6 / 14
第6話 みんなでお買い物➁
しおりを挟む
「ふっふっふーん」
「鼻歌止めてもらえるかしら。気が散るんだけれど」
「別にいいじゃないですか。そのくらい! 酷いです先輩のくせに!!」
「なにその先輩が後輩に譲らないといけないみたいなやつ。少し腹立たしいわね」
「喧嘩しないでくれない!?」
俺は二人と一緒にショッピングモールに向かっていた。
最初は姫野とだけ行く予定だったが、色々あって凛音ちゃんとも行くことになり、こうなった。
さっきから喧嘩ばかりしていて、先が思いやられる……。
それに……。
「なんで、こんなに睨まれるんだ……」
道歩く男全員に睨まれている気がする。
胸にドクッとナイフという名の視線が突き刺さる。
ちょっと怖い。
「仕方ないです、先輩! 美女二人に連れられて歩く男なんて誰だって睨みますよ!」
「そうね、私たち美少女だし。それくらい我慢しなさいな」
「そんな無茶な……」
いつもこの二人と居たらこんな風になるのか。
結構きついぜ。
「そんなことより、澤宮さん。私はあなたのことをまだ認めていないのだけれど。あなたがついてきたらカップル割り引きが使えないでしょう。行く意味がないじゃない」
「残念ながらそこは大丈夫です。ちゃんと店員さんには二人とも恋人ってことで説明しますから」
「説明しても店員には伝わらないと思うのだけれど……」
はぁ……とため息をつく。
「そこは大丈夫ですよきっと! ねー先輩!」
「うお!?」
すると、俺の体に寄りかかってきた。
体重を丸ごと俺に乗せて来て、危うく転ぶところだったが、なんとか耐えた。
隣をみると、姫野が殺気を出しながら凛音ちゃんの方を見ている。
「ちょっと! 何してるのよ!!」
「いいじゃないですか。これから恋人として行くんですからこういう風にするのが一番なんですよ」
「……確かに」
「いやいや、なに納得してんの!?」
「いいや、これは澤宮さんの言う通りよ。これからカップルとして目的地に行くつもりなのよ。こんな風にしておけば……」
すると姫野も。
「簡単に恋人の練習が出来て、楽でしょう?」
「!?」
身を預けるように寄りかかってくる。
凛音ちゃんは子供っぽいような感じだが、姫野は冷徹とは裏腹に優しくて、気持ちのいい寄っかかり方をしてきて、胸がドキッとする。不意打ちだ。
「……一応念のために言っておくけれど、もしもあなたが私の告白をOKしてあなたの恋人になったとしてもいつもはこんなことはしないからね……練習だからなんだからね……」
「……なんの忠告だよ」
俺は姫野にそう言いながら、考えごとをする。
凛音ちゃんはわかりやすいけど、姫野のことだけはいまいちよくわからない。
小さいころ、よく家で遊んでいたことは少しだけだが、覚えている。
だけど、どうして俺なんかが好きなんだろう。
本当に俺のことなんか好きなのだろうか……わからない。
「着きましたよ、先輩!」
そうこうしているうちに目的のショッピングモールに着いた。
大型のモールでたくさんの人でにぎわっていた。
その中には同じ制服を着ている学生もいる。
学校からそう遠くないところにあるため、寄り道としてここに来る人も多いんだろう。
まあ、俺たちもその一人だが。
「おい、いくら恋人のフリとは言え、今やってると色々とまずいんじゃないのか?」
「……そうね、今は一旦止めましょう。店に入ってからまたやりましょう」
「またやるの!?」
「当たり前でしょ。なんのための練習だったのよ。恋人のフリといえど本気でやらないとバレてしまうもの……」
そういうものなのだろうか。
「えー、私はまだ離れたくないんですけど。私はバレても全然影響ないですし」
「あなたになくても彼にはあるのよ。もしあなたの好きな人が彼だとバレてみなさい。全学年の男子からバッシングを受け、なんやかんやあって、きっと次の日、遺体で発見されるわ」
「……なるほど、それはヤバいですね」
そういうと、二人は俺から離れていく。
「納得しないで!? てか、なんやかんやってなに!? 怖い!!」
「ごほん、少し長話し過ぎたわね。早く中に入りましょう。もうそろそろ5月でだんたんと熱くなってきているのだし」
「そうですね、入りましょうか」
俺のツッコミはすらっと流され、そのまま中に入って行った。
「鼻歌止めてもらえるかしら。気が散るんだけれど」
「別にいいじゃないですか。そのくらい! 酷いです先輩のくせに!!」
「なにその先輩が後輩に譲らないといけないみたいなやつ。少し腹立たしいわね」
「喧嘩しないでくれない!?」
