上 下
2 / 29
第一章

2 再会と新しい仲間

しおりを挟む




 とりあえず元拠点のある町を出たはいいが、行くあてはない。
 追放を宣告された時に、もうどうにでもなれという気分になり、勢いで走っていたらいつのまにか隣町に到着していた。

 元いたパーティは国とギルドから命じられて所属していたのだから、国やギルドに一度報告したほうがいいだろうか。
 報告するだけなら、どの町でもいいだろう。
 今はとにかく、コーヴス達と顔を合わせたくない。

 冒険者ギルドは大抵、大通りに面した人通りの多い場所にある。
 その法則に従って賑やかな方へ歩いていくと、初見の場所にも関わらずあっさりと冒険者ギルドへたどり着いた。

 報告もすぐに終わった。
 受付で冒険者カードと僕の名前を出すと、受付嬢が慌ててどこかへ走り去り、ギルド長を連れて戻ってきた。
 前いた町のギルド長と違い、おっとりとした雰囲気の高齢の男性だ。

 ギルド同士は通信用の魔道具で常に連絡を取り合っている。
 僕の話は既に共有されていたらしく、僕は少し受け答えした後、魔物六匹討伐の報酬を渡された。

「次のパーティについては暫く待ってくれるかね。この建物の隣りにある宿に部屋を用意してあるから、そこで休んでおきなさい」
「パーティ、どうしても入らないと駄目ですか」
 コーヴスたちのパーティは、イエナが来るまではそこそこ居心地が良かった。
 しかし、イエナ一人のせいでコーヴスは洗脳にも似た状態にされ、他の仲間もそれに追従した。

 これは、コーヴスのパーティが初めてのことじゃない。
 前にいたパーティも、聖女が僕の力を疎んで、あまり良い気分で過ごせなかったのだ。

 僕が魔物を消すためには、直接止めを刺さなければならない。
 全ての魔物に止めを刺すのは現実的ではないから、聖女の力だって必要なのに。

 パーティというより、聖女と相性が悪い。
 どうしてもパーティに入れさせられるなら、聖女のいないところがいい。
 もしくはひとりがいい。

「申し訳ありませんが、ディール・エクステミナは冒険者をやることと、一人で魔物の前に放り出さないこと。この二つを上から厳命されているのですよ」
 上っていうのは、国だ。国王と言い換えることもできる。
 僕はこの瞳のせいで、冒険者であることを強いられ、様々な制限をつけられているのだ。

「あら、ディール君?」

 がっかりしていると、後ろから聞き覚えのある声に呼ばれた。
 振り返るとそこには、知った顔がいた。

「アニスさん」

 イエナの前任の聖女だ。
 ゆったりとしたワンピースの上からエプロンを着けて、手には大きな紙袋を持っている。
 格好だけなら、どこからどう見ても元冒険者や聖女には見えない。
「どうしてここに?」
 冒険者でも聖女でもないなら、冒険者ギルドに用事など無いはずだ。
 しかしアニスさんは、ここにいるのが当然のような雰囲気をまとっている。
 アニスさんは穏やかな笑みを浮かべて、答えをくれた。
「ここの裏方として働いているのよ。ディール君こそこんなところでどうしたの? ひとり?」
「えっと……」
「君たち知り合いかね。なら丁度いい。アニス、彼はこれから暫くギルド待機なんだ。面倒を見てくれないかい」
「わかりました。後で詳しく聞かせてね」
「はい」


 アニスさんの案内で、冒険者ギルドの隣の宿泊施設の一室へやってきた。
 最低限の家具とベットだけが置いてある簡素な部屋だ。
「ちょっとまっててね。あ、ディール君ご飯食べた?」
 パーティに居たときから、アニスさんは仲間の面倒をよく見てくれていた。
 未婚の女性にこんな事を言うと失礼かもしれないが、お母さん気質な人だ。
 ご飯、と聞いて僕の腹が正直に応えた。そういえば昼食を摂っていない。
「あらあら。ついでに何か持ってくるわ」
「すみません」
「気にしないで。私はディール君のお世話を任されたんだから」
 アニスさんは屈託のない笑みを浮かべた。
 癒やされる笑みだ。


 程なくして戻ってきたアニスさんは、手に二人分の料理の乗ったトレイを持っていた。
「ひとまずこれで。夕食まで保つかしら」
「十分です、ありがとうございます」
 部屋にあるテーブルに一緒について、向かい合って食事をしながら、僕の事情をかいつまんで話した。
 アニスさんは話を一通り聞き終わると、上品な仕草で口元を拭った。

