【R18】傲慢な王子

やまたろう

文字の大きさ
上 下
56 / 88
第六章 愛民の王太子  メイヴィス VS 仮面伯爵

4・仮面伯爵フィッツバトン*

しおりを挟む
 フィッツバトン伯爵家の執事グレアムは、伯爵の執務室へ入ると、顔全体を覆う仮面をつけた主人に挨拶をした。


「おはようございます、クラーク様」


 体が不自由な主人の身支度を整えて、椅子の向きを調整する。


「今日はいいお天気ですよ、お庭にはクラーク様が好きだった花々が咲いております、後ほど私が摘んで参ります」


 フィッツバトン伯爵は何も話さない、執事は慣れているのか、テキパキと仕事を片付けて、執務室を後にした。


「………」


 体の上半身と顔に重度の火傷を負った伯爵は、熱い空気を吸い込んだ喉にも火傷を負った、声が出し辛くなった彼は、今では殆ど話さない。


 彼はこの執務室と隣の居室に籠り、もう何年もグレアム以外の人間とは接触していない。


 執事のグレアムは乳兄弟で、彼を信頼していた伯爵は体が動かなくなった後、様々な面で彼を頼った、そして今はグレアムが伯爵領の仕事もこなしている。


 執務室から居室へ移動したグレアムは、昨晩用意しておいたスープ皿を回収する、スープは綺麗に飲み干されていた。


「昨晩のスープはお気に召したようだな」


 誰も居ないはずの伯爵の居室、その寝台の上掛けが不自然に動いたが、背を向けていたグレアムは気が付かない。


 テキパキと部屋を片付けたグレアムは、居室を後にして厨房へと向かった。


 厨房では料理人のマルコが、明日のスープの仕込みをしていた、そこへ下げた食器を持ってグレアムがやって来る。


「マルコさん、おはようございます。クラーク様は昨晩のスープを気に入られた様です」


「そうか、そりゃ良かった。伯爵様に直接感想を聞く機会がないから、美味いと思って下さってるのか分からないんだ、毎日同じスープじゃ飽きるしな」


 マルコは飲み干されたスープ皿を見て、やれやれと ホッとした雰囲気になる。


 フィッツバトン伯爵は、喉を痛めてからは咀嚼が難しくなり、食事はスープか具のないシチューの様な、液体に近い料理を食している。


 その為料理人のマルコは、出来るだけ栄養のある料理を出そうと、スープは様々な食材を入れて、一日以上は煮込んでいる。


「今朝のスープはこちらですか?」


 グレアムが朝食用のスープを見ている。


「ああ、そうだ。伯爵様の所へ持って行ってくれ、お前さんの賄いも用意してある」


「分かりました、マルコさん、いつも有難うございます」


 グレアムはマルコに礼を言って、料理が乗ったトレイを受け取った、それをワゴンに乗せると、再び伯爵の部屋に向かう。


 その後ろ姿を見送るマルコは、グレアムに対して、尊敬に近い思いがわく。


「一人で伯爵の面倒を見るなんて、まだ若いのに良くやるよな」


 スープをかき混ぜながらポツリと呟く。
 フィッツバトン伯爵が人目を嫌う為、この邸は使用人の数が極端に少ない、グレアムだけは住み込みだが、後は全員通いで働いている。


 茶会や晩餐会などは行われず、客人が来る事も無い、料理人が作るのは主にスープ、人が少なくても十分回るのだ、かなり楽な仕事なのに、賃金は相場より高く賄いも出る、働く側からしたら天国の様な職場だった。


