ってないみたいで良かった。

黒川さんの左に座ると目の前に並べられる大量のデリバリーと酒の缶。

和洋中どれもあるし、それぞれ量が絶対二人分じゃない。

黒川さんは俺が選ぶまで選ばないみたいだし、とりあえず前にあるエビチリを手に取った。黒川さんは皿うどん。

もぐもぐ食べながらさっきの気になった事を聞いてみる。


「ドタキャン若様と3年前のアレって何ですか?」

「気にするな、冷めないうちに食おう」


黒川さんは少し動きを止めて缶ビールのプルタブを開けた後、すぐに煽った。

すっごくあからさまにその話題を逸らされて、もっと気になる。
気になる、けど話を逸らしたって事はきっと聞かれたくないって事だろう。

だからこれ以上聞かない。

…と決めたのに、『気になる』と『聞かない』が交互に押し寄せてきて、美味しいはずのエビチリが飲み込めない。きっとこれも当たり前に高いんだろう。

噛んで麦茶で流し込む作業を繰り返していると、黒川さんは缶を置いて俺の方を向いた。


「華、そんな顔すんなよ…気になる?」


そんな変な顔してただろうか。
必死に顔に気合いを入れて俺も黒川さんの方を向いた。

数秒見つめあって話が始まる。



「俺さぁ…3年前…結婚する予定だったんだよ」


あまりにも突拍子のない話に思考回路が止まりかけた。




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