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第二章 送っていく学校生活
第十四話 呼び出し
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ある日の学校終わり。担任の加賀先生が教室にやって来て俺と蓮と涼悟の3人を呼び出した。
特にその意味も伝えられないまま俺達は「生徒会室」まで引率されていた。
「神定くん。連れてきたわよ。」
「はーい。どうぞ入ってください。」
ノックして先生が室内に呼びかけると中から男子生徒と思われる声が返事してきた。
先生が開けたドアの先には生徒会長という立て札の置かれている席に座ったたった一人の男と、その周りに群がる10数人の女が待っていた。
「3人ともよく来てくれたね。俺がSKクラスの生徒会長・神定遼だ。」
俺はこの男のことをよく覚えている。新入生歓迎会の時に自分の子供を孕んだ嫁と一緒に代表挨拶をしていた男だ。そんな人が俺ら3人に何の用があって呼んだのだろうか。
「なんで呼ばれたんだ。って顔をしてるね。まだ何も話してないからある意味正しい反応と言えるか。」
歓迎会のときのチャラい雰囲気とは全く違う、ドラマのラスボスのようなオーラを身にまとっている。
「この学校の生徒会は国からとても重要視されていてね、大きな権限が与えられているんだ。例えばこうやってたくさんの妻を抱えることができたりね。」
神定会長が両手を広げて周りに集まる女達をまとめて指した。その中の数人は腹を大きくしている。恐らくは会長の子供を妊娠しているのだろう。
「まあ、こんな者はただの一部でしかない。他にもここの
OBは政府要職についたり大企業のトップになったりと、とにかく良いことしかないんだ。」
何の自慢を繰り広げているのか分からない。単に俺たちを勧誘したいのであればそう言えばいい。何故俺達なのかも分からないが。
「つまるところ、何をおっしゃいたいのですか?」
普段は静かでおとなしい涼悟が珍しく最初に口を開いた。そのことに一瞬驚いているとすぐに会長からの返答がやってきた。
「つまりはね、君たちに生徒会に入って欲しいんだ。そしてゆくゆくは俺の後継者となってほしい。」
会長は3年生だ。俺らが跡を継ぐとなったとしてもその間には1代間が開く、何故会長は2年生からではなく1年の俺らを呼び出したのだろうか。
「なんで俺達なんですか?」
大事が絡むと一気に自身がなくなる蓮が質問した。すると会長は引き出しから何ページあるのかも分からない資料を取り出してペラペラと中身を見ている。
「君たちの一つ上、つまりは今の2年生の代には俺の跡を継ぐに相応しいチンコを持つものがいなかった。その代わり女子の方は豊作だったがね。」
反応しづらい言葉が挙げられて返事に困る空気が充満する中、会長は気にせず話を続けた。
「しかし今年は驚いたよ。男女ともに素晴らしい後輩が入ってくれた。君たち3人はその中でも特に気に入った。3人それぞれが長所と短所を持ち合わせている上に個性も備えている。」
パチンと会長が指を鳴らすと会長を取り巻く女子の中から数人が俺たちの身体と絡ませるように触れてきた。
「どうだい君たち。俺の後継者となり楽しい学校生活を送らないかい?」
こんな怪しさ濃度100%な話、普通なら即答で断ると思う。俺もいつもならそうだ。だけど会長が話す一言一言や彼の瞳の奥にあるたおやかな黒色が俺の心を掴んで離さなかった。
「お引き受けします。神定会長よろしくお願いします。」
お断りの言葉を考えていたであろう二人の顔が「ハッ!?」と効果音付きで俺の方を向いている。もしかしたらこれをきっかけに二人とは疎遠になってしまうかも知れない。でも俺の何かを深く貫いた衝撃は、俺の意識が持っていたはずの発言券をすっかり奪ってしまった。