俺は二人と一緒にショッピングモールに向かっていた。
最初は姫野とだけ行く予定だったが、色々あって凛音ちゃんとも行くことになり、こうなった。
さっきから喧嘩ばかりしていて、先が思いやられる……。
それに……。
「なんで、こんなに睨まれるんだ……」
道歩く男全員に睨まれている気がする。
胸にドクッとナイフという名の視線が突き刺さる。
ちょっと怖い。
「仕方ないです、先輩! 美女二人に連れられて歩く男なんて誰だって睨みますよ!」
「そうね、私たち美少女だし。それくらい我慢しなさいな」
「そんな無茶な……」
いつもこの二人と居たらこんな風になるのか。
結構きついぜ。
「そんなことより、澤宮さん。私はあなたのことをまだ認めていないのだけれど。あなたがついてきたらカップル割り引きが使えないでしょう。行く意味がないじゃない」
「残念ながらそこは大丈夫です。ちゃんと店員さんには二人とも恋人ってことで説明しますから」
「説明しても店員には伝わらないと思うのだけれど……」
はぁ……とため息をつく。
「そこは大丈夫ですよきっと! ねー先輩!」
「うお!?」
すると、俺の体に寄りかかってきた。
体重を丸ごと俺に乗せて来て、危うく転ぶところだったが、なんとか耐えた。
隣をみると、姫野が殺気を出しながら凛音ちゃんの方を見ている。
「ちょっと! 何してるのよ!!」
「いいじゃないですか。これから恋人として行くんですからこういう風にするのが一番なんですよ」
「……確かに」
「いやいや、なに納得してんの!?」
「いいや、これは澤宮さんの言う通りよ。これからカップルとして目的地に行くつもりなのよ。こんな風にしておけば……」
すると姫野も。
「簡単に恋人の練習が出来て、楽でしょう?」
「!?」
身を預けるように寄りかかってくる。
凛音ちゃんは子供っぽいような感じだが、姫野は冷徹とは裏腹に優しくて、気持ちのいい寄っかかり方をしてきて、胸がドキッとする。不意打ちだ。
「……一応念のために言っておくけれど、もしもあなたが私の告白をOKしてあなたの恋人になったとしてもいつもはこんなことはしないからね……練習だからなんだからね……」
「……なんの忠告だよ」
俺は姫野にそう言いながら、考えごとをする。
凛音ちゃんはわかりやすいけど、姫野のことだけはいまいちよくわからない。
小さいころ、よく家で遊んでいたことは少しだけだが、覚えている。
だけど、どうして俺なんかが好きなんだろう。
本当に俺のことなんか好きなのだろうか……わからない。
「着きましたよ、先輩!」
そうこうしているうちに目的のショッピングモールに着いた。
大型のモールでたくさんの人でにぎわっていた。
その中には同じ制服を着ている学生もいる。
学校からそう遠くないところにあるため、寄り道としてここに来る人も多いんだろう。
まあ、俺たちもその一人だが。
「おい、いくら恋人のフリとは言え、今やってると色々とまずいんじゃないのか?」
「……そうね、今は一旦止めましょう。店に入ってからまたやりましょう」
「またやるの!?」
「当たり前でしょ。なんのための練習だったのよ。恋人のフリといえど本気でやらないとバレてしまうもの……」
そういうものなのだろうか。
「えー、私はまだ離れたくないんですけど。私はバレても全然影響ないですし」
「あなたになくても彼にはあるのよ。もしあなたの好きな人が彼だとバレてみなさい。全学年の男子からバッシングを受け、なんやかんやあって、きっと次の日、遺体で発見されるわ」
「……なるほど、それはヤバいですね」
そういうと、二人は俺から離れていく。
「納得しないで!? てか、なんやかんやってなに!? 怖い!!」
「ごほん、少し長話し過ぎたわね。早く中に入りましょう。もうそろそろ5月でだんたんと熱くなってきているのだし」
「そうですね、入りましょうか」
俺のツッコミはすらっと流され、そのまま中に入って行った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
彼女の浮気現場を目撃した日に学園一の美少女にお持ち帰りされたら修羅場と化しました
マキダ・ノリヤ
恋愛
主人公・旭岡新世は、部活帰りに彼女の椎名莉愛が浮気している現場を目撃してしまう。
莉愛に別れを告げた新世は、その足で数合わせの為に急遽合コンに参加する。
合コン会場には、学園一の美少女と名高い、双葉怜奈がいて──?
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる