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しおりを挟む私は、この国の第一王子と婚約関係にある。
そのため、王妃になるための王妃教育をたくさん受けて来た。
...王妃になることは簡単ではないし、たくさん我慢もした。
.....それなのに?
「第一王子に相応しい、王妃を発表する。
俺の正妃となるのは...カオリだ!!」
そうして、正妃だと言われた女性は、私ではなかった。
私は、意味が分からず声が出せなかった。
「そして、側妃に...今の婚約者である、お前を任命する!」
(...え? どういうこと?)
「申し訳ございません...。 私が、側妃ということですか?
...それに、そのカオリという方の名前は聞いたことがないのですが...。」
そう、王妃となる女性は、基本的に地位のある女性だ。
地位のある女性というと、私は大体把握しているはず...なのに。
カオリという女性は聞いたことがないのだ。
「カオリは、俺が唯一愛した女性だ!
少し身分が俺とは違うが、愛し合っていれば、どんな壁も乗り越えていけるんだ!!
...そして、お前には側妃を頼む。 なんせ、カオリは王妃教育など受けていないからな。」
(カオリさんは、王妃教育を受けていない?の?
ということは、地位のない女性ということ......?
つまり、正妃は王子が愛した女性で、正妃教育を受けている私を側妃にして、仕事は丸投げということ!?)
「...すみません、貴方...馬鹿なんですか??」
私はつい、思っていることを口に出してしまった。
「なにっ!? 馬鹿とは何だ!?
カオリとは、運命なんだ! 愛し合っていれば、絶対に大丈夫だ!!」
(...はぁ。)
私は呆れていた。
何故この人はこんなに馬鹿なのだろう。
地位のない女性と結婚することで、王家の名誉を傷つけるとなぜ気づかなかったのだろう。
...その女性が、『必死に王妃教育も受けます! 頑張ります!』などと言っているのなら考える余地はあったのかもしれないが。 きっとこの人たちは私に仕事を丸投げする気でいるのだろう。
「申し訳ありませんが、私は側妃にはなれません。
必死に王妃教育を受けて来たのに、平民の女性が正妃になられては...。」
「っ...!!これは命令だ!!
お前は側妃になるしかないんだ!!」
...この人と、これ以上一緒にいると、私まで王子の影響で馬鹿になりそう。
「そう言われても、無理なものは無理です。 さようなら!!」
_____
後の話になりますが、王子と正妃の方は...仕事もまったくしないで、遊び惚けてばかりだったようです。
それに怒った第二王子たちが、二人を追い出したみたいです。
そして、二人は世間から白い目で見られ...とりあえず、もう会うことはないでしょう。
王位継承権は第二王子に移り、きちんとした女性が王妃となられました。
...第二王子たちがいなかったら、今頃この国どうなっていたのかしら?
考えただけでぞっとするわね。
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