「よろしく立花くん。早坂くんと発鷹くんはどうするのかな?」
きっと二人はこの話を蹴るだろう。それが安牌な選択だ。俺は別にそういう選択をする二人のことを蔑んだりするようなことはしない。しないのだが……
「俺も、やります。生徒会。」
会長から聞かれたあと少し考えたあと蓮が答えた。驚いて蓮の方を見てみると右目をウインクして何かを伝えようとしてきた。
残るは涼悟だけとなったがこの状況では彼が選べる選択肢はもはや一つに等しかった。
「じゃあ、俺もお願いします。」
涼悟がボソッと呟いて誘いを受けた。俺が二人を巻き込んでしまったかたちになった事は、本当に申し訳ないと思う。でも、新しいことに俺たち3人で望めると思うと何処かワクワクして楽しくなってきた。
ーーー
神定水琴副会長に渡された書類に記入を済ませ、それを担当の加賀先生に受理してもらったことで立花幸太、早坂蓮、発鷹涼悟の3人は正式に生徒会の一員となった。
「さて、晴れて生徒会のメンバーとなった3人にこの学校の組織について説明しようか。」
職員室から生徒会室に戻ってきたところで会長が話を持ち出してきた。思えばそういった類の話は良く知らないのが実状だった。
「まず生徒会本部。俺、生徒会長をトップに副会長、会計、監査、書記、庶務が所属する。会長と副会長以外は各学年2人ずつ所属する。人事権は会長に一任されているからヤラカシたら首にしちゃうよ?(笑)」
ちなみに俺と蓮が庶務として、ただ一人字が綺麗だった涼悟が書記として任命された。
「それから会議などに参加する生徒会役員。本部のメンバーに委員会の会長たちが対象になってるよ。」
※この学校には放送、文化、学習、図書、設備管理、生活、保険、風紀、セックスと9つの委員会が設けられている。
「あと部活系かな。こっちには予算くらいしか干渉しないけど行事とかには協力してもらう感じ。」
かくして、俺達3人は生徒会に入会する事になったが、この選択が後々の人生を大きく変えることになるのは、まだまだ先の話である。
特にその意味も伝えられないまま俺達は「生徒会室」まで引率されていた。
「神定くん。連れてきたわよ。」
「はーい。どうぞ入ってください。」
ノックして先生が室内に呼びかけると中から男子生徒と思われる声が返事してきた。
先生が開けたドアの先には生徒会長という立て札の置かれている席に座ったたった一人の男と、その周りに群がる10数人の女が待っていた。
「3人ともよく来てくれたね。俺がSKクラスの生徒会長・神定遼だ。」
俺はこの男のことをよく覚えている。新入生歓迎会の時に自分の子供を孕んだ嫁と一緒に代表挨拶をしていた男だ。そんな人が俺ら3人に何の用があって呼んだのだろうか。
「なんで呼ばれたんだ。って顔をしてるね。まだ何も話してないからある意味正しい反応と言えるか。」
歓迎会のときのチャラい雰囲気とは全く違う、ドラマのラスボスのようなオーラを身にまとっている。
「この学校の生徒会は国からとても重要視されていてね、大きな権限が与えられているんだ。例えばこうやってたくさんの妻を抱えることができたりね。」
神定会長が両手を広げて周りに集まる女達をまとめて指した。その中の数人は腹を大きくしている。恐らくは会長の子供を妊娠しているのだろう。
「まあ、こんな者はただの一部でしかない。他にもここの
OBは政府要職についたり大企業のトップになったりと、とにかく良いことしかないんだ。」
何の自慢を繰り広げているのか分からない。単に俺たちを勧誘したいのであればそう言えばいい。何故俺達なのかも分からないが。
「つまるところ、何をおっしゃいたいのですか?」
普段は静かでおとなしい涼悟が珍しく最初に口を開いた。そのことに一瞬驚いているとすぐに会長からの返答がやってきた。
