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冒険に出掛けるまでのお話

僕の家族は過保護

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「ネムッ!!」


兄様はそう叫んでぼくに走り寄って来て、濡れることも気にせず僕を抱きしめる。


「に、兄様あのね…!」

「いい!何も言わなくていい!分かってるから…。」

「…ふぇ?」

「…辛かっただろう。寂しかっただろう。…もう大丈夫だ、ここなら私が守ってあげられる。」


よしよし、と頭を撫でられる。


「に、兄様…?」

「あぁ、そうか身体を拭かないとね、風邪を引いてしまう。」


兄様はタオルを持ってきて、僕の体を拭いてくれる。


「な、何も聞かないの…?」

「うん、何も聞かないよ。」


…なんで、何も聞かないんだろう?

一週間も行方くらましてたら不審に思うよね…?


「…ほら、服も着なきゃね。」


兄様はいつものように僕に下着やズボンを履かせ、シャツを着せる。


「じゃ、父上にも伝えてくるからいい子で待っててね。」


ちゅっ…

兄様は僕の唇に触れるだけのキスをすると部屋を出ていった。


父様か…。

僕、肉体が違うとはいえ、父様とキス、しちゃってるんだよなぁ…しかも無理矢理…。




「…入るぞ。」


部屋に入ってきた父様を見上げると、いつもより顔色が悪いように見える。

よろよろと近づいてきて、僕をそっと抱きしめてきた。

父様に抱きしめられると、いつも兄様が無理矢理ベリッと引き剥がしていたが、今日はそんなことはないみたいで、兄様も後ろで見守っている。


「…ネム、すまなかった。怖かっただろう。」

「な、なんで父様が謝るの。」

「お前が居なくなったことに心当たりがあったからだ。」

「心当たり…?」

「あぁ。…ネムも知っているだろうが、私は前に勇者をやっていてね。…そのときに魔王との戦いで呪いをかけられてしまったんだ。」

「の、呪い…。」


あ、それ僕が父様にかけたやつ…。


「ああ、呪いだ。私自身に現れることがなかったから油断していたが、まさか、子供に引き継がれるとは思わなかった。」

「引き継がれるって…。」


まさか、僕が魔王ってバレた…?

僕は思わず目を泳がせる。


「…呪いのせいでネムが不審な輩に好かれやすくなっているんだろう。」


ん?


「今回もだから誘拐されて一週間も…っ…怪我はしてないな…。」


んん?



「…良く無事で帰ってきてくれた。」


そう父様が言うと、兄様と父様に抱きしめられる。


…あれ、バレてない…?


「父様のせいじゃないよ…?それに何もされてないし。」


いや、僕が魔王だからベルナードが迎えに来ただけだし…。


「される前だったか、良かった…っ、しかし、お前はほんとに優しい子に育ったな…。」

「ネム、いい子だね。」


な、なんだか勘違いされてるけど都合がいいからもうこのままでいいか…。

そのまま可愛がられて一日を過ごした。

兄様はいつもだけど、父様がこんなに僕に甘いのってないから、すごい気恥ずかしかったな…。

夜になって今は兄様と二人きりだ。


「今日はそばで、私が一緒に寝るから怖いことは何もないからね。」

「…う、うん。」


ベットに寝ている兄様の横に入ると優しく抱きしめられ、ちゅっと唇にキスをされる。

ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…


「…んっ…んっ…んぁ…んむぅぅ…!」


何度もキスをされて息が苦しくなり口を開けるとそこから兄様の舌が入ってくる。

口の中をなめまわすように兄様の舌が動き、僕の舌を捕らえて離さない。


「…っ…んぅ…んん…っ…んっ…んんっ…」


流れてくる兄様の唾液をゴクリと飲み込む。


「…よくできました。」


よしよしと頭を撫でられ、その心地よさに兄様の手に擦り寄る。

安心感か、そのままうとうとしてくる。


「おやすみ、ネム…。」


優しい兄様の声で目を閉じた。



次の日の朝、兄様が朝から起こしてくれる。


「ネム、おはよう?」

「…おはよぉ…」


朝が弱い僕は兄様に連れられるまま、服を着替え顔を洗い髪をセットする。


そのまま兄様に連れられ、兄様がベットに座るとその膝の上に座らせられる。

お、重くないかな…、兄様と僕はそんなに身長変わらないし、体格だって変わらないのに。


「…魔王討伐に行くんだって?…ユースのやつから聞いたよ。」


兄さんは後ろから僕を抱きしめると耳元で囁いてくる。


「うん。…僕も行くよ。」

「そっか…。」

「兄様に負けないように強くなって帰ってくるからね!」

「はは、私にネムが勝つ日なんて来るかなぁ…?」


魔王の力開放すれば兄様ぐらいほんとは倒せるんだからね!

むすーっと僕がむくれると兄様が笑いながら頬をつついてくる。


「ははは、ごめんね、機嫌損ねちゃったかな…?」

「…ふんっ!」


僕が兄様から顔をそらし、反対側を向くと、兄様が項にちゅっとキスをする。


「可愛い僕のネムはどうしたら許してくれるのかなぁ…。」

「…ケーキ。」

「あははっ!ケーキね、OK持ってくるよ。」


兄様が持ってきてくれたケーキを食べる。


「はい、あーん。」


もぐもぐと兄様がフォークでくれるケーキを食べる。


「あ、ここついてるよ。」


ペロッと口元を舐められる。

そのまま唇を舐められ、兄様がしたいことが分かり、薄く口をあけ、兄様の舌を受け入れる。


「…んんんっ……んん…ぅんっ……ぷはっ…!」

「…んっ…すごい甘いね。」


最後にちゅっと唇にキスをする。

兄様は食べ終わった食器をメイドを呼び、片付けさせると僕をまた抱きしめる。


「はぁ、心配だなぁ…。」

「冒険のこと?…そんなに僕弱いかなぁ…。」

「ネムが弱いってわけじゃないんだ、ネムは美人さんだからね、しかも仕草が可愛いから魔物にも襲われるんじゃないかなって…。」

「ま、魔物が襲うのは普通じゃない?」

「多分、ネムが言ってる襲うは私のと違うかな…。魔物にも人間を性的に襲うやつがいるんだ、例えばスライムは体液が媚薬で出来てて体液を飲ませて発情させて犯したり。」


び、媚薬…。


「オーガなんかは、無理矢理犯して自分の子供を孕ませたりするらしいよ。」

「孕むのって女の人だけじゃ…。」


僕、男だし…。


「そうだね、でもオーガは見た目で判断するだろうから、こんなにエロ可愛い子を見たら手を出しちゃうんじゃないかなぁ…。」


そ、そんな…。


「心配だなぁ…。」

「ゆ、ユースがいるし!」

「あぁ、そこは不本意だけどユースのやつに頼むしかないだろうね。」


ユースがいるから大丈夫…。

大丈夫…だよね…?


僕はこの先の冒険に少しだけ不安になりながらも、兄様と甘々な日常を過ごした。
















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