「大変だったわね。ディール君のスキル、とても便利なのに……」
 聖女の大半はイエナのような性格で、便利だと肯定的に捉えてくれる聖女は、アニスさんくらいだ。
 ただ、アニスさんは人格者で聖女としての力も申し分ないが、冒険者としては決定的に向いていなかった。
 性格が優しすぎて、魔物ですら倒すのを躊躇してしまうのだ。
「私が冒険者に復帰して……ううん、やっぱり、ごめんなさい」
 冒険者時代のことを思い出したのだろう。アニスさんは手で胸を押さえて眉をひそめた。
「アニスさんが謝ることないですよ。ていうか、誰も悪くないです」
 イエナとコーヴスに思うところはあるが、彼女らとて自分の収入や矜持が掛かっているのだ。一方的に責める気はない。
「悪いのは誰かってあえて言うなら、変なスキルを持ってる僕……」
「そんなわけないじゃない。変じゃないわ、素敵なスキルよ」
「ありがとうございます」
 アニスさんの言葉がお世辞じゃないことは解っているが、素直に受け取りきれなかった。


 ギルドの宿泊施設での滞在中、僕は至れり尽くせりの待遇を受けた。
 食事は毎食アニスさんが用意してくれて、特に理由がなければ一緒に食べる。
 部屋の掃除や着ているものの洗濯も、ギルドの職員さんがやってくれる。自分でやると言っても「ついでですから」と聞き入れてもらえなかった。

 やれることと言えば、魔物と戦うための腕が鈍らないよう、毎日訓練するくらいだ。
 幸い、ギルドには訓練用の施設や設備が豊富で、練習相手にも困らない。
 部屋にいても暇でしかないから、一日の大半を訓練施設で過ごした。

 ところで、僕は冒険者歴六年になる。自分で言うのも何だが、冒険者の中では中堅に片足踏み入れたというあたりだ。
 冒険者は日々の訓練や魔物との実戦で己を鍛え、強くなる。
 自身の力は目に見えないため、相対的な強さを量るには、対人戦が最も効率的だ。

 ギルド滞在十日目に、このあたりの冒険者で一番強いという人と手合わせする機会を得た。
 この十日で色んな人と手合わせをしてきたが、僕は無敗だった。
 その話を聞きつけた一番強い人が、是非にと自ら僕に会いに来てくれたのだ。

 結果から言うと、その人にも圧勝した。

「強いな。真剣だったら俺自身が真っ二つにされていただろうよ」
 練習用の木剣は僕には軽すぎて、細い木の枝を振り回している感触なのだが、それで相手の木剣を叩くと最悪剣が折れる。
 今回は、相手が上段に構えた剣を上から軽く叩いただけなのに、相手が剣を取り落としてしまったのだ。
「大丈夫ですか」
「手が痺れたが、それだけだ。手合わせありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました」
 正直言って歯ごたえがなかった。
 皆、僕の話を聞いて遠慮しているのだろう。
 かといって「本気でやってください」なんて傲慢なことは言いづらい。

 強いと言われていた人は両手をふるふると振りながら、ギルドの建物の中へと消えていった。

 練習にはならなかったが、この件が切掛で、僕は少々の自由を手に入れることができたのだから、何がどう作用するかわからないものだ。


 ギルド滞在十五日目の朝、ようやくギルド長に呼ばれた。
 てっきりパーティが決まったのかと思いきや……。

「君の実力はよくわかった。条件付きで、パーティ未所属を認めることになったよ」
 寝耳に水だった。
「僕の実力って何のことですか」
「先日、レンファと手合わせしただろう。彼が『ディール・エクステミナならば余程のことが無い限りどんな魔物にも遅れを取らないだろう』と証言してね」
 先日の人はレンファという名前だったらしい。
「レンファさんがそう言っただけで?」
「おや、レンファのことを知らなかったのかね。彼はグーラドラゴンを倒した英雄だよ」
「えっ!?」

 ドラゴンと呼ばれる、でっかいトカゲに角と翼が生えた魔物がいる。
 小さいものは町からそう離れていない場所にも出没するし、普通の冒険者でも退治できるが、特に凶悪な七体のドラゴンが存在していて、倒せば英雄と呼ばれる。
 何年か前にグーラドラゴンを討伐した冒険者がいたことは知っていたけど、まさかこんな近くにいたなんて。

「レンファのお墨付きなら問題ないだろうということでね。ただし、先程言った通り条件もある」
「何でしょう」
 パーティに所属しなくて済むなら……聖女と組まなくてもいいなら、条件なんて大したことない。

 そう思っていた時が僕にもありました。



 その日の午後に、ギルドの小部屋に呼び出された僕は、青みがかった銀髪とほぼ同じ色の瞳をした、小柄な女性と対面した。
「はっ、は、はじめ、ましてっ! フェリチ・パルヴァです、よ、よろしくおねがいしまっす!」
 引き合わされたのは……聖女だ。
「ディール・エクステミナです。宜しく」
 条件というのは、魔物討伐の仕事をするときは、彼女と行動を共にすること。
 確かに二人ならばパーティではなく、ペアという呼び方もする。
 結局聖女と行動するのかと内心がっかりしたが、彼女は他の聖女と事情が違っていた。

