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第15話
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森田君からメッセージが来ていた。
今日私の家の近くまで先輩の金魚を持ってきてくれるんだそうだ。
休日だというのに、私は朝からせっせとペンダントを作っていたので森田君のメッセージに気付くのが遅れた。
メッセージを読み終えて時間を確認するともう15時になっていた。
電話をかける。
コール音がしばらくなって、森田君が出たのが分かった。
「もしもし、森田君?」
「おう。携帯みた?」
「うん。ごめん、気付かなくて、今見たんだ。連絡、遅くなっちゃったね。」
「いや、大丈夫。むしろ今、連絡くれてよかったよ。部活が終わって家に帰ったところだから。
…部活では先輩の話でもちきりだった。」
「そう。」
「…。
どうする?今から出ると17時くらいになるけど、金魚、持ってくよ。」
「うん。欲しい。お願いします。
山下公園についたら連絡ちょうだい。もらいに行くから。」
「おう。じゃ、また後で。」
「うん、じゃあね。」
電話を切って身支度をする。くたくただったので、のろのろとしているうちに時間は過ぎる。
支度を終えてほうけていたところに、森田君から携帯に着信があった。
「ついたよ。今日すっげー寒いから、着込んできたほうがいいよ。」
「分かった。
ありがとう。すぐに行くね。」
急いで、温かいダウンを着こみ家をでる。首には今日作ったペンダント。中にはミキにもらった青い石が固定されていた。出来は上々。どうしてだか、肌身離さず持っていた方がいいような気がして、さっそくペンダントにしてみたのだった。私はなぜだか、強迫観念と言ってもいいぐらいの思いにせかされてそれを作った。
せっかくの日曜日があっというまに、暮れようとしている。白い息が大気にとける。夜の足音が聞こえてくるような寂しい夕暮れが空いっぱいに広がっている。冬は嫌だな、心まで寒い。
山下公園はけっこう大きな公園なのだけれど、寒さのせいか人気はなかった。
「カラスも鳴くからかーえろ。」
ふいに、意味なくつぶやいてみる。
見上げれば大きな銀杏の木が風に吹かれてはらはらと黄色のはっぱを落としている。私は両手を広げてくるくる回ってみた。なんだか、素敵な気分。地面に目を転じればはっぱがあちこちに敷き詰められている。まるでそれは黄色のじゅうたんだった。オレンジ色の外灯がほのかに静かな世界を照らし出す。ちょっと、ウキウキして私はスキップをして黄色のじゅうたんを進む。
森田君が赤いベンチに腰掛けているのが分かった。驚かそうと後ろから近づこうとした時、空に何かがチカチカ光るのに気がついた。
何かの音が大きくなって近づいてくるのが分かる。ささいな雑音だったのがやがて、飛行機の離着陸の時のような轟音となって耳に届く。森田君も気付いたようで空を見上げている。
サッカーボール大の流れ星のような球が見える。七色にぱちぱちと燃えて、急激に落下しているようだ。不思議に思って見ていたけれど、それがこっちに向かっているのに気づいた!
やばい!
私はかけだした。
私を追うように、光は方向をかえて向かってくる。
感情を現すように、急激に赤黒い色に変わった。
追いつかれる!
輝く赤い炎が目の前に!
ぶつかる!
足がもつれた。そのせいで、私の体は地面につっぷしたような格好になってしまう。
ダメだ。
光が来る!
今日私の家の近くまで先輩の金魚を持ってきてくれるんだそうだ。
休日だというのに、私は朝からせっせとペンダントを作っていたので森田君のメッセージに気付くのが遅れた。
メッセージを読み終えて時間を確認するともう15時になっていた。
電話をかける。
コール音がしばらくなって、森田君が出たのが分かった。
「もしもし、森田君?」
「おう。携帯みた?」
「うん。ごめん、気付かなくて、今見たんだ。連絡、遅くなっちゃったね。」
「いや、大丈夫。むしろ今、連絡くれてよかったよ。部活が終わって家に帰ったところだから。
…部活では先輩の話でもちきりだった。」
「そう。」
「…。
どうする?今から出ると17時くらいになるけど、金魚、持ってくよ。」
「うん。欲しい。お願いします。
山下公園についたら連絡ちょうだい。もらいに行くから。」
「おう。じゃ、また後で。」
「うん、じゃあね。」
電話を切って身支度をする。くたくただったので、のろのろとしているうちに時間は過ぎる。
支度を終えてほうけていたところに、森田君から携帯に着信があった。
「ついたよ。今日すっげー寒いから、着込んできたほうがいいよ。」
「分かった。
ありがとう。すぐに行くね。」
急いで、温かいダウンを着こみ家をでる。首には今日作ったペンダント。中にはミキにもらった青い石が固定されていた。出来は上々。どうしてだか、肌身離さず持っていた方がいいような気がして、さっそくペンダントにしてみたのだった。私はなぜだか、強迫観念と言ってもいいぐらいの思いにせかされてそれを作った。
せっかくの日曜日があっというまに、暮れようとしている。白い息が大気にとける。夜の足音が聞こえてくるような寂しい夕暮れが空いっぱいに広がっている。冬は嫌だな、心まで寒い。
山下公園はけっこう大きな公園なのだけれど、寒さのせいか人気はなかった。
「カラスも鳴くからかーえろ。」
ふいに、意味なくつぶやいてみる。
見上げれば大きな銀杏の木が風に吹かれてはらはらと黄色のはっぱを落としている。私は両手を広げてくるくる回ってみた。なんだか、素敵な気分。地面に目を転じればはっぱがあちこちに敷き詰められている。まるでそれは黄色のじゅうたんだった。オレンジ色の外灯がほのかに静かな世界を照らし出す。ちょっと、ウキウキして私はスキップをして黄色のじゅうたんを進む。
森田君が赤いベンチに腰掛けているのが分かった。驚かそうと後ろから近づこうとした時、空に何かがチカチカ光るのに気がついた。
何かの音が大きくなって近づいてくるのが分かる。ささいな雑音だったのがやがて、飛行機の離着陸の時のような轟音となって耳に届く。森田君も気付いたようで空を見上げている。
サッカーボール大の流れ星のような球が見える。七色にぱちぱちと燃えて、急激に落下しているようだ。不思議に思って見ていたけれど、それがこっちに向かっているのに気づいた!
やばい!
私はかけだした。
私を追うように、光は方向をかえて向かってくる。
感情を現すように、急激に赤黒い色に変わった。
追いつかれる!
輝く赤い炎が目の前に!
ぶつかる!
足がもつれた。そのせいで、私の体は地面につっぷしたような格好になってしまう。
ダメだ。
光が来る!
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