28 / 93
24話
しおりを挟む
____月曜日
休日に決めたことを京本と蜂須賀に宣言しようと意気込んでいたら、青山に呼び出された。
放課後、教室に残っていてくれと。
放課後になって、俺の席に青山がやってくる。
「悪い。ちょっと人呼んでくるから、このまま待っててくれ。」
「ああ、分かった。」
呼び出した理由は、もう1人に関係があるのだろう。青山とのことで思いつくのはたった1人。
放課後になると、クラスメイトはさっさと寮に戻るか、委員会に顔を出すかで、教室は無人になる。
さっきも、わざわざ名前を出さなかったのは、人のいない所で話したかったのだろう。
ぽつんと静かな教室で、席に座ったまま待っていると、予想通りの人物を連れて青山が戻ってきた。
「お待たせ。」
ご機嫌な青山が肩を抱いて、俺の前に連れてきたのはやはり古田だった。
「やあ古田、俺に用か?」
特に思いつかなくて困惑している俺と目を合わせる古田だが、口火を切るのが難しいのか口元をもごもごと動かしている。
「ほら、信彦。謝りにきたんだろ。しっかりしろ。」
「う、うん……」
謝る?謝られるようなことした覚えがないのだが……
思考を巡らす俺を他所に、覚悟を決めたのか古田が第一声、謝罪を述べてきた。
「仲神先輩、この1年間本当にすみませんでした。」
「1年間?俺に何かしてたのか?」
全く身に覚えがない。
「私は1年間、貴方に嫉妬していました。大好きな青山先輩を、尊敬する会長を取られたと感じていたからです。」
「ほお、嫉妬ね……実害があった覚えはないが?」
古田とは、会えば少し睨まれたり、嫌味を言われたくらいだ。その行動を俺は次期生徒会長になるための訓練だと気に求めていなかったのだが。
あれらは全て嫉妬から来ていたものか…可愛い所もあるじゃないか。
「今年に入ってから、生徒会の仕事が風紀に伝わり難くなっていたのは私の仕業です。そうすれば風紀の誰かが確認に来るので……青山先輩が来てくれれば、という淡い期待がありました。」
あぁ、親睦会の連絡も遅かったのはそういうことか……仕事してないとか疑ってすまん。
「そして、若松比呂が転入して来てからは…醜態を晒してしまい、本当にすみませんでした。」
深々と頭を下げる古田。その隣の青山はまるで保護者だ。
「謝罪は受け入れた。今後はこのようなことがないように、よろしく頼む。」
「あ、ありがとうございます。」
「仲神、俺ら付き合うことになったから。」
ずっと黙って見守っていた青山からの爆弾発言。
まあそうだろうな、としか言えない。
盛大に告白し合って、恋人じゃない方が不思議だ。
「そうか、おめでとう。もう痴話喧嘩に巻き込まないでくれよ。惚気も沢山だ。」
大袈裟に、やれやれとアピールすれば、古田が顔を真っ赤にして、青山の胸元をぽかぽか叩いていた。甘んじて受けている青山の顔は幸せそうだ。
「ついでだ、若松くんのこと確認したいんだが。一から話してくれるか?」
古田は青山に嫉妬してもらうために若松くんを追いかけていた、ということは熱を上げていたわけでなくフリだということ。
冷静に物事を捉えられていただろう。
まぁ、嫉妬で冷静じゃなかった時もあったとは思うが。
この機会に、若松くんの対処法が明確になるかもしれない。
問いかけた古田はちらっと青山を窺うと、青山が頷いたため、俺のほうに向き合った。
「分かりました。……では、どうして私があのような醜態を晒したのかを話させていただきます___」
休日に決めたことを京本と蜂須賀に宣言しようと意気込んでいたら、青山に呼び出された。
放課後、教室に残っていてくれと。
放課後になって、俺の席に青山がやってくる。
「悪い。ちょっと人呼んでくるから、このまま待っててくれ。」
「ああ、分かった。」
呼び出した理由は、もう1人に関係があるのだろう。青山とのことで思いつくのはたった1人。
放課後になると、クラスメイトはさっさと寮に戻るか、委員会に顔を出すかで、教室は無人になる。
さっきも、わざわざ名前を出さなかったのは、人のいない所で話したかったのだろう。