「さて、次はどんなスープにするかな」


 天国の職場をクビにならない様に、マルコは今日も精を出してスープを作る。





 ◆◇◆◇◆◇





 朝の業務を一通り済ませたグレアムは、庭園で作業中の庭師に声を掛けた。


「アメデオさん、おはようございます。薔薇の花を少し分けて下さい」


「やあグレアムさん、おはようございます。伯爵様のお部屋に飾る花ですか?」


 グレアムは時々こうして花を貰いに来る、アメデオもいつもの事なので、気安く問いかけた。


「はい、執務室の窓から庭園をご覧になられて、薔薇の花を所望されました、クラーク様はアメデオさんが、いつも庭園を美しく整えられている事に、大変満足されています」


 グレアムの言葉を聞いたアメデオは嬉しかった、伯爵と直接話す機会がない彼は、真面目に庭園管理をしていても、伯爵にどう思われているのかは、分からなかったからだ。


「今朝咲いたばかりの、香り高い品種が有ります、そちらがお薦めですよ」


 アメデオは薔薇園の方へ、グレアムを連れて行った、そこで何本が花を切って渡す。


「有難うございます、庭園管理で何か必要な物が有れば、遠慮なく私に言って下さい」


 花を受け取ったグレアムは、アメデオを気遣う言葉を掛けると、伯爵の元へ戻って行った。


 アメデオはその姿を穏やかな表情で見送る。
平和で暮らし易いこの国に、外国から移民して来たアメデオは、同郷のマルコの紹介でこの邸に来た。


 当主の姿を見た事は無いが、庭園に必要な物も言えば揃えてくれる、賃金も悪くないし賄いも出る、そして何より、アメデオの仕事に口を出して来ない、まるで天国の様な仕事場だった。


 天国で働ける幸運に感謝して、アメデオは今日も庭園管理に精を出す。





 ◆◇◆◇◆◇





「ホリー、良い子にして居たかい?」


 仮面の男が入ってきた、手にはスープを持っている、それをテーブルに置くと寝台へ近づいてきて、体を撫でられドレスの下に手を入れられる。


 この邸に連れ込まれてからは、下着を着ける事は許されなかった、剥き出しの秘所をまさぐられて張り型を抜かれる、刺激を感じて勝手に声が出た。


「あっ!」


 その声を聞いた仮面の男は、素早く股間から逸物を取り出して、ドレスのスカートを捲り上げて太腿を開くと、緩んだ蕾みに肉棒を一気に押し込んだ。


 ぐぶっぐぶぐぶぐぶぅぅっっ


「ああああ!!」


 張り型よりも太くて苦しいのに、仮面の男が腰をグイグイ強く押し付けて、更に奥まで灼熱の楔を入れられる、腹の中が突き込まれた雄でいっぱいになり、息が苦しくなる。


「はっ、はっ、はっ、」


「ホリー、愛している。君も同じ気持ちだろう?、こんなに私のモノを締め付けて、動くぞ」


「やっダメ」


ぶぢゅぅっ、ぶぢゅぅっ、ぶぢゅぅっ、ぶぢゅぅっ


「あぅ! 、あ、ぁ、だ、駄目! 、まだ、だ、あっ! 」


 潤みの足りない蜜壺に構わず、仮面の男は強引に動き出し、よく濡れてもいない媚肉が引き攣れる、苦痛に歪むホリーの顔も、肉棒に絡む引き攣れも、仮面の男は全てを楽しんでいた。


「私に逆らうな、また折檻されたいか?」


 男の肉棒が纏う体液が馴染んで、先程より滑りが良くなった蜜壺に、雄を突き入れる腰の動きが早くなる。


 ばちゅっ、ばちゅっ、ばちゅっ、ばちゅっ


「あっ、ご、ご、めんな、さ、あっ、ぁっ、あっ」


「良い子だ、分かればいい、私も折檻なんてしたく無い、私の言う通りにしていろ」


  どちゅ! どちゅ! どちゅ! どちゅ! どちゅ! どちゅ!


 仮面の男はそう言うと、ホリーの中を高速で突き始めた。


 「あっ あっ あっ あっ あっ あっ あっ」


 勃起した肉棒が膣内を抉って入り込み、膣壁をこそいで出て行く、膨らんだ雄は最奥まで達して、子宮の中を荒らしまくる。



 ばちゅん!、ばちゅん!、ばちゅん!、ばちゅん!


「ああぁっ、あっ、あっ、あっ、ぁ、ぁ、ぁ」


 激しい腰の動きにホリーの頭はチカチカして、与えられる快感に溺れて、男に抱かれるだけの人形になる。仮面の男はそんなホリーを見て、仮面の下でほくそ笑んだ。


 ……もう少し遊んだら、終わりにしよう……


 男は快楽人形の足を持ち上げて、上から何度も女の中をえぐり、好きなだけ快楽を貪ると、自身の欲望を吐き出して、人形を離した。


 仮面の男は簡単に身なりを整えると、部屋から出て別の部屋へと向かった。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...