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番外編 深遠な王太子 メイヴィス & 周囲の人々
二人の名前の秘密
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騎士団のジョンとチャーリーは普段は名乗らないが長い名前を持っている。
ホーリィ・ダン・ジョン=スカルティ
アド・ベン・チャーリー=ベアード
長いけど二人にとっては大切な名前だ。
ジョンとチャーリーは幼い頃、ある孤児院で出会った、その頃の二人にはジョンとチャーリーしか名前が無かった。
記憶にすら残っていない家族、おそらく両親がつけた名前だろうか、身元が分かるものは無かったが、数少ない持ち物にその名前が書かれていた。
その孤児院はいつも経営難で大人は殆どおらず、目が行き届かない対策として、子供同士で助け合う方法を取っていた。
相性の良さ、兄弟姉妹、仲の良さ等で二人組を作り、バディとしてお互いの面倒を見させるのだ、そして年長のバディが年小のバディの面倒も見る。
バディを組んだ時に院長から、短くて呼びやすいバディネームをつけられる、それがダンとベンだ。
先日救出されたリオとレオもバディネームだ、バディだと分かり易くする為か、何故かバディの二人には似た名前をつけられる。
ホリーとマリー、カイとライ、孤児院では皆んなバディネームで呼んでいたので、本名の方があやふやだ。孤児院にいた仲間は皆んな、今でもバディネームで呼び合っている。
この頃の二人には、ダン・ジョンとベン・チャーリーと名前が一つ増えていた。
そしてあの誘拐事件が起こる。
助け出された二人はメイヴィスに忠誠を誓い、彼にお願いして主従関係だけで使う名前をつけて貰った。
ジョンは子供の頃から手の平に十字の痣があり、それを見たメイヴィスが、ホーリィと名付けた。
チャーリーは、オレンジに金色が斑らに入る髪色をしており、それがアドラ地方に多い事から、アドと名付けられた。
これで二人の名前がまた増えた。
ホーリィ・ダン・ジョン、とアド・ベン・チャーリーになった。
そして攻撃魔法が使える彼等は騎士団預かりとなり、訓練・研修を終えて正式に騎士団員として採用された時に、ファミリーネームを作った。
それが、ベアードとスカルティだ。
◆◇◆◇◆◇
「だからスカルティって、何だよ!、もっとバランスを考えろよ!」
ダンはベンが提案した名前に憤慨するが、ベンは明るく無邪気に返す。
「何だよ、カッコイイじゃん」
騎士団からファミリーネームを付ける事を求められた二人は、お互いに付け合う事にしたのだ。
ダンはベンに不満をぶつける。
「スカルって何だよ、ホーリィに合わないだろ!!、僕はお前の名前を真面目に考えたのに」
とは言ったもののベンのフルネームも微妙だった、だが本人は気に入っているので問題はない。
ベンは子供の頃から何処となく小熊を連想させた、大柄な体躯や愛嬌のある陽気な性格、熊じゃなくて小熊だ。ドーナツが好きでニコニコして食べている姿とか微笑ましい。
それでジョンは熊のベアとドーナツを合わせて、ベアードにしたのだ。
一方チャーリーはダンがティータイム好きな事からティと、自分が好きだったスカルを合わせて、スカルティにしたのだ。
「だから、おかしいだろ?、何でお前の好きな物を僕の名前に入れるんだよ!」
「だから、カッコイイからだって!」
こうして二人は長い名前になった。
ホーリィ・ダン・ジョン=スカルティ
アド・ベン・チャーリー=ベアード
シークレットネームは主だけが呼ぶ名前。
バディネームは、二人と仲間だけが呼ぶ名前。
スタンダードネームは普通に名乗る名前だ。
二人は自分の名前に対して正反対の気持ちを持っている、チャーリーは自分のフルネームが大好きだが、ジョンは恥ずかしがってスタンダードネームしか名乗らない。
今では二人とも自然とそれぞれの場面で、上手く名前を使い分けていた。長い名前の一つ一つに名付けた人の愛情が籠っている、どれも二人にとっては大切な名前だ。
「お~い、ジョン、チャーリー、早くこっちに来いよ」
同じ騎士団の同僚が声を掛けてきた、ダンとベンは顔を見合わせる。
