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第六章 愛民の王太子 メイヴィス VS 仮面伯爵
7・身元不明者と思い出の彼
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その日はとても熱い日で、太陽は光り輝いて、空はどこまでも青く澄んでいた。
「メイヴィス殿下、一緒に水浴びをしませんか?」
そんな気さくな言葉を掛けられたのは久し振りだった、メイヴィスが思わず相手を見ると、彼は快活な笑顔でこちらを見ていた。
「ん、ぅうん?」
メイヴィスは執務室に居た、机にはグリードから渡された身元不明者の遺体検分記録がある。どうやら、うたた寝をしていたらしい事に気付いた。
「ふぅ、夢か……」
……懐かしい彼の笑顔が、まだ頭の中に残っている……ずっと気に留めていたから夢を見たのか……もっと早く調べるべきだったのでは……
メイヴィスは自問していた、だが彼が疑問を持った時点でもう手遅れだったのだが、分かっていても自分を責めずにはいられない。
メイヴィスの手元には、二年前に街角で見つかった身元不明の遺体についての記録がある、ずっと見たかった記録だった。
「殿下、ほら裾を捲って!、足を水につけるだけでも違いますよ、あははは!」
彼はズボンを膝まで捲り上げて水の中へ入って行く、その膝下あたりに何か見えて、メイヴィスは問いかけた。
「クラーク、それは何だ?」
「ああ、つい最近出来た痣ですよ、ちょっと変わった形で模様みたいで面白いですよね。殿下にも痣とか有りますか?」
「ない、たとえ有っても君には教えない」
「あははは、酷いなぁ」
火傷を負う前の彼と学生時代の自分、むず痒い様な、甘酸っぱい様な、懐かしい思い出だが、今となっては少し苦い気持ちにさせられる。
紋章の様なその痣をメイヴィスは覚えていた、それと同じ痣を持つ身元不明遺体、メイヴィスが見ている記録がそれだ。
「やはり二年前に調べるべきだった」
変わった痣と火傷を負った身元不明遺体の話を聞いたのは、魔獣の討伐から戻った直後だった。
治癒されたとはいえ遠征で重症を負ったメイヴィスは、心配した周囲の者から安静にする様にと、暫く居室に軟禁されて自由を奪われた。
その為、小さな棘のような疑問を晴らしたくても、直接遺体を見る事は叶わず、時間だけが過ぎて行ったのだ。
「見つけた、やはり君はクラークだった」
その遺体は上半身に火傷の跡があったが、顔の損傷が激しくて身元は特定出来なかった。
庶民の服を着ていたが、火傷のない肌や髪は良く手入れされていて、裕福な暮らし振りが伺われた。
そして髪色や身長や体重、痣や黒子など身体的特徴が、クラークと同じだった。
「そうなると、やはり仮面の下は別人か」
メイヴィスは数年来の疑念を解く事が出来たが、抱いていた苦い思いは変わらなかった。
◆◇◆◇◆◇
資料の返却がてらにメイヴィスはグリードのいる騎士団長室を訪れた。
「つまり今、仮面伯爵と呼ばれているのは、クラーク・フィッツバトンでは無いという事ですか?」
グリードも可能性として成りすましを考えてはいたが、それはあくまで可能性であって、こうハッキリ言われると、事態の深刻さを思い知らされる。
「おそらくそうだ、遺体を直接見ていれば、はっきり断言できるのだが、当時私には自由が無かった、だが記録を見る限りこれはクラークだ」
メイヴィスは資料の痣の部分を指差して、グリードに言う、それを見たグリードが疑問を口にした。
「そうなると怪しいのは執事ですが、乳兄弟の彼ならこの痣も知っていて、焼くなりして判別不明にしたのでは有りませんか?」
「この痣は、火傷を負う少し前に出来た物だ、執事は知らなかった可能性が大きい、気になるのは死因だ、どう思う?」
資料の死因の欄を二人で覗き込む。
「窒息死ですか、自然死にも他殺にも取れますが、今となっては確認も出来ません」
主犯を特定してから、聴取で明らかにするしか無いだろうと考えたメイヴィスは、話題を変えた。
「伯爵家の外部調査はどうなっている?」
「はい、出入り業者の動向調査と身元調査を同時に進めています、現時点でも幾つかおかしな点が見つかっています」
