マーメイド・コスモス

咲良きま

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第21話

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王。未完成品。欠陥物。

コスモスが朗らかに語ったのはあの巨大な蜘蛛のことに違いない。ミキが生みだした怪物。私は、以前あれが襲ってくる夢を見ている。

コスモスの言うとおり私が夢を見ることで出来事を把握しているのなら、蜘蛛が襲ってくるのはこれから起こりうるまぎれもない現実ということになる。

私は焦った。ぎゅっと、ペンダントを握りしめる。

私は、コスモスを信頼していなかった。彼女が私の味方であるという確証がないからだ。コスモスはことの成り行き次第で、きっと簡単に私を見捨てるだろう。ドライに。

それで、以前見た夢の話、蜘蛛が襲ってくるという話を彼女にはしないでおいた。

その日珍しく私は夢を見た。コスモスとの出会った日の出来事だ。

炎を見つめるうちに、雰囲気を変えてゆく森田君がつぶやく。

「ナンバー千十二。」

私は、はっとして目を覚ます。

森田君はコスモスを知っている!

その日は久々、まんじりとして眠れなかった。一人、暗い部屋の中、朝が来るのを待っている。

私は、森田君と話をしないといけない!そう、強く決心する。

コスモスは眠らない。だから夢をみることはない。それで、夜は金魚の姿となってどこかへ泳いで行く。今も、彼女の姿はこの町のどこかにあるはずだ。

彼女は最初に出会った時に、私の感情の変化をオーラで見ることができると言った。私はこの決心を彼女にはどうしても知られたくなかったので、今彼女がそばにいないことに安堵を覚える。

初めて夜の散策に出かける時、彼女は意気揚揚とこんなふうに言っていた。

「探索よ!彼の気配を探してくるわ。

でも、彼こちらの存在に気付いているみたい。用心深く気配をそこらじゅうに分散させているわ。

ふふふ。無駄なことを。

時間の問題なのにね。焦らすなんて、ひどい人。」

けれど、探索は進んでいないようで、最近彼女に焦りの色が見受けられる。

私には予感があった。コスモスの探し人に対する。けれど、なるべく関わらないようにしていた。彼の身を案じたから。

でも、新たに生じた蜘蛛の問題がある。

そして、相談できるのは森田君その人しかいなかった。
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――――ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。ポク。

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