少年の物語

1人の少年

空を突き抜けるような大樹ばかりの森の中にポツンと古い建物が建っていた。そこに1人の少年が住んでいる。昔は父親と一緒に住んでいたが五年前に亡くなっており現在は1人である。

「ふぁーー 朝か・・」

ベッドから起き上がりながら眠たげな目を擦りながらポツリとつぶやいた。少年の部屋にはベッド、テーブル、椅子、タンスなどがある。

少年の名前はソラ＝リムウエル。年は12歳、身長は155㎝程度であり顔は可愛らしい子供のような顔をしており、髪は黒色で目にかからない程の長さである。眼は珍しくも右が紅色、左目が碧色をしている。

ソラが起きると1匹の白い物体が少年の身体をよじ登り肩に乗って顔をスリスリとこすりつけてきた。

「キュ」

その白い物体は鎌鼬のような姿をしており、滑らかな毛皮を持ち背中の方には青い縦線が入っており、額には星のような痣みたいものがある。また、珍しくも風魔法を使える事からソラはフゥと名付けた。フゥは一年前に怪我をして弱っている所を偶然見つけ治療をした。それから、懐かれてしまい現在はソラと一緒に過ごしている。

「おはよー。フゥ
お腹が空いたのか？ごめんね。今準備するから」

そう言うとソラは「ボックス」と唱えた。何も無い空間に手を突っ込み何かを探るように手を動かした。数は少ないがこの世界にレアリングと言うのが存在している。リングによって様々な効果がある。ソラの指にはレアリングが嵌められており、その効果は空間の中に無命物や無魂物として命あるもの以外であればどんな物でもしまえると言う効果だ。

「確か、モミの実がまだ残ってたはず・・
あった。けどもう少ないなー。そろそろ取りに行かなきゃいけないな」

そう言って手を出すとソラの手には青みがかった桃のような形をした果物が２つ握られている。１つを肩に乗ったフゥに渡した。フゥは器用にも二本足で立ち残った手で受け取り「キュ」と一言鳴きモミの実にかじりついた。