「行くか、ベン」
「ああ、ダン」
二人はバディネームで呼び合うと、ジョンとチャーリーとして駆け出した。
ホーリィ・ダン・ジョン=スカルティ
アド・ベン・チャーリー=ベアード
長いけど二人にとっては大切な名前だ。
ジョンとチャーリーは幼い頃、ある孤児院で出会った、その頃の二人にはジョンとチャーリーしか名前が無かった。
記憶にすら残っていない家族、おそらく両親がつけた名前だろうか、身元が分かるものは無かったが、数少ない持ち物にその名前が書かれていた。
その孤児院はいつも経営難で大人は殆どおらず、目が行き届かない対策として、子供同士で助け合う方法を取っていた。
相性の良さ、兄弟姉妹、仲の良さ等で二人組を作り、バディとしてお互いの面倒を見させるのだ、そして年長のバディが年小のバディの面倒も見る。
バディを組んだ時に院長から、短くて呼びやすいバディネームをつけられる、それがダンとベンだ。
先日救出されたリオとレオもバディネームだ、バディだと分かり易くする為か、何故かバディの二人には似た名前をつけられる。
ホリーとマリー、カイとライ、孤児院では皆んなバディネームで呼んでいたので、本名の方があやふやだ。孤児院にいた仲間は皆んな、今でもバディネームで呼び合っている。
この頃の二人には、ダン・ジョンとベン・チャーリーと名前が一つ増えていた。
そしてあの誘拐事件が起こる。
助け出された二人はメイヴィスに忠誠を誓い、彼にお願いして主従関係だけで使う名前をつけて貰った。
ジョンは子供の頃から手の平に十字の痣があり、それを見たメイヴィスが、ホーリィと名付けた。
チャーリーは、オレンジに金色が斑らに入る髪色をしており、それがアドラ地方に多い事から、アドと名付けられた。
これで二人の名前がまた増えた。
ホーリィ・ダン・ジョン、とアド・ベン・チャーリーになった。
そして攻撃魔法が使える彼等は騎士団預かりとなり、訓練・研修を終えて正式に騎士団員として採用された時に、ファミリーネームを作った。
それが、ベアードとスカルティだ。
◆◇◆◇◆◇
「だからスカルティって、何だよ!、もっとバランスを考えろよ!」
ダンはベンが提案した名前に憤慨するが、ベンは明るく無邪気に返す。
「何だよ、カッコイイじゃん」
騎士団からファミリーネームを付ける事を求められた二人は、お互いに付け合う事にしたのだ。
ダンはベンに不満をぶつける。
「スカルって何だよ、ホーリィに合わないだろ!!、僕はお前の名前を真面目に考えたのに」
とは言ったもののベンのフルネームも微妙だった、だが本人は気に入っているので問題はない。
ベンは子供の頃から何処となく小熊を連想させた、大柄な体躯や愛嬌のある陽気な性格、熊じゃなくて小熊だ。ドーナツが好きでニコニコして食べている姿とか微笑ましい。
それでジョンは熊のベアとドーナツを合わせて、ベアードにしたのだ。
一方チャーリーはダンがティータイム好きな事からティと、自分が好きだったスカルを合わせて、スカルティにしたのだ。
「だから、おかしいだろ?、何でお前の好きな物を僕の名前に入れるんだよ!」
「だから、カッコイイからだって!」
こうして二人は長い名前になった。
ホーリィ・ダン・ジョン=スカルティ
アド・ベン・チャーリー=ベアード
シークレットネームは主だけが呼ぶ名前。
バディネームは、二人と仲間だけが呼ぶ名前。
スタンダードネームは普通に名乗る名前だ。
二人は自分の名前に対して正反対の気持ちを持っている、チャーリーは自分のフルネームが大好きだが、ジョンは恥ずかしがってスタンダードネームしか名乗らない。
今では二人とも自然とそれぞれの場面で、上手く名前を使い分けていた。長い名前の一つ一つに名付けた人の愛情が籠っている、どれも二人にとっては大切な名前だ。
「お~い、ジョン、チャーリー、早くこっちに来いよ」
同じ騎士団の同僚が声を掛けてきた、ダンとベンは顔を見合わせる。
「行くか、ベン」
「ああ、ダン」
二人はバディネームで呼び合うと、ジョンとチャーリーとして駆け出した。
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