a pair of fate

みか

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【第一部】

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遠くで誰かの声が聞こえる。

ゆっくり意識が覚醒して目を開けると、まだぼやける視界で3人くらい人がいるのがわかった。


「......ん、....?」

「あ、起きましたね」


俺が寝ているベッドに腰掛けている人と、ベッド横の椅子に座っている人、そして部屋のドアに凭れて腕を組み立っている人の三人。

声を掛けてきたのは椅子の人だった。白衣を着ていて優しい雰囲気の人だ。


「あの、ここって....」

「あ、それは後で説明しますね。気分はどうですか?」

「少し頭痛が....」

「あ、横になっててください」


自分だけ寝転んでいるのが申し訳なくて身体を起こすと止められまた逆戻りして柔らかなベッドに埋もれる。

薬と水を渡され飲むとお医者さん?は微笑んでくれた。


「.....あのっ、ここって!」


もう一度聞くと白衣さんじゃなくてベッドに腰掛けている人が口を開く。


「ここは俺の家の寝室。俺はお前の運命の番。」

「....番?冗談辞めてください....」


『運命の』をやたら強調する男。

目の前の男の雰囲気は一言で言うと『黒』だ。
真っ黒な瞳、ツーブロックに刈り上げた黒髪から覗く耳には幾つか黒いピアスがついているし、ワイシャツもスラックスも黒。


「俺は黒川 廉。白衣が早野でドアのが白林。」

「早野です。よろしくね」


早野さんの雰囲気はピンク。
笑顔と柔らかそうな茶髪と可愛らしい顔でふわふわ暖かい。α‬って感じではないかな。


「白林です。優斗って呼んでね~、よろしく。」


ドアの人はしらばやしさんっていうらしい。
名前の通り白く染めた髪を後ろで束ねている。黒川さんとは正反対の白王子。
ニっと爽やかに笑う顔は思わず見蕩れそうな程イケメンだ。雰囲気が絶対‪α‬。


「あ、えっと俺は金条 華です。」


ぺこんと頭を下げると黒川さんにわしゃわしゃ撫でられる。

知らない人ばかりの空間に緊張していたが、それに少し安心して肩の力が抜ける自分が気に入らず少し黒川さんを睨んだ


「おい、また明日にしろ」

「はいはい、邪魔者は退散するよ~。行こう早野」

「ですね、くれぐれも無茶しないでくださいね金条くん!また明日っ!!」

「えっ、ありがとうございました」


満足にお礼も言えないまま二人は部屋を出て行ってしまった。



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