「おかしなと言うと?」
「伯爵家に出入りしている商会は一件だけですが、商売をしている実態が無いのです。伯爵家の注文した品を集めて納品するだけで、そこが直接取り扱っている商品は無く、商売らしき事は何もしていないのです」
グリードの話は不自然極まりない、商会なのに商売をしない、それはもう商会では無い。
「商会の建物とおぼしき場所には、常駐している男女が一名づつと、数名の男が出入りをしており、時々、大きな黒い袋が運び込まれたり、運び出されたりしています」
心当たりがあるメイヴィスとグリードは、目を合わせる。
「実に怪しいな、先日保護された民の話では、奴隷商人達は彼等を移動させる時に黒い袋に入れたそうだ、怪しまれずに伯爵家へ出入りする為に、商会を装っている可能性があるな」
「はい、私もそう考えています。そしてその商会が十中八九、何らかの形で奴隷売買に関わっていると考えます、暫くこのまま監視を続けて、いずれ機を見て商会の建物内を秘密裏に捜索してみます」
グリードの案にメイヴィスも同意して、意見を付け加えた。
「ああ、そうだな。その時はフィッツバトン伯爵家にも調査に入ろう、気付かれて逃げられない様に、二手に分かれて同時に調査するのが良いだろう」
今後の方針を決めた二人は、次に潜入調査に入る人員の選定を始めた、騎士団と暗部の者の中から適任者を選んでいく。
「伯爵家の方は暗部から出すとして、商会の方は騎士団のあの二人が適任では?」
「あの二人ですか……」
メイヴィスは提案だけすると、後の事はグリードに任せて執務室へ戻って行った。
後を託されたグリードは溜め息をつく。
…確かに力量は申し分無いが適任かどうか、奴隷売買に関する事には過敏に反応する二人が、勝手に暴走する姿が目に見える……
騎士としての剣術や体術の凄さは勿論のこと、魔法剣士としての力量も計り知れない、騎士団の中でも実力者の二人の事は、メイヴィスもグリードも信頼して頼りにしている。
「しかし、あの二人は規格外というか、常識外れというか、予想外の事をあっさりやるからな、任せて大丈夫だろうか」
城下で起きる様々な事件から勝手に動く部下まで、グリードの悩みは尽きない。
再び彼は人知れず溜め息をついた、それを知るのはサラマンディアだけだ。
「メイヴィス殿下、一緒に水浴びをしませんか?」
そんな気さくな言葉を掛けられたのは久し振りだった、メイヴィスが思わず相手を見ると、彼は快活な笑顔でこちらを見ていた。
「ん、ぅうん?」
メイヴィスは執務室に居た、机にはグリードから渡された身元不明者の遺体検分記録がある。どうやら、うたた寝をしていたらしい事に気付いた。
「ふぅ、夢か……」
……懐かしい彼の笑顔が、まだ頭の中に残っている……ずっと気に留めていたから夢を見たのか……もっと早く調べるべきだったのでは……
メイヴィスは自問していた、だが彼が疑問を持った時点でもう手遅れだったのだが、分かっていても自分を責めずにはいられない。
メイヴィスの手元には、二年前に街角で見つかった身元不明の遺体についての記録がある、ずっと見たかった記録だった。
「殿下、ほら裾を捲って!、足を水につけるだけでも違いますよ、あははは!」
彼はズボンを膝まで捲り上げて水の中へ入って行く、その膝下あたりに何か見えて、メイヴィスは問いかけた。
「クラーク、それは何だ?」
「ああ、つい最近出来た痣ですよ、ちょっと変わった形で模様みたいで面白いですよね。殿下にも痣とか有りますか?」
「ない、たとえ有っても君には教えない」
「あははは、酷いなぁ」
火傷を負う前の彼と学生時代の自分、むず痒い様な、甘酸っぱい様な、懐かしい思い出だが、今となっては少し苦い気持ちにさせられる。
紋章の様なその痣をメイヴィスは覚えていた、それと同じ痣を持つ身元不明遺体、メイヴィスが見ている記録がそれだ。
「やはり二年前に調べるべきだった」
変わった痣と火傷を負った身元不明遺体の話を聞いたのは、魔獣の討伐から戻った直後だった。
治癒されたとはいえ遠征で重症を負ったメイヴィスは、心配した周囲の者から安静にする様にと、暫く居室に軟禁されて自由を奪われた。
その為、小さな棘のような疑問を晴らしたくても、直接遺体を見る事は叶わず、時間だけが過ぎて行ったのだ。