ぽつんと静かな教室で、席に座ったまま待っていると、予想通りの人物を連れて青山が戻ってきた。
「お待たせ。」
ご機嫌な青山が肩を抱いて、俺の前に連れてきたのはやはり古田だった。
「やあ古田、俺に用か?」
特に思いつかなくて困惑している俺と目を合わせる古田だが、口火を切るのが難しいのか口元をもごもごと動かしている。
「ほら、信彦。謝りにきたんだろ。しっかりしろ。」
「う、うん……」
謝る?謝られるようなことした覚えがないのだが……
思考を巡らす俺を他所に、覚悟を決めたのか古田が第一声、謝罪を述べてきた。
「仲神先輩、この1年間本当にすみませんでした。」
「1年間?俺に何かしてたのか?」
全く身に覚えがない。
「私は1年間、貴方に嫉妬していました。大好きな青山先輩を、尊敬する会長を取られたと感じていたからです。」
「ほお、嫉妬ね……実害があった覚えはないが?」
古田とは、会えば少し睨まれたり、嫌味を言われたくらいだ。その行動を俺は次期生徒会長になるための訓練だと気に求めていなかったのだが。
あれらは全て嫉妬から来ていたものか…可愛い所もあるじゃないか。
「今年に入ってから、生徒会の仕事が風紀に伝わり難くなっていたのは私の仕業です。そうすれば風紀の誰かが確認に来るので……青山先輩が来てくれれば、という淡い期待がありました。」
あぁ、親睦会の連絡も遅かったのはそういうことか……仕事してないとか疑ってすまん。
「そして、若松比呂が転入して来てからは…醜態を晒してしまい、本当にすみませんでした。」
深々と頭を下げる古田。その隣の青山はまるで保護者だ。
「謝罪は受け入れた。今後はこのようなことがないように、よろしく頼む。」
「あ、ありがとうございます。」
「仲神、俺ら付き合うことになったから。」
ずっと黙って見守っていた青山からの爆弾発言。
まあそうだろうな、としか言えない。
盛大に告白し合って、恋人じゃない方が不思議だ。
「そうか、おめでとう。もう痴話喧嘩に巻き込まないでくれよ。惚気も沢山だ。」
大袈裟に、やれやれとアピールすれば、古田が顔を真っ赤にして、青山の胸元をぽかぽか叩いていた。甘んじて受けている青山の顔は幸せそうだ。
「ついでだ、若松くんのこと確認したいんだが。一から話してくれるか?」
古田は青山に嫉妬してもらうために若松くんを追いかけていた、ということは熱を上げていたわけでなくフリだということ。
冷静に物事を捉えられていただろう。
まぁ、嫉妬で冷静じゃなかった時もあったとは思うが。
この機会に、若松くんの対処法が明確になるかもしれない。
問いかけた古田はちらっと青山を窺うと、青山が頷いたため、俺のほうに向き合った。
「分かりました。……では、どうして私があのような醜態を晒したのかを話させていただきます___」
20
お気に入りに追加
1,066
あなたにおすすめの小説
ずっと夢を
菜坂
BL
母に兄との関係を伝えようとした次の日兄が亡くなってしまった。
そんな失意の中兄の部屋を整理しているとある小説を見つける。
その小説を手に取り、少しだけ読んでみたが最後まで読む気にはならずそのまま本を閉じた。
その次の日、学校へ行く途中事故に遭い意識を失った。
という前世をふと思い出した。
あれ?もしかしてここあの小説の中じゃね?
でもそんなことより転校生が気に入らない。俺にだけ当たりが強すぎない?!
確かに俺はヤリ◯ンって言われてるけどそれ、ただの噂だからね⁉︎
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
王道くんと、俺。
葉津緒
BL
偽チャラ男な腐男子の、王道観察物語。
天然タラシな美形腐男子くん(偽チャラ男)が、攻めのふりをしながら『王道転入生総受け生BL』を楽しく観察。
※あくまでも本人の願望です。
現実では無自覚に周囲を翻弄中♪
BLコメディ
王道/脇役/美形/腐男子/偽チャラ男
start→2010
修正→2018
更新再開→2023
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる