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74話:京本誠一郎
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「おい、真斗。さっきの件詳しく話せ。」
蛍が犬っころと若松の相手をしている間に、真斗の首根っこを掴み距離をとってからゲーム前に聞いた情報について問う。
真斗を引っ張り、大人しく後ろからついてきている塁斗にも視線を移す。
降参だと両手を挙げ、真斗が白状する。
「風紀委員長の写真が学園内の取引に使われてるってこと?本当だって。てかひろひろがいじめられてた時もだよ。」
「そー、俺らの親衛隊が比呂をいじめた見返りとして風紀委員長の写真売ってたの。まあ蜂須賀にソッコーばれて絞められてたけど、元データも蜂須賀が回収したらしい。でも復元したやつがいるらしくてまた広まってるよ。」
何で俺に情報がきてないんだ!
あの犬っころが出来て俺に出来ない筈がないだろ!
くっそどこのどいつだ蛍の写真とか羨ま…じゃない、元データを破壊して、回収しないと。
真斗のシャツを掴んだままだったのを忘れて考えていた俺に、そろそろ離してくれと懇願され手を離す。
「はぁ…大体会長の写真もばら撒かれてるよ。親衛隊の奴らとか。」
まあ、俺は頼まれれば写真くらい応えている。
だが、蛍は自分から写る奴じゃないから殆どが隠し撮りか集合写真とかだろう。
息を整えている真斗の背中を摩る塁斗。
この2人がゲーム前に挑発してきた内容は、蛍の写真がばら撒かれてること、あんな写真やこんな写真が出回って、きっと健全な男子高校生の欲求を満たしているだろうと言われた。
煽るための話だと分かってはいたが、胸糞は悪いな。
学園内で出回るということは、夏期休暇の今出来ることはない。
「ちょっと本気の会長見たかっただけじゃん、蜂須賀に対しては仕返しだから。」
「ほんとあいつ心狭いよね、風紀委員長の全部を管理したいわけ?俺らと話してただけで問い詰めてくるんだから、もー気分最悪だった。」
「俺なんて殺気感じた。」
「マ?てかさ今だって比呂に牽制してるよね、あれ。」
口々に話し始める2人に頭を抱える。
だが、写真の件はどうにかしないといけない問題だ。
何も出来ない状況だと諦めてはいけない。今出来ることをしなくては…西條に頼もう。
あいつなら、パソコンから情報を探れるだろう。メールで頼んでおくか。
「誠一郎!バーベキューするってまじ?腹減ったからさ、用意しようぜ!」
離れたところから大声で呼んできた若松の方を向くと、その後ろで困ったように笑う蛍が見える。
あいつが心を許しているのは、犬っころにだろう。
気づいている。認めたくないだけだ。
俺のスキンシップをやんわりと拒否するが、あいつのハグは振り解かない。
胸が痛む。俺が先に好きだった。1年遅れのあいつに、横から掻っ攫われるのを見ているだけなんてしたくない。
だが……今後、友人として側にいることは許してほしい。
この気持ちに蹴りをつけるためにも…
今日もう一度、蛍に告白をしよう。
蛍が犬っころと若松の相手をしている間に、真斗の首根っこを掴み距離をとってからゲーム前に聞いた情報について問う。
真斗を引っ張り、大人しく後ろからついてきている塁斗にも視線を移す。
降参だと両手を挙げ、真斗が白状する。
「風紀委員長の写真が学園内の取引に使われてるってこと?本当だって。てかひろひろがいじめられてた時もだよ。」
「そー、俺らの親衛隊が比呂をいじめた見返りとして風紀委員長の写真売ってたの。まあ蜂須賀にソッコーばれて絞められてたけど、元データも蜂須賀が回収したらしい。でも復元したやつがいるらしくてまた広まってるよ。」
何で俺に情報がきてないんだ!
あの犬っころが出来て俺に出来ない筈がないだろ!
くっそどこのどいつだ蛍の写真とか羨ま…じゃない、元データを破壊して、回収しないと。
真斗のシャツを掴んだままだったのを忘れて考えていた俺に、そろそろ離してくれと懇願され手を離す。
「はぁ…大体会長の写真もばら撒かれてるよ。親衛隊の奴らとか。」
まあ、俺は頼まれれば写真くらい応えている。
だが、蛍は自分から写る奴じゃないから殆どが隠し撮りか集合写真とかだろう。
息を整えている真斗の背中を摩る塁斗。
この2人がゲーム前に挑発してきた内容は、蛍の写真がばら撒かれてること、あんな写真やこんな写真が出回って、きっと健全な男子高校生の欲求を満たしているだろうと言われた。
煽るための話だと分かってはいたが、胸糞は悪いな。
学園内で出回るということは、夏期休暇の今出来ることはない。
「ちょっと本気の会長見たかっただけじゃん、蜂須賀に対しては仕返しだから。」
「ほんとあいつ心狭いよね、風紀委員長の全部を管理したいわけ?俺らと話してただけで問い詰めてくるんだから、もー気分最悪だった。」
「俺なんて殺気感じた。」
「マ?てかさ今だって比呂に牽制してるよね、あれ。」
口々に話し始める2人に頭を抱える。
だが、写真の件はどうにかしないといけない問題だ。
何も出来ない状況だと諦めてはいけない。今出来ることをしなくては…西條に頼もう。
あいつなら、パソコンから情報を探れるだろう。メールで頼んでおくか。
「誠一郎!バーベキューするってまじ?腹減ったからさ、用意しようぜ!」
離れたところから大声で呼んできた若松の方を向くと、その後ろで困ったように笑う蛍が見える。
あいつが心を許しているのは、犬っころにだろう。
気づいている。認めたくないだけだ。
俺のスキンシップをやんわりと拒否するが、あいつのハグは振り解かない。
胸が痛む。俺が先に好きだった。1年遅れのあいつに、横から掻っ攫われるのを見ているだけなんてしたくない。
だが……今後、友人として側にいることは許してほしい。
この気持ちに蹴りをつけるためにも…
今日もう一度、蛍に告白をしよう。
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