「見つけた、やはり君はクラークだった」
その遺体は上半身に火傷の跡があったが、顔の損傷が激しくて身元は特定出来なかった。
庶民の服を着ていたが、火傷のない肌や髪は良く手入れされていて、裕福な暮らし振りが伺われた。
そして髪色や身長や体重、痣や黒子など身体的特徴が、クラークと同じだった。
「そうなると、やはり仮面の下は別人か」
メイヴィスは数年来の疑念を解く事が出来たが、抱いていた苦い思いは変わらなかった。
◆◇◆◇◆◇
資料の返却がてらにメイヴィスはグリードのいる騎士団長室を訪れた。
「つまり今、仮面伯爵と呼ばれているのは、クラーク・フィッツバトンでは無いという事ですか?」
グリードも可能性として成りすましを考えてはいたが、それはあくまで可能性であって、こうハッキリ言われると、事態の深刻さを思い知らされる。
「おそらくそうだ、遺体を直接見ていれば、はっきり断言できるのだが、当時私には自由が無かった、だが記録を見る限りこれはクラークだ」
メイヴィスは資料の痣の部分を指差して、グリードに言う、それを見たグリードが疑問を口にした。
「そうなると怪しいのは執事ですが、乳兄弟の彼ならこの痣も知っていて、焼くなりして判別不明にしたのでは有りませんか?」
「この痣は、火傷を負う少し前に出来た物だ、執事は知らなかった可能性が大きい、気になるのは死因だ、どう思う?」
資料の死因の欄を二人で覗き込む。
「窒息死ですか、自然死にも他殺にも取れますが、今となっては確認も出来ません」
主犯を特定してから、聴取で明らかにするしか無いだろうと考えたメイヴィスは、話題を変えた。
「伯爵家の外部調査はどうなっている?」
「はい、出入り業者の動向調査と身元調査を同時に進めています、現時点でも幾つかおかしな点が見つかっています」
「おかしなと言うと?」
「伯爵家に出入りしている商会は一件だけですが、商売をしている実態が無いのです。伯爵家の注文した品を集めて納品するだけで、そこが直接取り扱っている商品は無く、商売らしき事は何もしていないのです」
グリードの話は不自然極まりない、商会なのに商売をしない、それはもう商会では無い。
「商会の建物とおぼしき場所には、常駐している男女が一名づつと、数名の男が出入りをしており、時々、大きな黒い袋が運び込まれたり、運び出されたりしています」
心当たりがあるメイヴィスとグリードは、目を合わせる。
「実に怪しいな、先日保護された民の話では、奴隷商人達は彼等を移動させる時に黒い袋に入れたそうだ、怪しまれずに伯爵家へ出入りする為に、商会を装っている可能性があるな」
「はい、私もそう考えています。そしてその商会が十中八九、何らかの形で奴隷売買に関わっていると考えます、暫くこのまま監視を続けて、いずれ機を見て商会の建物内を秘密裏に捜索してみます」
グリードの案にメイヴィスも同意して、意見を付け加えた。
「ああ、そうだな。その時はフィッツバトン伯爵家にも調査に入ろう、気付かれて逃げられない様に、二手に分かれて同時に調査するのが良いだろう」
今後の方針を決めた二人は、次に潜入調査に入る人員の選定を始めた、騎士団と暗部の者の中から適任者を選んでいく。
「伯爵家の方は暗部から出すとして、商会の方は騎士団のあの二人が適任では?」
「あの二人ですか……」
メイヴィスは提案だけすると、後の事はグリードに任せて執務室へ戻って行った。
後を託されたグリードは溜め息をつく。
…確かに力量は申し分無いが適任かどうか、奴隷売買に関する事には過敏に反応する二人が、勝手に暴走する姿が目に見える……
騎士としての剣術や体術の凄さは勿論のこと、魔法剣士としての力量も計り知れない、騎士団の中でも実力者の二人の事は、メイヴィスもグリードも信頼して頼りにしている。
「しかし、あの二人は規格外というか、常識外れというか、予想外の事をあっさりやるからな、任せて大丈夫だろうか」
城下で起きる様々な事件から勝手に動く部下まで、グリードの悩みは尽きない。
再び彼は人知れず溜め息をついた、それを知るのはサラマンディアだけだ。
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