a pair of fate

みか

文字の大きさ
上 下
80 / 226
【第一部】

3

しおりを挟む




「…花火始まってるじゃん」


1時間待ったという事はもう7時になっているって事で打ち上げ花火は始まってるってのは考えなくてもわかる。

住宅街から出てくる人はパッタリいなくなったし、1時間以上前から動いてないのは世界中で俺だけなのでは無いかと錯覚してしまいそうだ。

こんなに遅れるのに連絡もないし事故とかじゃないよな?と得体の知れない不安に襲われ、もう一回電話をかけようとLINEを開く。


「ん??」


黒川さんのアイコンをタッチする前に友達追加していないアカウントからメッセージが届いているのに気付く。
すぐに開くと、送られてきていたのは画像一枚。

たったそれだけ。


「…っぉお…、…え?何だこれ…」


その画像を見た時、一瞬息が止まるかと思った。
ていうか一瞬止まった。

送られてきたのは誰かの隠し撮り。
写ってる二人のうち、背の高い男の人の顔をよく見ようとズームする。
誰か間違いだと言ってくれ。

だって黒川さんは今日俺と花火大会に行くんだよな?


「…まじ?」


何回見ても写ってる人は黒川さんで、隣には『お姉様』って言葉がしっくりする綺麗な女の人が並んでる。

腕なんか組んじゃってさ~!俺だってまだ手繋いだことしかないのに!!!!!ちょっとジェラシー。

お姉様は茶髪ロングで毛先はフワッと軽く巻いている。いい匂いがしそうだし身体も柔らかそう。肌も出す所は出して隠すところは隠れてる上品な露出。隠し撮りにしては顔も綺麗に撮れている。

美人さんで見る限り完璧。


「フッ…番は俺だもんね…」


でも勘違いなんかしない。
だって女の人の近くには秘書っぽい人が立ってるし、多分ビジネスの相手でしょ?しかも黒川さんはちょっと離れようとしてる。大丈夫大丈夫。

社長の黒川さんのビジネス相手だったら話に来るのは社長だろうし、社長に上り詰める実力があるって事は限りなくαだろう。

α同士は番になっても上手くいかないっていうし。

完全に俺の勝ち。

このお姉様は黒川さん狙いだろうけど勝負は始まってすらない。会ったことのない男子高校生に負けるんだ。


「…でもなぁ…綺麗だなぁ…」


俺の勝ち、どれだけそう自分に言い聞かせても嫌なものは嫌だ。

でも俺は黒川さんの家の鍵貰ったし。
いつでも来ていいよって言ってくれたし。大丈夫。
キーケースを開き鍵を撫でる。

俺は正妻気取りしとけばいいんだ。いや浮気って決まったわけじゃないけど。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

両片思いのI LOVE YOU

大波小波
BL
 相沢 瑠衣(あいざわ るい)は、18歳のオメガ少年だ。  両親に家を追い出され、バイトを掛け持ちしながら毎日を何とか暮らしている。  そんなある日、大学生のアルファ青年・楠 寿士(くすのき ひさし)と出会う。  洋菓子店でミニスカサンタのコスプレで頑張っていた瑠衣から、売れ残りのクリスマスケーキを全部買ってくれた寿士。  お礼に彼のマンションまでケーキを運ぶ瑠衣だが、そのまま寿士と関係を持ってしまった。  富豪の御曹司である寿士は、一ヶ月100万円で愛人にならないか、と瑠衣に持ち掛ける。  少々性格に難ありの寿士なのだが、金銭に苦労している瑠衣は、ついつい応じてしまった……。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【好きと言えるまで】 -LIKEとLOVEの違い、分かる?-

悠里
BL
「LIKEとLOVEの違い、分かる?」 「オレがお前のこと、好きなのは、LOVEの方だよ」  告白されて。答えが出るまで何年でも待つと言われて。  4か月ずーっと、ふわふわ考え中…。  その快斗が、夏休みにすこしだけ帰ってくる。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

俺を注意してくる生徒会長の鼻を明かしてやりたかっただけなのに

たけむら
BL
真面目(?)な生徒会長×流されやすめなツンデレ男子高校生。そこに友達も加わって、わちゃわちゃの高校生活を送る話。 ネクタイをつけてこないことを毎日真面目に注意してくる生徒会長・伊佐野のことを面白がっていた水沢だったが、実は手のひらの上で転がされていたのは自分の方だった? そこに悪友・秋山も加わってやいのやいのにぎやか(?)な高校生活を送る話。 楽しんでいただけますように。どうぞよろしくお願いします。

処理中です...