 聖女なのに魔滅魔法が使えないのだ。

 聖女は魔力を多く持つ女性の総称であり、ほぼイコールで魔滅魔法を使うことができる。
 魔法には攻撃、治癒、補助などの種類があり、魔力と素質次第で魔法が使える。

 フェリチの場合、魔力量は多く、特に治癒魔法は得意なのに、どう頑張っても魔滅魔法だけ使えないのだそうだ。

 割れ鍋に綴じ蓋という言葉が頭を過ぎった。

「こ、これ、私直通の通信機です。お、お仕事の際は呼びっ出してください。い、いつでも大丈夫です!」
 連れてこられたときからこの調子だ。
 ずっとなにかに怯えているかのように、おどおどして、話す言葉は噛み噛み。
「まだ初対面だから仕方ないかも知れないけど、僕たちはパーティなんだから、そう緊張されまくるのも困る」
「すっ、すみません、だ、男性とお、お話するき、機会があまり……」
「教会には男性も居たでしょう」
 聖女に魔法を教えるのは同じ聖女や女性ばかりではない。魔力を持ち魔法を使い教える人間の絶対数が少ないから、男性がその任に当たることだってある。
「い、いました、が、わ、私、魔滅魔法つかえないって、なって、その……ほ、他の人と、お話、でき、できなくて……」
 心が張り裂けそうな話を引き出させてしまった。
「それは……悪かった。でもできれば、少しずつでいいから、慣れて欲しい」
「いえっ! ディール様は悪くありませんっ!」
 フェリチが小さな顔を上げて、初めて噛まずに言葉を発した。
 澄んだ色の瞳には涙が溜まっている。
 泣く要素はどこにあったのだろう。
「わかった、ちょっと落ち着いて話そうか。前に僕とパーティを組んでた元聖女を呼んでくるよ」
 女性のことは女性に訊くのが一番だ。
 僕はフェリチをその場に残して、急いでアニスさんを探した。

 アニスさんはすぐに見つかり、宿泊施設の部屋でフェリチと引き合わせた。

「はじめまして、元聖女のアニスです」
「ふぇ、フェリチ・パルヴァですっ」

 アニスさんとフェリチが話すこと約半刻、フェリチはあまり噛まなくなった。
 会話の内容は、アニスが僕と同じパーティに居た頃のことや、聖女を辞めてからの生活のこと……つまりは世間話だ。
 特殊な話術でもなさそうなのに、フェリチから緊張感がみるみる消えていくのを目の当たりにした。
 さすがアニスさんだ。

「だから、ディール君は怖くな……もう、どうして怖い顔してるの」
「えっ?」
 アニスさんが僕とフェリチの関係を取り持とうと、僕のことを良い感じに伝えてくれていたのだが、僕を見たアニスさんにそう指摘されてしまった。
 とはいえ、僕は怖い顔をしている覚えはないのだが。
「眉間に皺。口もオークみたいに曲がってるわ」
 顔に手をやると、言われた通りの状態になっていた。

 アニスさん以外の聖女にあまり良い印象がない。
 フェリチは、魔滅魔法が使えないとはいえ、聖女は聖女だ。
 聖女だって矜持を傷つけるスキルを持つ僕に良い感情を持つはずがない。
 そんな人間と組むのかと懊悩していたのが、顔に出ていたのだろうか。

 僕が考え込むと、アニスさんが立ち上がって僕の方に腕を回し、フェリチが居ない方へ身体の向きを変えられた。

「聖女に良い印象が無いって気持ちはわかるけれど、フェリチはいい意味で聖女らしくないコよ。大丈夫」

 小声でそれだけ言われて、アニスさんは再びフェリチの正面の椅子に座り、世間話を再開した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

パーティを追放され幼馴染の初恋相手にも裏切られたので、助けた聖女と組むことにしたが後悔はない

巴雪夜
ファンタジー
 クラウスは「パーティの邪魔だから」という理由でBランク冒険者のパーティから追放された。リーダーはクラウスの幼馴染とできており、彼が邪魔だったのだ。幼馴染も嘘をつきクラウスを外すことに同意する。そんな理由でと思いながらもクラウスはそれを受け入れて、パーティを離脱した。初恋相手であった幼馴染だが、そんな気持ちも裏切られては薄れてしまう。  一人、放浪しながらギルドで依頼をこなしていた彼は一人の少女と出会う。ブリュンヒルトと名乗った彼女は聖女であった。山賊紛いな輩から助けると、彼女は「お願いがあります」と言って護衛を頼んできた。護衛の依頼だけならばとクラウスは引き受ける。  そんな依頼から二人の物語は始まった。  クラウスがブリュンヒルトや仲間たちと過ごしながら自分の気持ちに向き合っていくお話になります。ハッピーエンド爆走しますのでご安心ください。  また、ご都合主義やモンスターにオリジナル設定・オリジナルモンスター等が含まれます。苦手な方はご注意ください。 この作品はカクヨム とpixivにも投稿しております。 ※感想欄には誹謗中傷・批判・強い言葉遣い・アドバイス等は申し訳ありませんが、おやめくださいますようよろしくお願いします。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

処理中です...