「つまりはね、君たちに生徒会に入って欲しいんだ。そしてゆくゆくは俺の後継者となってほしい。」
会長は3年生だ。俺らが跡を継ぐとなったとしてもその間には1代間が開く、何故会長は2年生からではなく1年の俺らを呼び出したのだろうか。
「なんで俺達なんですか?」
大事が絡むと一気に自身がなくなる蓮が質問した。すると会長は引き出しから何ページあるのかも分からない資料を取り出してペラペラと中身を見ている。
「君たちの一つ上、つまりは今の2年生の代には俺の跡を継ぐに相応しいチンコを持つものがいなかった。その代わり女子の方は豊作だったがね。」
反応しづらい言葉が挙げられて返事に困る空気が充満する中、会長は気にせず話を続けた。
「しかし今年は驚いたよ。男女ともに素晴らしい後輩が入ってくれた。君たち3人はその中でも特に気に入った。3人それぞれが長所と短所を持ち合わせている上に個性も備えている。」
パチンと会長が指を鳴らすと会長を取り巻く女子の中から数人が俺たちの身体と絡ませるように触れてきた。
「どうだい君たち。俺の後継者となり楽しい学校生活を送らないかい?」
こんな怪しさ濃度100%な話、普通なら即答で断ると思う。俺もいつもならそうだ。だけど会長が話す一言一言や彼の瞳の奥にあるたおやかな黒色が俺の心を掴んで離さなかった。
「お引き受けします。神定会長よろしくお願いします。」
お断りの言葉を考えていたであろう二人の顔が「ハッ!?」と効果音付きで俺の方を向いている。もしかしたらこれをきっかけに二人とは疎遠になってしまうかも知れない。でも俺の何かを深く貫いた衝撃は、俺の意識が持っていたはずの発言券をすっかり奪ってしまった。
「よろしく立花くん。早坂くんと発鷹くんはどうするのかな?」
きっと二人はこの話を蹴るだろう。それが安牌な選択だ。俺は別にそういう選択をする二人のことを蔑んだりするようなことはしない。しないのだが……
「俺も、やります。生徒会。」
会長から聞かれたあと少し考えたあと蓮が答えた。驚いて蓮の方を見てみると右目をウインクして何かを伝えようとしてきた。
残るは涼悟だけとなったがこの状況では彼が選べる選択肢はもはや一つに等しかった。
「じゃあ、俺もお願いします。」
涼悟がボソッと呟いて誘いを受けた。俺が二人を巻き込んでしまったかたちになった事は、本当に申し訳ないと思う。でも、新しいことに俺たち3人で望めると思うと何処かワクワクして楽しくなってきた。
ーーー
神定水琴副会長に渡された書類に記入を済ませ、それを担当の加賀先生に受理してもらったことで立花幸太、早坂蓮、発鷹涼悟の3人は正式に生徒会の一員となった。
「さて、晴れて生徒会のメンバーとなった3人にこの学校の組織について説明しようか。」
職員室から生徒会室に戻ってきたところで会長が話を持ち出してきた。思えばそういった類の話は良く知らないのが実状だった。
「まず生徒会本部。俺、生徒会長をトップに副会長、会計、監査、書記、庶務が所属する。会長と副会長以外は各学年2人ずつ所属する。人事権は会長に一任されているからヤラカシたら首にしちゃうよ?(笑)」
ちなみに俺と蓮が庶務として、ただ一人字が綺麗だった涼悟が書記として任命された。
「それから会議などに参加する生徒会役員。本部のメンバーに委員会の会長たちが対象になってるよ。」
※この学校には放送、文化、学習、図書、設備管理、生活、保険、風紀、セックスと9つの委員会が設けられている。
「あと部活系かな。こっちには予算くらいしか干渉しないけど行事とかには協力してもらう感じ。」
かくして、俺達3人は生徒会に入会する事になったが、この選択が後々の人生を大きく変えることになるのは、まだまだ先の話である。
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